対照的な流経大柏と瀬戸内。高校サッカー決勝の舞台に進むのは?

対照的な流経大柏と瀬戸内。高校サッカー決勝の舞台に進むのは?

 全国高校サッカー選手権は、ベスト4が出揃った。1月12日に埼玉スタジアム2002で準決勝が行なわれる。

 注目は前回大会準優勝の流通経済大柏(千葉県)と、初出場の瀬戸内(広島県)のカードだろう。11年ぶりの優勝を狙う千葉の名門か、勢いに乗る広島の新鋭か。1月14日に行なわれるファイナルの舞台に立つのは、果たしてどちらのチームか。

 流経大柏は、ここまで手堅いサッカーで勝ち上がってきた。初陣となった2回戦の徳島市立(徳島県)戦は先制点を奪われる苦しい展開となったが、10番を背負う熊澤和希(3年)の2ゴールで2−1と逆転勝ち。苦しみながらも初戦を突破すると、3回戦では開始5分に生まれた関川郁万(いくま/3年)のゴールを守り抜き、1−0で星稜(石川県)に競り勝った。

 準々決勝でも、立ち上がりに生まれたゴールが決勝点となり、秋田商(秋田県)を1−0で撃破。いずれも1点差の辛勝ながら、鹿島アントラーズ入りが内定しているCBの関川を中心とした堅守に隙はなく、危なげない勝ち上がりを見せている。

 今年の流経大柏の特徴は、ハイプレスを軸としたインテンシティの高いサッカーにある。鋭いプレスと球際の戦いを重視し、相手の自由を奪うと、攻撃は縦にシンプルなボールを入れて2トップのスピードを生かす。相手DFに対応されても、CKやスローインを獲得し、プレースキックやロングスローから得点機を高めていく。

 創造性には欠けるものの、合理的で、勝利至上主義のサッカーを徹底していると言えるだろう。

「僕たちは負けることが許されないチーム。どんな戦いであろうと、どこが相手であろうと、負けてはいけない。監督も勝負に対するこだわりが強いので、選手もその気持ちで戦っている」

 関川がそう語るように、勝利に対する執着心の強さこそが、流経大柏の最大のストロングポイントだろう。

 そこには昨年、決勝で敗れた悔しさも含まれるはずだ。大前元紀(現・大宮アルディージャ)を擁し、初優勝を成し遂げた2007年大会以降、流経大柏は選手権の頂点に立てていない。2010年と2014年大会ではベスト4どまり、そして昨年大会は終了間際の失点で、前橋育英に苦杯をなめた。

「振り切ろうと思っても振り切れない。今でも夢にも出てくる失点」

 昨年大会にも出場した関川は、そう悔しさを吐露する。そのリベンジの想いもまた、今大会にかける彼らの原動力となる。

 準々決勝では、狙いどおりにセットプレーから多くのチャンスを作りながら1点どまり。

「少ないスコアでも勝ち切れるのがよさ」と関川は語る一方で、追加点を奪えなかった反省も忘れない。準決勝に向けて、「この1週間、セットプレーを意識してやっていきたい」と言うように、セットプレーの精度こそが流経大柏のカギとなりそうだ。

 一方の瀬戸内は、まさに今大会のダークホースと言えるチームだ。

 初出場校の当初の目標は、ベスト8。しかし、初戦となった2回戦で都市大塩尻(長野県)に1−0で競り勝つと、3回戦ではエースの中川歩夢(2年)の2ゴールで岡山学芸館(岡山県)に2−1と逆転勝ち。準々決勝では攻撃力に優れる日本航空(山梨県)に臆することなく立ち向かい、吉田寛太(3年)のゴールを守り抜いて1−0と勝利を掴んだ。

 チームを率いる安藤正晴監督は、選手の自主性と個性を生かし、ボールを大事にするチームを作り上げてきた。そもそも、今年のチームは立ち上げ当初から、「蹴って走るサッカー」を展開してきたという。しかし、春先のプリンスリーグなどで結果を出せず、方向転換を強いられた。

「僕たちは小柄な選手が多いので、つないだほうが絶対にいいということを、監督を含めて話し合って、夏からこのサッカーに取り組んできました」

 キャプテンを務める佐々木達也(3年)が言うように、選手たちが自発的に考えて、自分たちにあったサッカーを模索していったという。最終ラインからボールをしっかりつないで、けっしてロングボールに逃げることはしない。そのスタイルの徹底こそが、選手権初出場、さらにはベスト4進出という快進撃につながった。

「選手が試合ごとに成長してくれている。とくにボールを動かすことを、自信を持ってやっている。たとえ最初はつなげなくても、勇気を持って、できるだけ蹴らないようにやってくなかで、つなげるようになる。(準々決勝の日本航空戦でも)前半はうまくいかなかったが後半は、自信を持ってボールを動かしてくれた」

 安藤監督もやり続けることで、成長していく選手たちの姿に身を細めた。

 参考にしているのは、リバプールだという。4−3−3の布陣を採用し、前からハメていくサッカーを狙う。ボールを奪えばインサイドハーフのふたりが高い位置にまで顔を出し、ダイレクトの連動で相手ゴールに迫っていく。

 カギを握るのはインサイドハーフのふたりだ。このポジションを務めるのは、キャプテンの佐々木と準々決勝で決勝点を決めた吉田だ。

「しっかりと中でハメて、ショートカウンターを狙うのが大事。受ける時は受けて、抜ける時は抜ける。僕と吉田が起点となれば、いい形になると思う」

 佐々木は流経大柏との準決勝のポイントを、そう語っている。

 もちろん、全国屈指の強豪相手に、厳しい戦いとなることは間違いないだろう。それでも佐々木は、「自信を持って、ボールに背を向けず、もらいにいく姿勢を見せてチームワークで戦いたい」と、あくまでスタイルを貫いて、真っ向勝負に挑む覚悟だ。

 インテンシティの高さとハードワークを武器とする流経大柏。ボールを大事にし、素早い連動から相手ゴールに迫る瀬戸内。そのスタイルは対照的だが、日本一を目指すモチベーションに優劣はつけられないだろう。

 勝るのはリベンジの想いか。初出場校の勢いか――。

著者:原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei


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