ベスト11に選ばれた長谷部誠。代表引退もモチベーションは変わらず

ベスト11に選ばれた長谷部誠。代表引退もモチベーションは変わらず

 キッカー誌の2018〜19シーズン前半戦ベストイレブンに、DFとして長谷部誠(フランクフルト)が選出されたことは、日本でも大きく報じられた。長谷部はキッカー誌だけでなく、南ドイツ新聞という一般紙でもベストイレブンに選出されている。

 長谷部のベストイレブン入りはドイツでも話題になったが、それよりもGKマヌエル・ノイアーと、DFマッツ・フンメルス、ジェローム・ボアテングが選ばれなかったことが反響を呼んでいる。この3人はバイエルンの主力であり、ドイツ代表の守備の要でもある。ドイツ代表とバイエルンが並ぶように凋落していったことの象徴のようにも見える。

 ちなみにキッカーの表紙にはノイアーの大きな写真が載り、その横に長谷部と、GK部門でベストイレブン入りしたドルトムントのロマン・ビュルキの写真が掲載されていた。主役はベストイレブンを逃したノイアーだった。

 それにしても、今季前半戦の長谷部の戦いぶりに感心させられるばかりだった。多くの海外組日本人選手が苦戦するなか、長谷部の安定ぶりは際立っていた。

 長谷部はブンデスリーガの開幕前に行なわれたバイエルンとのスーパカップと、ドイツ杯1回戦にフル出場した。ところがチームは2連敗。するとリーグ戦の開幕から2試合はベンチメンバーから外れ、第3節ドルトムント戦も、ベンチには入ったものの出場なしに終わった。

 当時、体調不良によるとの報道もあったが、本人は「そういう問題じゃなかったと思います」と話している。チーム内での序列がいったん下がったということだ。だが、すぐにそれを覆し、スタメンに返り咲いた。そして返り咲いてしまえば、フランクフルトは長谷部のチームになっていた。

 今季の開幕前後は、モチベーション的に問題があったのだとも明かしている。ロシアW杯が終わり、少し気が抜けたところがあったということだろう。だが、メンバーから外されたことで闘志に火がついたという。指揮官にそんな意図があったのかどうかはさだかでないが、メンバーから外されたがことが、結果的には功を奏した。

 長谷部だけでなく、W杯の後遺症は多くの代表選手にあるものなのではないかと思う。精神的に負荷がかかり、集中力を要する大会が終わって、少しフワッとしてしまったとしても、責めることはできないだろう。ただ、多くの選手がそんな気持ちをひきずったまま前半戦を折り返したのに対して、長谷部はわずか3試合でポジションを取り返した。

 代表を引退したことで、フランクフルトでも、もう少しのんびりとプレーするのかと想像していた。実際、代表の主将を退いた長谷部の話ぶりからは、以前のようなピリピリしたものが消えたと、ドイツで取材する報道関係者の多くが感じている。代表戦期間中の休みが増えて、家族との時間が持てることを素直に喜ぶなど、現役選手とは思えない余裕すら感じられた。

 だが、リーグ戦に対するモチベーションには変わりがなかった。

 プレースタイルに関していえば、従来のボランチだけでなく、ニコ・コヴァチ前監督が率いていた2シーズンで、リベロのポジションを自分のものにしたことが大きい。ふたつのポジションを、レベル的に遜色なくこなせるということは、チームと監督に戦術の選択肢を与えることになる。相手の出方を見てから自分たちの戦い方を変えることが、ピッチ内の選手を動かすだけでできてしまうのだ。

 また、リベロに下がることで、ボランチに比べれば運動量の負担を減らすことができる。長谷部自身は「目だけでプレーしないようにしたい」と言っているが、ベテラン選手にとってメリットは大きいはずだ。

 もったいなかったのが、昨年12月に行なわれたヨーロッパリーグ(EL)第6節ラツィオ戦でのアクシデントだ。この試合、長谷部は左太ももの負傷で32分に交代。このケガで、12月の残り3試合は欠場した。すでにフランクフルトはEL決勝トーナメント進出を決めており、ラツィオ戦は消化試合だった。先発出場は長谷部への信頼度を感じさせはするが、無理せず休ませてもよかったのではないかと思う。

 長谷部はこれまで筋肉系のケガをほとんどすることなくきた選手である。それだけに、きちんと休んで完治してから復帰してほしいものだ。年間ベストイレブンにも入るような活躍ができるか、注視していきたい。

著者:了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko photo by Alex Grimm/Bongarts/Getty Images


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