紀平梨花は女王ザギトワに勝てるか。GPファイナル女子展望

紀平梨花は女王ザギトワに勝てるか。GPファイナル女子展望

 11月25日までのグランプリ(GP)シリーズ・フランス大会が終わり、ファイナル進出選手が決定した。平昌五輪銀メダルのエフゲニア・メドベデワ(ロシア)のファイナル進出ならずという驚きもあったが、女子は日本勢が2010年大会以来8年ぶりの3名出場を果たし、同じく3名が出場するロシア勢との対決になった。

 その内訳をランキング順に紹介すると、フィンランド大会とロシア大会(ロステレコム杯)で優勝したアリーナ・ザギトワ(ロシア)と、NHK杯とフランス大会で優勝した紀平梨花。スケートアメリカ優勝、NHK杯2位の宮原知子、スケートカナダ優勝、NHK杯3位のエリザベータ・トゥクタミシェワ(ロシア)、スケートアメリカ2位でフィンランド大会3位の坂本花織、スケートアメリカ3位でロステレコム杯2位のソフィア・サモドゥロワ(ロシア)という顔ぶれになる。

 ロシア勢に日本勢がどこまで迫れるかが見どころになるが、実績を考えれば平昌五輪優勝のザギトワは絶対的な優勝候補だろう。だが今回は、そうなりそうもない雰囲気も生まれている。

 大きな要因のひとつは、GPシリーズ初参戦で連勝という快挙を果たした紀平の存在だ。NHK杯ではショートプログラム(SP)のトリプルアクセルで転倒して5位発進となりながらも、他の要素はGOE(出来栄え点)加点をもらうノーミスの演技で69.59点を獲得。成長した姿を見せた。さらに、フリーではミスをしっかり修正してトリプルアクセルを2本ともきれいに成功させる完璧な演技で154.72点。合計を今季世界2位の224.31点にして逆転優勝を果たした。

 技術が高くなればなるほど完璧な演技というのは難しくなるが、もしSPでフリーの単発のトリプルアクセルと同じ加点をもらえるジャンプができれば、転倒の減点はなくなり8点は加点されて、230点台にできる可能性は十分ある。

 五輪女王のザギトワは今季、ネーベルホルン杯でSP、フリーともにノーミスの演技で238.43点という高スコアを記録しており、一歩リードしているのは確かだ。それでも、GPシリーズ・フィンランド大会ではSP最初の3回転ルッツ+3回転ループが3回転+1回転になるミスをしており、フリーでも後半の3回転ルッツ+3回転ループがともに回転不足に。優勝はしたが合計215.29点に止まっている。また、ロステレコム杯では、SPこそノーミスで80.78点を獲得したが、フリーでは後半のジャンプ2本が回転不足になるなど取りこぼしがあり、合計は222.95点だった。

 昨季、ザギトワはフリーのすべてのジャンプを得点が1.1倍になる後半に入れていた。前半はスピンとステップをしっかり滑って、後半は攻めの構成で挑み、安定感もあった。だが今季は、最初に4回のジャンプを跳んでからスピンとコレオシークエンスを入れ、そのあとに3回転を跳んでからスピン、ステップ、スピンという構成になっている。そのせいか、GPシリーズでのフリー後半のジャンプは、昨季ほどの勢いがない。昨季のプログラムがジュニアから持ち越しの2シーズン目だったことを考えれば、今季から新しくなったプログラムはまだ熟成しきっていない部分もあるのだろう。それを考えれば、ザギトワの出来次第で日本勢がつけ入る隙もありそうだ。

 とはいえ、紀平にも不安定な部分はある。フランス大会SPでトリプルアクセルが1回転になり、フリーでは最初のトリプルアクセルが回転不足、2本目をダブルアクセル+3回転トーループに変更しており、そこをどう克服するかが大きな課題になってくるだろう。

 一方、安定感という点でザギトワと紀平のふたりを凌ぐのが宮原だ。スケートアメリカではSP、フリーともにフリップで”ノット・クリアー・エッジ”を取られただけで219.71点。NHK杯のSPはノーミスの演技で76.08点とすると、フリーでは後半のジャンプ2本が回転不足、3回転ルッツ2本は”ノット・クリアー・エッジ”となるミスはあったが、143.39点を獲得して合計を219.47点にしている。

 彼女のフリーの昨季までの最高得点は後半の4回のジャンプが1.1倍になっていた平昌五輪の146.44点だが、最後の3本が1.1倍になる新ルールでの最高得点はスケートアメリカでの145.85点。NHK杯の結果を見ても、昨季からの進化は明らかで、220点台中盤も見えてきている。ザギトワと紀平がミスのない演技をすれば優勝争いは230点台になるが、ふたりが少しでもミスをすれば、宮原もその争いに加わるチャンスがある。

 さらに、スケートカナダのフリーのトリプルアクセルで転倒して合計が203.32点だったトゥクタミシェワは、NHK杯フリーではトリプルアクセルのGOEで0.34点の減点を取られながらも、他はノーミスで合計を自己ベストの219.02点にしている。SPの連続ジャンプは「安定しているジャンプなのでこれでいいと思う」と3回転トーループ+3回転トーループにするなど、迷いを感じていないところも不気味。220点台の優勝争いになれば彼女も名乗りをあげそうだ。

 また坂本は、213.90点を獲得したスケートアメリカからどこまで上積みできるかが見どころ。自己ベストが198.70点のサモドゥロワの上位進出は厳しいところだが、優勝争いと表彰台争いは、ちょっとしたミスでどうなるかわからない。それだけに、今年のGPファイナル女子シングルは混戦模様になりそうだ。

著者:折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi 能登直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)


関連記事

webスポルティーバの他の記事もみる
主要なニュースをもっと見る
社会のニュースをもっと見る
経済のニュースをもっと見る
政治のニュースをもっと見る
国際・科学のニュースをもっと見る
エンタメのニュースをもっと見る
スポーツのニュースをもっと見る
トレンドのニュースをもっと見る
生活術のニュースをもっと見る
地域のニュースをもっと見る

スポーツ アクセスランキング

ランキングの続きを見る

スポーツ 新着ニュース

新着ニュース一覧へ

総合 アクセスランキング

ランキングの続きを見る

東京 新着ニュース

東京の新着ニュースをもっと見る

東京 コラム・街ネタ

東京のコラム・街ネタをもっと見る

特集

特集一覧を見る

記事検索