アジアカップで露呈した森保Jの弱点。トルクメニスタンに苦戦の理由

アジアカップで露呈した森保Jの弱点。トルクメニスタンに苦戦の理由

 中島翔哉、堂安律、南野拓実。森保ジャパンへの期待値は、西野ジャパンに名を連ねていなかったこの若手3人の台頭で大きく上昇した。アジア杯直前のプレビュー企画には、負傷のためメンバーを外れることになった中島翔哉を除く2人が必ず登場。前景気を煽る役割を果たしていた。

 堂安は20歳、南野は23歳。向こう10年は言い過ぎにしても、少なくともカタールW杯までその地位は安泰であるかのように映ったものだ。しかし、アジアカップ初戦、トルクメニスタン戦を終えたいまはどうか。その株は下落したと言うべきだろう。苦戦の要因はいくつかあるが、2人の不出来は、当初、持ち上げられていただけに余計に目立った。

 試合は前半26分、トルクメニスタンがアルスラン・アマノフのロングシュートで先制。日本は0−1で前半を折り返した。先制点を奪われた後は焦りも加わり、病状はいっそう悪化。見るに耐えない状態で前半を終了することになった。

 トルクメニスタンの布陣は3−4−2−1。事実上5バックの態勢で、後ろに引いて構える守備的な作戦である。日本は、ボールを奪うや手数をかけずに攻め切ろうとする相手の術中にはまったわけだが、この手の相手と戦う際のセオリーを守らなかったことが、手を焼く大きな原因になっていた。

 それは、「引かれたら両サイドを突け」「両サイドから中央に潜り込め」である。ここで主役を務めるべきはサイドアタッカーになるが、右の堂安はその役割をまるで果たすことができなかった。

 ボールは左の原口元気より数段よく集まっていた。数多くのプレー機会に恵まれたが、同種のプレーを繰り返すばかりだった。プレーの選択は偏っていた。切れ込もうと真ん中をうかがうばかり。相手が守りを固める中央へ誘い込まれるように、非頭脳的な猪突猛進を繰り返した。

 大迫勇也の下で構える南野も、真ん中攻撃の渦中に飲み込まれた。人が密集するエリアで活躍するためには、リオネル・メッシばりの圧倒的な個人技が求められるが、南野にそこまでの技量はない。堂安同様、全体図が見えていない視野の狭さも目に付いた。非効率的なサッカーを象徴する選手に見えたのだ。

 堂安に話を戻せば、右サイドバック(SB)の酒井宏樹と絡む機会がほぼゼロだった。ボールを受けるのは、右というより中央付近。そこで強引なプレーに終始した。読まれやすい動きとはこのことだ。

 左利きの選手が右でプレーする場合、たとえば中村俊輔や本田圭佑がそうだったように、縦へのアクションを苦手にすることが多い。堂安もそのひとりで、そうした意味で新鮮味がないのだ。

 大会前、テレビのプレビュー番組に出演した堂安は、目標とする選手はモハメド・サラー(エジプト代表/リバプール)だと語っていた。しかし、サラーは右ウイングの位置でボールを受け、そこから縦に抜いていくことができる。

 印象深いのは、12月に行なわれたチャンピオンズリーグのナポリ戦だ。サラーは、対峙するナポリのカリドゥ・クリバリを前後のフェイントで翻弄。タイミングをずらして縦へ抜け、ゴールライン際からマイナスの折り返しを送る雰囲気を見せながら、そのままゴールへと蹴り込んだ決勝点のシーンである。

 だが、堂安にはこのプレーが期待できないのだ。プレーの幅が狭く、選択肢は限られている。まだ20歳なので、伸びシロはあると思いたいが、絶対的な引き出しの数は現状、少なそうである。ともすると順風満帆に見えるその将来だが、越えなければならない壁は確実に存在する。

 一方、左の原口は、堂安、南野に比べ劣勢だった。この試合のスタメンも、中島の離脱で巡ってきたチャンスのように見えた。しかし、勝利に貢献したのは堂安、南野ではなく原口だった。

 原口にパスが集まり始めたのは後半。左サイドの高い位置に大きく開いて構えたことと深い関係がある。12分、見事なターンで同点ゴールを決めた大迫を左サイドからの横パスでアシストしたのに続き、15分に再び大迫がマークした逆転弾でも、原口はその2つ前のプレーで絡んでいた。

 吉田麻也から送られたサイドチェンジ気味のパスを左の深い位置で受けると、その内側を走った長友佑都に丁寧に落とす。それを長友が真ん中に詰めた大迫へのアシストとしたわけだが、これなどは、引いた相手をどう崩すかのお手本だった。

 日本は、後半26分、堂安の放ったシュートが相手DFに当たり枠内に飛び込むラッキーゴールで3−1とした。その後、PKを献上。最終スコアを3−2でフィニッシュしたが、2点差にした時点で勝負あり、だった。また、そうしたムードを日本ベンチは作り出すべきだった。

 メンバーチェンジは不可欠だった。ところが、森保監督はそのカードを結局、1枚しか切らなかった。南野に代えて北川航也を投入した後半28分の交代のみである。

 タイミングはいくらでもあった。トルクメニスタンに3−2とされた終盤、日本はバタつきながら終了のホイッスルを聞いたが、そこで時間稼ぎの交代さえしようとしない森保監督は、かなり危なっかしく見えた。

 大会前、「7試合戦うつもりだ」と述べた森保監督だが、そのためにはメンバーのやりくりがカギになる。23人のメンバー、とりわけGKを除いたフィールドプレーヤー20人を、どうローテーションさせるか。監督の腕の見せどことだ。

 しかし、最弱国とおぼしきにトルクメニスタン相手に、森保監督は現状のベストメンバーを送り込み、メンバー交代も1度しか行なわなかった。ガチガチのサッカーをしてしまった。

 その余裕のなさがピッチに反映された一戦だったように見える。相手に1点を奪われると焦り、2点差に引き離して安全圏に入ったかに見えてもドタバタした戦いを繰り広げる日本の姿は、森保監督の胸中そのものだったと見る。

 1人しか交代できない監督。これではチーム全体のムードは上がりにくい。7試合を戦う体力もつきにくい。トルクメニスタン戦は、これまでの親善試合では明るみにならなかった森保監督への疑念が噴出した一戦でもあった。

 気になるのは次のオマーン戦(13日)のスタメンだ。トルクメニスタン戦とほぼ変わらぬメンバーで臨むと、決勝トーナメントに入ってから苦しくなる。選択肢は減る。アジアカップを戦う森保ジャパン。疑ってかかった方がよさそうである。


著者:杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki photo by Kishimoto Tsutomu/PICSPORT


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