勝敗のカギはロングスローか。打倒青森山田へ尚志が示す福島プライド

勝敗のカギはロングスローか。打倒青森山田へ尚志が示す福島プライド

 第97回全国高校サッカー選手権大会はベスト4が出そろい、1月12日、埼玉スタジアムで準決勝が行なわれる。どの高校にとっても、高校日本一まであと2勝だ。

 なかでも、最も優勝に近い位置にいるのは、青森山田(青森県)だろう。

 昨夏の全国高校総体では、よもやの2回戦敗退に終わったが、ユース世代の日本最高峰リーグ、プレミアリーグEASTでは2位となっており、全国屈指の実力を備えていることを証明している。MF檀崎竜孔(だんざき・りく/3年)、DF三國ケネディエブス(3年)という、ふたりのJクラブ内定選手をはじめ、選手個々の能力では今大会でも頭抜けた存在だ。

 大会前から優勝候補筆頭に推す声は多く、一昨年度の悲願の初優勝以来、2年ぶり2度目の選手権制覇を狙っている。

 そんな”横綱”に準決勝で挑むのが、2011年度の第90回大会以来、2度目のベスト4進出を果たした尚志(福島県)だ。

 7年前、初めてベスト4に進出し、憧れの国立競技場のピッチに立った尚志。しかし、当時は”ピッチ外”の話題が先行していた感が否めない。2011年度の大会とはすなわち、東日本大震災のおよそ10カ月後に行なわれた大会だったからである。

 甚大な地震と津波が東北地方を襲ったばかりか、福島は原発被害にも見舞われた。尚志サッカー部も、一度は活動がストップしたという。

 チームを率いる仲村浩二監督は当時、「震災後、一度解散したチームがまた戦えるのか、不安があった。みんな、戻ってこないんじゃないかと思った」と述懐している。

 結果的に、尚志は初の準決勝で四日市中央工に1−6で敗れはしたが、仲村監督は「福島県に勇気と感動を与えようと言ってやってきた。希望の1点をとってくれて、すごく思い出に残る大会になると思う」と語り、納得の様子を見せていた。未曾有の大災害後の大会だったことを考えれば、望外の健闘だったに違いない。

 しかし、あれから7年。福島のみならず、東北地方全体の復興が少しずつ進むなか、尚志は初の決勝進出をはっきりとターゲットに見据え、準決勝を迎える。

 今年度の尚志は、プリンスリーグ東北を15勝1敗2分けという圧倒的な成績で制覇。その後、プレミアリーグプレーオフも勝ち抜き、来年度のプレミアリーグEAST参入を決めた。

 今大会でも、2回戦で3年前の選手権王者である東福岡(福岡県)を、3回戦では昨年度選手権王者の前橋育英(群馬県)を相次いで下し、激戦区を勝ち抜いてきた。過去に優勝経験を持つ強豪校に比べ、知名度では劣るゆえ、尚志の勝ち上がりを番狂わせや金星と見る向きもあったが、今年度の実績を考えれば、勝ち上がるべくして勝ち上がってきたと言ってもいいだろう。

 キャプテンのMF大川健(たける/3年)が、周囲の低評価に反発するように語る。

「ダークホースと言われるが、(東福岡や前橋育英と)互角以上の力があると思っていた。絶対勝てると思っていたし、実際勝てた。自信はあった」

 過去の選手権王者を次々に退けてきた尚志にとって、次なるターゲットは2年前の王者、青森山田である。

 今年のチームでの対戦経験は、およそ1年前。「(新チームの)新人戦で対戦し、0−1で敗れている」と大川。だが、キャプテンは「負けたけど、感触として悪い流れではなかった」と振り返る。

 尚志はここまで、難敵相手に接戦を制して勝ち上がってきただけに、青森山田相手にも試合終盤まで競った展開に持ち込みたいところだ。

 そんななか、青森山田の強力攻撃陣を迎え撃つ、センターバックのDFフォファナ・マリック(3年)が、「青森山田は個々のレベルが高く、セットプレーがすごく強い」と語るように、勝敗のカギを握りそうなのは、セットプレー。なかでも、ロングスローだ。

 青森山田は準々決勝の矢板中央(栃木県)戦で、1点を先制されながら、ロングスローから2ゴールを挙げ、逆転勝ちを収めている。フォファナは「集中を切らさず、ひとつはね返したあとのセカンドボールにもしっかり対応したい」と警戒を強める。リスタートからの失点を防ぐことができれば、接戦に持ち込める可能性は高くなるはずだ。

 尚志は、青森山田のように傑出した選手はいないものの、総じて技術レベルは高く、どこからでもチャンスを作れる。エースストライカーのFW染野唯月(いつき/2年)が、準々決勝の帝京長岡(新潟県)戦でワンチャンスを生かした決勝点を叩き出すなど、今大会好調なのも心強い。

 大一番に向け、大川が語る。

「同じサッカーなので、やることは変わらない。いつもどおりやるだけ。青森山田は中盤の1対1で厳しく、気持ちを見せてくるチーム。気持ちで負けてはいけないが、(頭は)冷静にやりたい」

 尚志は青森山田を破り、福島県勢初の決勝進出を果たせるのだろうか。

 7年ぶりに立つ準決勝の舞台は、東北チャンピオンの実力を示す場であると同時に、福島の元気を全国にアピールする場でもある。

著者:浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki


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