アジア杯は日本代表のここを見よ。柴崎・遠藤の信頼性、大迫の代わりは?

アジアカップの見方〜杉山茂樹×浅田真樹(前編)

 森保ジャパンの発足以来、初めての公式大会となるアジア杯。メンバーが様変わりした日本代表の戦い方と見どころについて、サッカーライターの杉山茂樹氏と浅田真樹氏が語り合った。


日本代表を支える守備的MFとして期待がかかる遠藤航

浅田 アジア杯の日本代表のメンバーを見て、一番の率直な印象は、若返ったなということです。出場資格のあったオリンピックごとに4年で世代分けをすると、リオ五輪世代ないし東京五輪世代が半分弱まできている。とくに中盤から前。中盤なんかは9人中5人がリオ五輪世代で1人が東京五輪世代なので、半分以上がリオ以降ということになる。加えて、その若い選手たちが、すでに半分ぐらいは海外クラブの所属になっているので、若くして海外に行く選手が多くなったんだなと思いました。

杉山 ケガ人を除けば順当といえば順当な人選なんでしょう。でも、もっと若返っちゃってもよかったかなという気もします。結構なベテランも入っているけど、なかには年齢的にどう見ても次のカタールW杯は無理だろうなという選手もいるじゃないですか。それだけ、今回のアジア杯で勝とうとしているんだろうけど。

浅田 ただ、W杯の半年後にアジア杯が行なわれるようなった過去2回、8年前のカタール大会と4年前のオーストラリア大会の日本は、比較的、直前のW杯の流れを引き継いで、同じようなメンバーで戦いました。4年前のハビエル・アギーレも、監督に就任した最初のころはずいぶんいろいろなメンバーを招集していたけど、アジア大会の本番では遠藤保仁や長谷部誠、岡崎慎司、本田圭佑といったブラジルW杯のメンバーを中心にして、しかもそれを固定して戦った。そういう意味では計算できるメンバーで戦ったわけですが、今回は違います。

 たとえば前線の4人、「大迫勇也(ブレーメン)、中島翔哉(ポルティモネンセ)、南野拓実(ザルツブルク)、堂安律(フローニンゲン)はある程度計算できる」と言うけど、短期間で連戦こなすひとつの大会をA代表では戦ったことはないから、未知数のところが結構ある。悪く言えば危なっかしい部分もあって大コケする可能性もあるし、一気に化けるきっかけになる可能性もある。どちらもあり得るという意味で、楽しみです。

杉山 ポジション別に見ていくと、確かに前の4人は明るい材料だけど、GK、CBらディフェンス陣は相当、不安が残ります。

浅田 いまだけの話ではないですが、GKに関しては、ずっとベテラン頼みで計画的に次を育ててこなかかったという感じがします。川崎フロンターレ、鹿島アントラーズなどJリーグでも上位のチームは外国人GKが多い。

杉山 プライオリティの1位は東口順昭(ガンバ大阪)なんだろうけど、Jリーグでプレーする外国人GKに比べると、ちょっと頼りない。ただ、探せば他にいるのかといえば、いないというのが実状で、クォン・スンテ(鹿島)とか、借りてきたいところだね。似たことはCBにもあって、人材豊富とは言えない。中心になっている吉田麻也(サウサンプトン)からして、所属チームで最近ようやく試合に出るようになったけど、コンスタントではない。槙野智章(浦和レッズ)は年齢的な問題があるし、冨安健洋(シント・トロイデン)も悪くはないけど、レベル的にはまだちょっと足りないところがあると思います。

浅田 その点、SBは他にも候補者はいるし、比較的層が厚いですね。

杉山 前の4人がいつになくいいとして、それを全体とどう連結させるかを考えると、僕はSBの働きがポイントだと思います。たとえば左サイドMFの中島は右利きですよね。そうすると、本当は左SBは左利きのほうがいいんです。長友佑都(ガラタサライ)は安定感のあるこなれた選手だから選ばれているのだろうけど、そこがちょっと引っかかる。

 また、佐々木翔(サンフレッチェ広島)は、どう見てもプレーエリアが低いんです。僕には佐々木という選手はスリーバックの左というイメージがあって、実際にヴァンフォーレ甲府ではそこをやっていたし、広島が今季、スリーバックで戦った時もそうだった。うまいへた以前に、左ウィングの選手と高い位置で絡む姿が想像しにくい選手です。

浅田 左より酒井宏樹(マルセイユ)、室屋成(FC東京)の右のほうが、ハイレベルでの層の厚さがありますね。あと、この大会でポイントとなるのは守備的MF。ズバリ、遠藤航(シント・トロイデン)がひとり立ちするかどうかです。このポジションは長らく遠藤保仁、長谷部誠に頼ってきたところがあって、そのツケなのか、若い選手が出ないまま今に至ってしまった。柴崎岳(ヘタフェ)にしても、継続的に主力として使われてきたわけではなくて、ロシアW杯で初めて中心選手となり、それがそのまま続いているわけです。

 秋に行なわれた親善試合での遠藤を見ていると、前との連係も悪くないし、縦に入れる感覚も悪くない。その遠藤が、相手が日本に一泡吹かせてやろうとシビアにやってくる試合で頼りになるかどうか。リーダーシップみたいなことも含めて、彼が主力として収まるかどうかは大きいと思います。

杉山 前の4人に比べると、このポジションは、スペインでほとんど出られていない柴崎を含めてまだ定まっていませんね。この時期に定める必要はないと思うけど、柴崎にしても遠藤にしても、どこまでできるのか見えていないんです。見えていないゾーンが若干でもクリアにならないと、先に進めない。

「遠藤、確実に使えるね」「柴崎でいける」というムードを、2人のうちどちらかが漂わせないと、また1から探さなければならなくなってきます。前の4人がどれだけ強力でも、守備的MFが弱いとサッカーは始まらない。攻める人と守る人に二分される、前時代的なサッカーになる。ここが活躍しないとアジア杯でも苦戦するし、成績に比例するんじゃないですか。

浅田 杉山さんの言うように、この段階から遠藤で固めてしまう必要はないと思いますが、重圧のかかるシビアな試合でも「遠藤は計算できる」という手応えはほしいところです。

 あと、前線でいえば、大迫がいないときにどうするか、ですね。ロシアW杯の時から続いている問題ですが。別に大迫と同じことができる必要はないので、「武藤嘉紀(ニューカッスル)になったらこうする」「北川航也(清水エスパルス)になったらこうなる」という目処を立てたいというのがあります。

杉山 CFって、普通は途中で交代するものじゃないですか。毎試合90分出場するポジションじゃないですよ。だから大迫が交代することを前提に、たとえば4−2−3−1でいくのか、4−4−2や4−3−3に変えるのかを含めて、考えなければいけない。それは中島、南野、堂安も同じで、第2列の選手も90分出るというより、崩さないといけないポジションです。終盤、足が止まるのは前の選手なんだから、4人をどうやってバランスよく代えていくかがポイントになります。

浅田 2列目の3人は、彼ら自体がニューカマー的な存在で、彼らが出てきたのにすぐ次を求めるというのは贅沢なリクエストだと思うのですが、CFに関しては、長らく大迫しかいない状況が続いている。ロシアW杯のポーランド戦で、武藤が入ったらあまりサッカー的にうまくいかなかったというようなこともあるので、そろそろそこをどうするんだというのを考えないといけない。

杉山 大迫が出るのと他の選手が出るので、ゴールの奪い方が変わってくるのは当然なんです。問題は大迫がいる形しか見えていないことで、もっと「こういうやり方があったんだ」というのがあっていいと思います。4−3−3にして、前を3人にしてインサイドハーフを2人にするとか、システム変更を含めて選択肢を増やすことが大切で、在庫が豊富じゃないんだから、ひとつのやり方しかないというのがマズい。

浅田 たとえば南野をトップに入れて、中島をトップ下して伊東純也を2列目に入れるとか、明確にポストを置かないサッカーでもいいし、やり方はいろいろあるでしょう。必ずしも「大迫のスペアを探す」と考える必要はないですよね。

杉山 そういう意味では、監督にどれだけのアイデアがあるかも、このアジア杯の見もののひとつになるでしょう。交代メンバーのカードの切り方に、代表監督としての可能性を見て取ることができると思います。

(つづく)

著者:text by Sportiva photo by Sano Miki


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