エリザベス女王杯は3歳と4歳に注目。カンタ−ビレは勝ち要素が多いぞ

エリザベス女王杯は3歳と4歳に注目。カンタ−ビレは勝ち要素が多いぞ

 11月11日、京都競馬場では3歳以上の牝馬によるGIエリザベス女王杯(芝2200m)が行なわれる。

 かつては3歳牝馬限定による芝2400m戦だったが、1996年に4歳以上にも開放されて今回で23回目を数える。三冠戦線を戦ってきた3歳馬が初めて古馬と対戦することが多いレースだけに、世代の比較が大きなポイントとなる。

 過去22回の年齢別成績を見ると、3歳馬が113頭出走して8勝、4歳馬が116頭で9勝とほぼ互角の争い。5歳馬が101頭で5勝と続き、6歳以上は31頭が出走して6歳馬による2着1回、3着1回だけとなっている。このデータからは、3歳と4歳を中心に考えるのがいいだろう。今年の登録馬は3歳馬2頭、4歳馬4頭と少なめで、5歳馬8頭、6歳馬3頭、8歳馬1頭と比較的に高齢馬が多くなっている。

 人気を集めるのも3歳と4歳になりそうだ。中でも、注目すべきなのがカンタービレ(牝3歳/栗東・中竹和也厩舎)。同馬は今春のGIIIフラワーC(中山・芝1800m)で重賞初制覇。GIオークス(東京・芝2400m)は13着と敗れたが、秋初戦のGIIローズS(阪神・芝1800m)を快勝し、前走のGI秋華賞(京都・芝2000m)は3着に入っている。

 この馬を推す理由のひとつが、秋華賞で見せた進歩だ。4角先頭で押し切ったローズSのように、これまでは前に付けるイメージだったが、秋華賞では後方に控える戦法から4コーナーを12番手で直線に入り、大外から上がり3F33秒9の鋭い差し脚を見せて3着に入った。こういう競馬ができると、スローペースのときは前へ、ハイペースのときは後ろへと、レースの展開に応じての位置取りに対応できる。安定した成績が期待できるため、軸馬として実に狙いやすい。

 ローテーションも好感が持てる。過去、3着以内に入った3歳馬19頭のうち、17頭が秋華賞からのステップで、そのうち7頭が勝利している(もう1頭は秋華賞に出馬していないイギリスのスノーフェアリー)。ちなみに、その7頭のうち、昨年のモズカッチャンは秋華賞3着からで、その他、2003年アドマイヤグルーヴ、2006年のフサイチパンドラ(2位入線からの繰り上げ)、2008年のリトルアマポーラは、秋華賞で敗れた後にこのレースを勝利している。

 カンタービレは血統も素晴らしい。父はディープインパクトで、母の父ガリレオは欧州チャンピオンサイアー。3代母の父には仏ダービー馬ビカラの血も見られ、スタミナと成長力が期待できる配合だ。今後もレースを使うたびに強くなっていきそうで、今回、GI制覇のチャンスは大きい。

 もう1頭、注目の3歳馬はノームコア(牝3歳/美浦・萩原清厩舎)。春はカンタービレが制したフラワーCで3着に敗れ、続くGIIフローラS(東京・芝2000m)でも3着だったが、約4カ月半ぶりだった前走のGIII紫苑S(中山・芝2000m)で重賞初勝利を挙げた。

 その紫苑Sは内容が圧巻だった。ややスローペースの中で好位の5番手を進み、直線で追い出されるとあっという間に抜け出して2着馬に3馬身の差をつけたのだ。秋華賞が楽しみになる走りを見せたが、レース後の疲労が取れないとのことで回避。今回は2カ月ぶりのレースとなる。

 ノームコアで心配なのがこのローテーションで、前述したように、このレースで3着以内に入った3歳馬はほとんどが秋華賞からの参戦で、2カ月以上の間隔が開いていたのは2010年のスノーフェアリーだけだった。スノーフェアリーはそのレースの前に英オークス(芝2400m)を2馬身4分の1差で、愛オークス(芝2400m)を8馬身差で圧勝していた欧州ナンバーワン牝馬。今回がGI初出走となるノームコアとは単純に比較しにくい。能力的には通用してもおかしくはないが、ローテーション的には不安が残る。

 対する4歳の有力馬2頭にも不安材料がある。昨年の勝ち馬モズカッチャン(牝4歳/栗東・鮫島一歩厩舎)は、今年8月19日のGII札幌記念(札幌・芝2000m)以来の実戦。エリザベス女王杯は3歳馬に限らず休み明けの馬が苦戦する傾向があり、2カ月以上の間隔が開いた馬の優勝は2010年のスノーフェアリー、2001年のトゥザヴィクトリー、2000年のファレノプシスの3頭だけ。しかもモズカッチャンは、予定していたGII府中牝馬S(東京・芝1800m)を熱発で出走できなかった狂いもある。昨年とはちょっと事情が違うだけに、大きな信頼は置きにくい。

 これまでGIで2着4回と、悲願のGI制覇を目指すリスグラシュー(牝4歳/栗東・矢作芳人厩舎)は、府中牝馬S2着からの参戦。このレースに向けてはいい試走だったように見えるが、今回は4歳を迎えてから初めての2000m超えのレースとなる。これまで、牝馬限定戦で馬券圏内を外したのは、ともに昨年の2400mのGIオークス(5着)とエリザベス女王杯(8着)。馬券に絡んだのはすべて2000m以下のレースだ。昨年のエリザベス女王杯は出遅れて0秒4差の8着だから内容的には悪くなかったが、やはりこの舞台では強気に推せない馬だ。

 4歳馬では、レッドジェノヴァ(牝4歳/美浦・小島茂之厩舎)も気になる存在だ。年明けには1000万下を走っていた馬だが、夏の札幌で北海道150年記念(芝2600m)、オールスタージョッキーズ第2戦(芝2000m)を連勝。重賞初出走だった前走のGII京都大賞典(京都・芝2400m)でアルバートやシュヴァルグランといった牡馬の一線級に先着し、GI2勝のサトノダイヤモンドから2分の1馬身差の2着に入った。強い相手と闘ってきた経験は今回に生きるだろう。

 祖母マンハッタンフィズが、菊花賞などGI3勝のマンハッタンカフェの全妹という血統で、マンハッタンカフェは2016年のエリザベス女王勝ち馬のクイーンズリング、2着馬シングウィズジョイを産み出している。このレースに実績のある種牡馬なため、血統的にはピッタリと言えるだろう。

 以上、3歳と4歳の有力馬4頭を分析したが、あらゆるファクターからカンタービレが、最も勝利に近い存在と見ている。4歳馬では、実績馬2頭よりレッドジェノヴァに注目したい。

著者:平出貴昭●文 text by Hiraide Takaaki


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