ドラ1猶予も今年までと覚悟。ロッテ平沢大河、正遊撃手へ猛アピール

ドラ1猶予も今年までと覚悟。ロッテ平沢大河、正遊撃手へ猛アピール

 春季キャンプまで残り10日を切ったある日のこと、プロ4年目を迎えた平沢大河(ロッテ)が現在の心境について、こう語っていた。

「どこにきっかけがあるかなんて、わからないですからね。これまで重ねてきた練習や経験のなかからチョイスできるものがあるのか。それともないのか。それを見つけるために毎日やっているようなものですから。日々の反復練習だってそうですよ」

 そう言って、平沢はグラブに目をやった。

 プロ入りしてから3年間、平沢はあらゆる壁にぶつかりながら、その答えを探そうと数え切れないほどバットを振り、ノックを受けてきた。そのなかでかすかに見えてきたものがある。

 昨シーズンの平沢は、打率.213、5本塁打、32打点と決して満足のいく数字ではなかったが、シーズンを通して一軍でプレーし、本職ではない外野も経験。その結果、自己最多となる112試合に出場した。疲労との戦いもあったが、それでも自らに課した練習は最後までやり遂げるなど、大きな自信を得た。

「シーズン終盤は体力的に結構きつかったんですけど、それでも練習量は抑えないようにと思っていたので、そこはできたかなって思います」

 慣れない外野の守備も無難にこなし、「今年も外野で……」というファンの声もちらほらと聞こえてくるが、本職のショートでレギュラー争いをできるだけの力を備えているのは間違いない

「(ショートを)やりたいなとは思っていますが、試合に出られるのならどこでもいい。しっかり準備したいと思っています」

 そう語る平沢だが、胸に秘める思いは当然ある。

 自主トレ期間中、連日、ロッテ浦和球場のグラウンドで、1ケース分のノックを内野で受けていた。その姿からは「ショートのポジションを奪ってやる」という決意が込められているようだった。

「第一印象が大きいと思うので……『今年は違うぞ』というのを見せられればいいなと思います」

 昨年11月の秋季キャンプ終了後に、平沢はピッチャーの酒居知史(さかい・ともひと)、種市篤暉(あつき)らとともにABL(オーストラリアン・ベースボール・リーグ)に参加し、技を磨いた。一昨年の台湾に続き、2年連続となるウインターリーグの参加だったが、平沢は秋季練習で学んだことをすべてぶつけようと考えた。

 千葉・鴨川で行なわれた秋季キャンプで、鳥越裕介ヘッドコーチや小坂誠一軍内野守備・走塁コーチ(現・二軍内野守備・走塁コーチ)とともに内野守備の基本的な動きを繰り返し練習した。そのなかで自分の形というものがかすかに見えてきたと平沢は言う。

「昨年からトリさん(鳥越コーチ)が来て、いろいろとやらせてもらいましたけど、その感覚はできあがりつつあるのかなと感じています。あとはそれをこれからも継続してやっていこうという感じです」

 それは自主トレでも実践。捕ってから送球するまでの一連の動きは、入団1年目の頃と比べれば段違いのスピードである。1年目に首脳陣から指摘された捕球から送球に移行する際の頭のぶれは消え失せ、スローイングはかなり安定してきた。

「こう捕ったらスローイングが安定するとかを考えなくていいようになったといいますか、コーチから言われてきたことがだんだんとわかってきました。『こうじゃないのかな』と自分なりの解釈はしっかりありますし、そこをもっと練習して、向上させて、(プレー中に)考えなくてもできるようにしたいと思っています」

 もちろん、進歩しているのは守備だけじゃない。バッティングも一段とたくましさが増してきた。昨年の成績では「打撃論など声高に言えることはない」と語るが、昨シーズンは多く打席に立てたことで、考え方、間の取り方、打ち方など、これまでにない感覚を身につけた。

「タイミングをゆったり取ろうと考えています。簡単に言うと、タイミングを早く取って、長く見るというイメージです」

 たしかに平沢の打撃練習を見ていると、以前と比べて打席での懐の深さのようなものが感じられる。

 守備、打撃で大きな成長を見せる平沢だが、球場ですれ違えば、選手、スタッフ、報道陣に対して、いつも相手の目を見て気持ちよく挨拶する姿は、1年目からなにひとつ変わっていない。そして日々、自分と向き合いながら野球に取り組む姿勢もなんら変わることがない。

「自分で考えながらやる。やっぱり、それが一番大事なんじゃないかって思うんです。そうやって日々考えながら過ごして、『こういう感じで打ったらいいのかな』『こういう感じで捕ればいいのかな』とか、そうしたものが見つかってくれればそれでいい。僕はいつもそう考えています」

 昨年暮れの納会の席で、井口資仁監督から「2019年はもっと厳しくいくぞ!」と言われたという。

 昨年までの経験を積ませる時間はもう終わり。ここからは結果が伴わないと使わない。ある意味、指揮官からの最後通告だった。もちろん、平沢も置かれている立場は十分理解している。

「昨年は打てなくても、試合に使ってもらえたりしたので……今年は使わなきゃいけないと思ってもらえるくらい、活躍できればと思っています」

 伝説の幕開け──そんな予感が漂うシーズンが、もうすぐそこまで来ている。

著者:永田遼太郎●文 text by Nagata Ryotaro


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