看過できない点がある。森保Jのアジア杯初戦は、まれに見る酷い試合

看過できない点がある。森保Jのアジア杯初戦は、まれに見る酷い試合

 現地時間15時キックオフのこの試合、西に傾き始めた太陽が、特に前半は、日本選手を真正面から照りつけた。

「暑さは思った以上だった。体が動かないなと思った」(MF冨安健洋)

 普段とは違う芝やボールが、思わぬミスを誘発した部分もあるだろう。

「ボールの失い方がよくなかった。ピッチやボールの感触が合っていないと思うときもあった」(冨安)

 その理由を探し始めれば、思い当たることはいくつもある。だが、とにもかくにも、酷い内容の試合だった。

 日本代表は、アジアカップのグループリーグ初戦でトルクメニスタンと対戦し、3−2で辛うじて勝利した。MF南野拓実が、ホッとした様子で語る。

「難しい試合展開だったが、勝てたことがすごく重要。それは本当によかった」

 何でもないショートパスをトラップしたボールが大きくはずむ。味方同士でパスの狙いが合わず、相手選手にパスしてしまう。日本は「細かいミス、イージーミスが多く、カウンターを何回か受けた」(南野)。

 そのうちのひとつが、トルクメニスタンの先制ゴールにつながった。確かに、MFアルスランミラト・アマノフが放ったミドルシュートは強烈だったが、ボールの失い方の悪さ、失ったあとの切り替えの遅さ、ボールへの寄せの緩さなど、日本のミスによる失点と言っていい。

 後半は相手の動きが落ちたこともあり、結果的に逆転できた。日本が世界的な強豪国と対戦するときには、逆の立場に立たされるのと同じように、内容的な劣勢を個の能力でひっくり返す形での3ゴールである。

 キャプテンのDF吉田麻也が語る。

「ミスも多く、失点して試合を難しくしてしまった。後半に改善して、何とか巻き返して、初戦で勝ち点3を取ってスタートできたことが、最も大きなポイントだった」

 収穫は勝ったことだけ。最近の日本代表戦を振り返っても、これに匹敵する酷い内容の試合を思い出すのは難しい。

 しかし、だからといって、それほど目くじら立てるような試合でもないだろうというのが、率直な印象だ。

 ワールドカップでのベスト8を目標にする日本にとって、すでに4度も優勝しているアジアカップは、勝って当然、負ければ失態。得るものより、失うものが大きい大会だ。前回大会までは、優勝すればコンフェデレーションズカップ出場という”ボーナス”が得られたが、それすらなくなった今、その位置づけはますます難しくなっている。アジアの盟主としての威信や名誉を守るというお題目だけをモチベーションにするのは、正直言って限界がある。

 実際、大会に向けての準備を見ても、ワールドカップと比べれば、本気度の違いは一目瞭然だ。

 ワールドカップの場合、大会初戦の1カ月ほど前から国内キャンプに入り、その後、時差調整も含めた海外キャンプを行ない、大会を迎えるのが通例だ。

 ところが、今回の場合、日本とは5時間の時差があり、東京より約15度も気温が高い現地へ日本から直接入ったのが、大会初戦の1週間前。しかも、登録メンバー発表後に負傷者が続出したこともあって、メンバー全員がそろったのは、初戦のわずか数日前だ。これでは、環境への順化がやっとで、チームとしての戦い方のベースすら浸透させるのは難しい。大会が進むなかで徐々にギアを上げていく、というのが、実際のところだろう。

「自分たちが、本当にこの試合にかける決意と覚悟を持って臨んだのか。自問自答しなければいけない」

 吉田は試合後、厳しい表情でそう話していたが、その責任を選手だけに負わせるのは、酷というものだ。

「コンディションは今日(初戦)がピークとは思わない。スタッフも練習量を制限してくれている。2試合、3試合目と、どんどんよくならないといけない」

 吉田が話すように、当然、これから先は試合内容がよくなっていくという前提のうえでの評価ではあるが、最大7試合を戦わなければならない大会の初戦としては、勝ったことでよしとすべき試合だろう。

 ただし、試合内容にはある程度目をつぶったうえでなお、ひとつだけ看過できない点がある。3−1になってからの試合運びだ。

 前半は、トルクメニスタンの組織的な守備に苦しんだ日本だったが、後半に入ると、焦りが生じる暇もなく、早い時間(56分、60分)にFW大迫勇也の2ゴールで逆転に成功。71分にもMF堂安律が追加点を奪い、リードを広げた。日本はこの時点でミッションコンプリート。あとは何も起こさず、試合を終わらせるだけだった。

 ところが、日本は試合を落ち着かせることができず、漫然と攻めに出てはボールを失った。試合の主導権を握り、トルクメニスタンに勝利をあきらめさせることができなかった。

 その結果が、1失点目と同様、中盤でのボールロストをきっかけに、カウンターを受けてのPK献上である。この試合で日本代表では初めてボランチを務めた、冨安が振り返る。

「3−1になった時点で、そのまま終わらせないといけなかった。ボールを回しながら、(攻撃に)いけるときはいくというのは簡単なことではないが、やらなければいけない。自分自身もよりバランスを考えたりとか、もっとはっきりと(3−1で終わらせるために必要なことを)やってもよかった」

 吉田は「3−2になって、これはヤバいと正直思った」と振り返っていたが、むざむざ勝ち点3をフイにしかねない稚拙(ちせつ)な試合運びである。

 これから徐々にギアを上げていけばいいと、余裕の体で初戦に臨んでいるチームにしては、カッコ悪い締めくくりだった。

著者:浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki


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