日本男子フィギュア・ジュニア勢で羽生結弦に迫る選手は出てくるか?

 2018年の全日本選手権で髙橋大輔が2位になったことからもわかるように、男子フィギュアスケートは、羽生結弦、そして宇野昌磨を脅かす次の世代がなかなか台頭してきていない。そんななか、11月の全日本ジュニアで熾烈な優勝争いをしたジュニア勢の成長が、全日本では注目ポイントのひとつになっていた。

 その期待どおり、ショートプログラム(SP)は新たな可能性を見せる戦いの場となった。その一番手となったのは、今季ジュニアグランプリ(GP)ファイナルに日本ジュニア勢で唯一の出場を果たし、フリーで4回転トーループを決めて銅メダルを獲得していた島田高志郎だった。


全日本選手権で5位に入った島田高志郎

 2年前から拠点をスイスに移してステファン・ランビエールコーチの指導を受けている島田は、冒頭のトリプルアクセルを1.17点の加点をもらう出来で決める。その後も3回転フリップと3回転ルッツ+3回転トーループを1.29点と1.52点もらうジャンプにし、80.46点を獲得。髙橋大輔に次ぐ3位につけた。島田の技術点は髙橋を上回る44.22点だった。

「去年(2017年)ケガをした時にジュニアのみんなの結果を見ていたけど、トリプルアクセルは難しいジャンプではなくて必要なジャンプと認識させられました。それが、今季はトリプルアクセルが得点源になっている理由だと思います。ファイナルの後は追い込んでやってきたわけではないですが、それでもこの結果を出せたので今後へ向けての自信になりました」(島田)

 そう言って笑顔を見せた島田に続き、全日本ジュニア5位の鍵山優真もSPでトリプルアクセルをしっかり決め、最後の連続ジャンプの3回転ルッツが”ノットクリアーエッジ”と判定されたものの、ほぼノーミスの滑りで74.51点を獲得して6位発進となった。鍵山のコーチである父・正和は、全日本を3連覇して1992年アルベールビルと94年リレハンメルの2大会で五輪出場を果たしており、親子2代での活躍も注目されている。

 フリーは、最終組の最終滑走だった島田。「昨日の公式練習までは(調子が)よかったですが、今日は朝起きた瞬間から緊張して演技の前は逃げ出したいくらいでした」と、最初の4回転トーループが2回転になり、後半の最初の4回転サルコウも2回転に。その結果、合計219.78点で総合5位に終わった。

「演技後にステファンから『後半の4回転はサルコウではなくトーループにすればよかったね』と言われましたけど、練習で確率がいいトーループにスマートに置き換えることができなかったので、気持ちの切り替えの必要性も感じました。でも普通ではできない経験ができたし、3連続ジャンプを含む後半の4本のジャンプは大きなミスもなくできたので収穫かなと思います」

 そう振り返った島田は2019年3月の世界ジュニア出場を決め、次のステップへ向かうことになった。

 島田に次ぐ6位になったのが、SP6位の鍵山だった。フリー2本目のトリプルアクセルでは手をつき、後半の連続ジャンプは最後が両足着氷になって減点されたが、それ以外は勢いのある滑りを見せて、合計を216.36点にした。

 また、全日本ジュニアで優勝したSP11位で高1の壷井達也は、フリーで最初のトリプルアクセルこそ転倒したが、直後のトリプルアクセル+2回転トーループを決め、その後はほぼノーミス。合計を214.87点にして7位まで順位を上げた。そのほか、SP8位で高2の木科雄登は、フリーで挑戦したトリプルアクセルの2本目で転倒したものの、それ以外は手堅い滑りで総合8位と、ジュニア勢の競り合いに食らいついている。

 全日本選手権の5〜8位にジュニアの選手が入る結果となったが、今回12位にとどまった中3の佐藤駿も注目選手のひとりだ。今季はジュニアGPシリーズに出場できなかったが、全日本ジュニアではフリーで4回転トーループを2本跳び、後半にトリプルアクセルを2本入れるシニア並みの構成で挑んで総合2位になっていた。来シーズンはまずジュニアGP出場を目標にしており、そこでしっかり勝負できる力は持っているだけに、将来が楽しみな存在だ。

 日本スケート連盟の小林芳子フィギュアスケート強化部長は、「女子に比べて男子は成長に時間がかかるが、宇野選手が4回転トーループとトリプルアクセルを同じシーズンに跳べるようになって一気に成績を上げたように、男子の場合は体ができてくればまだまだ伸びる可能性を持っている」と話す。

 そんな躍進のシーズンがまもなくやってきそうな予兆を感じさせるのが今季だ。しかも高2から中3までの選手が塊になって伸びてきている。そのうちふたりが4回転を試合で跳べるようになったことで、他の選手の意識も高くなっている。今季のシニア勢は羽生と宇野以外は得点的にもやや低迷しているだけに、ジュニア勢の台頭がさらに加速すれば大きな刺激になり、日本男子フィギュアスケートがレベルアップしていく原動力になるはずだ。

著者:折山淑美●取材・文 Text by Oriyama Toshimi 能登直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)


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