オシムからアジア杯の日本代表へ。「初戦の勝利は最大の薬だ」

オシムからアジア杯の日本代表へ。「初戦の勝利は最大の薬だ」

 サラエボが雪景色に変わるこの季節、私は家からほとんど出ることはない。妻のアシマが私の身体を心配して外出を許してくれないのだ。おかげで私はゆっくりとサッカー観戦をすることができる。なかでもアジアカップでの日本を見ることは、大いなる楽しみだ。なぜなら日本は、私がこれまで率いてきたチームの中でも特別な存在だからだ。日本は常に私の心の中にある。

 昨年の夏、ロシアで日本はすばらしい戦いを見せた。闘争心にあふれ、強く、プレーには明確なビジョンがあった。その経験を糧にした日本が、アジアカップでどんな戦いを見せてくれるか、たいへん興味深い。

 アジアカップの日本の初戦、トルクメニスタン戦を私は大いなる興味を持って見守った。

 日本の勝利は私を喜ばせたが、けっしして簡単な試合ではなかった。どんなチームであれ、リードされて1点を追う形でプレーするのは難しいものだ。それを大迫勇也が2点、堂安律が1点を決め、3−1と覆したのは見事ではあったと思う。この時、私は日本の勝利を確信した。

 そこまでのボール支配率は日本72対トルクメニスタン28。数字の上からも日本が完全に試合を支配していた。ただし、PKで3−2とされると、日本の状況はまた難しいものになった。トルクメニスタンが本気で3点目を狙いにくるようになったからだ。幸いにも、そして日本の守備がよかったこともあり、引き分けにはされなかったが、アディショナルタイムの4分は非常に危険な時間帯だった。

 日本は積極的に攻撃し、相手チームよりも的確で、勇敢で、スピードあるプレーをしていた。かつての日本には、ミスをするとすぐに自らのゴールを脅かされるという悪癖があったが、今や技術が向上したこともあり、プレッシャーのなかでも、慌てることなく落ち着いて正確なプレーができるようになった。今回も、ビハインドのまま終わった前半の嫌な流れを、後半に入って断ち切ったのは見事だったし、戦術の修正も的確だった。

 W杯後にまた監督が交代すると聞いて、私は多少の不安を感じていたが、新監督の森保一はU−21代表の監督であり、ロシアW杯では西野朗監督のコーチを務めていたと聞く。つまり経験もあり、代表チームも熟知しているということが私を安心させた。

 彼がどんなサッカーをしたいかは、チームの編成からも読み取ることができた。彼はハイテンポなパスワーク、素早い攻撃を求めている。2人のサイドバック、酒井宏樹と長友佑都はスピーディーに攻め上がることのできる選手で、今回も攻撃に力を与えていた。

 初戦での勝利は、チームの健康を保つ最大の薬だ。勝ち点3を手にしたことで、心理的に今後の試合を楽にプレーすることができるだろう。

 ただ、次に対戦するオマーンには気をつけたほうがいい。初戦のウズベキスタン戦でオマーンは、ウズベキスタンと互角に戦いながらも敗れた。次の日本戦では、何が何でも勝とうと牙をむいてくるはずだ。まさに「生か死か」の戦いとなるだろう。日本代表はあらためて気持ちを引き締め、対峙すべきである。

著者:ズドラフコ・レイチ●文 text by Zdravko Reic 利根川晶子●翻訳 translation by Tonegawa Akiko


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