清宮幸太郎インタビュー。ホームランへのこだわり、父、そしてイチロー

 清宮幸太郎のプロ2年目がスタートした。ルーキーイヤーの昨年はキャンプで右手を痛め、オープン戦期間中には局限性腹膜炎で入院するなど、波乱のスタートとなった。それでも二軍で本塁打を量産し、5月に一軍デビューを果たした。結局、清宮のプロ1年目は、53試合に出場し打率.200、7本塁打、18打点。この結果をどう受け止めたのか。またホームランへのこだわりについても語ってもらった。


プロ2年目のシーズンに挑む、日本ハム・清宮幸太郎

―― 去年は右手のケガや突然の入院(限局性腹膜炎)もあって、キャンプからオープン戦の時期は野球どころじゃなかったと思いますが、今年は野球を楽しめている感じはありますか。

清宮 そうですね……でも、楽しめているというか、やっとしっかりシーズン前にチームの一員になって(野球を)やれているなという、そういう感じはあります。

―― 楽しめているというのとは、またちょっと違うんですか。

清宮 バッティングは楽しいんですけど、まだまだバッティング以外の練習でちょっと不慣れなところがあるので、そういうところは気を張ってやっています。

―― 守備、走塁……?

清宮 そうですね(苦笑)。

―― では、楽しいバッティングに関しては今、どういうことを意識しながらバットを振っているのでしょう。

清宮 意識しているのは……調子に、乗らないことかな。

―― 調子に乗らない(笑)、えっと、清宮選手が調子に乗るとどうなっちゃうんですか。

清宮 調子に乗ると、またケガをしちゃうかもしれないんで……もちろん、強く振ることは心掛けているんですけど、ただ、調子には乗らないように、と。

―― 強く振る先にケガのリスクがあるということですか?

清宮 そうではなくて、無理をしないというか、余計なことをしないように……。去年の春は、手にマメができていたのにそれをかばって無理して振っていたら、おかしくなっちゃったんです。しかも居残って振ったりして変に頑張っちゃったら、ケガをしたんで。だから今年は、強くは振るんですけど余計なスイングをしないというか、フリーバッティングのときは自由に打って、それ以外では調子に乗らないように……。

―― なるほど、調子に乗らないっていうのはつまり頑張り過ぎないってことですか。

清宮 まぁ、そうっすね(笑)。

―― 去年、プロの世界でやってみて、技術的な課題をどう感じたのでしょう。

清宮 技術的なことというよりは、メンタル的なところかなと思っています。(プロに入ってから)しっかり身体も鍛えられていますし、同じスイングをしていればその分、スイングスピードも速くなっていくと思いますから、そこらへんはあんまり気にしていません。むしろ打席での考え方とか気持ちの持ち方、あとは(同じピッチャーと)たくさん対戦するので、データとか、どういう傾向があるのかとか、そういうことを頭に入れながらやれればな、と思っています。

―― そのプロのピッチャーの攻め方のなかで、厄介だなと思ったことはありましたか。

清宮 タイミングですね。去年は差し込まれるケースが多くて、そうするとファウルになってしまうんです。僕はゆったりタイミングを取るほうなので、もっとゆとりを持ちながらタイミングを取ってみたり、始動を早めてできるだけ打ち損じをなくすとか、そういうところを詰めていければと思っています。落ちる球についてはたくさん見て身体で覚えたいということに尽きますし、インコースの高めに投げられることも多いんですけど、そこはストライクだから打ってやろうというんじゃなくて、もっと自分の打ちやすいところに絞って、得意なところを打つというふうにして打てればな、と……。

―― それで十分、ホームランを打てますからね。

清宮 いやぁ、どうですかね(笑)。そこはわかんないですけど、打てればいいなとは思います。ただ、ツーストライクに追い込まれてからの考え方は、変えていかないといけませんね。

野球を始めた頃から感じていた飛ばすことへの快感

―― 記憶に残っているもっとも古いホームランって、いつ打った一発ですか。

清宮 うーん、いつですかね。でも最初は軟式だったんで、ランニングホームランばっかりでした。ちゃんとオーバーフェンスしたホームランは小学生のとき、北埠頭のグラウンドで打ったのが一番、昔かな。あれは東京の天王洲の……運河を渡った先にあるグラウンドなんですけど、その北埠頭の試合で、投げてはノーヒットノーラン、打っては3打席連続でホームランを打ったことがあります。あれはホント、すごい日で……1本目がオーバーフェンス、2本目が場外、3本目がレフトにホームラン。でも、北埠頭ってすごく小っちゃい、小学生レベルの広さのグラウンドだったんですけどね。

―― その時の感触って、今、どんなふうに残っているんですか。

清宮 軟式のときは全然、打てていなかったので、やっと打てたな、という感じでした。もちろん、うれしかったです。

―― 飛ばすことに対しての快感は、いつ頃から感じていましたか。

清宮 それは野球をやり始めてからずっとじゃないですか。野球を始めてすぐ、みんなよりも遠くへ飛ばせるなって感覚があったっちゃあ、あったんですけど、でも、とくに(東京北砂)リトルに入った頃、そういうことをより感じました。

―― 子どもの頃から、自分だけはいつの間にかできていたな、という、持って生まれた才能を自分自身に感じたのはどういうところでしたか。

清宮 簡単にできたことですか? 何かな……球は速かったし、足も速かった。ラグビーではずっとバックスでしたし、当たり負けしたことはありませんでした。身体の強さは勝手に備わっていたかなと思います。あとは僕を取り巻く環境も、恵まれた才能のひとつだったのかな。ああいう家族(父はラグビーの名選手にして名監督の清宮克幸さん)がいて、小さい頃から身体の面、勉強でもサポートしてくれる人がたくさんいて、僕にいろんな引き出しを与えてくれました。それが何事にも動じない自分をつくってくれたと思っています。

―― 子どもの頃からずっと続けてきて、今につながっているな、と思うことはどんなことですか。

清宮 それは……食事かな。小さい頃からたくさん、いい食事を与えてもらってきましたし、高校の時も食事面ではずっと支えてもらいました。たくさんの知識も与えてもらいましたし、身体を大きくするためにはいつ、何を食べたらいいかということをいつも考えてきました。その延長で食事について考えることは今もずっと続けていて、身体を大きくする上で睡眠、トレーニング、食事は1対1対3だと思うくらい、僕にとって食事は重要です。

イチローからかけてもらったひと言で自信を深めた

―― 清宮選手が考える、カッコいい大人とは、何を持っている人ですか。

清宮 自然と、ついていきたいと思える人です。

―― それはお父さんですね(笑)。

清宮 うん、そうですね、確かに(笑)。

―― お父さんには何を教わったと思っていますか。

清宮 バカじゃ何もできない、ということです。常に「ああしたら、こうなるんじゃないか」という仮説を立てて、自分でやってみて、違ったらまた別の方法を探す、というアプローチを繰り返す。そういうプロセスを父親はすごく大事にしているので、そういうところはすごく学びました。野球にはそんなに詳しくないのかもしれませんけど、「こうすればいいんじゃないか、ああすればいいんじゃないか」ということを日頃から言ってもらえていますし、高校時代、僕がキャプテンだった時もたくさん相談に乗ってもらいました。

―― 最近、接したカッコいい大人といえば、お父さんのほかには誰が思い浮かびますか。

清宮 このオフ、イチローさんと一緒に練習させていただいたんですけど、カッコよかったです。

―― イチロー選手のカッコよさ、清宮選手はどういうところに感じたのでしょう。

清宮 それを一言で表すのは失礼かなと思うんですけど、本当に人間性がすばらしいなと思いました。神戸ではイチローさんと一緒に練習をする仲間がいらっしゃるんですけど、その人たちにひとりひとり、イチローさんがバッピ(打撃投手)をして、みなさんが順番に打つんです。ビックリしました。すごく気さくに話しかけてくれますし、人間性という言葉だけで表現するのはもったいないくらいです。

―― 練習ではどんなことを感じましたか。

清宮 動きが丁寧だなと……本当にひとつひとつの動きに意味があるというか、ムダがないというか、そんな感じでした。あとすごく感じたのは、好きなことをずっとやっているなということです。野球はもちろん大好きでしょうし、食事でもずっと同じものを食べているじゃないですか。2日間、一緒に練習させていただいて、夜ごはんも朝ごはんも一緒だったんですけど、夜も朝も、決まったお店で同じものを食べているんです。おもしろいなと思いました。

―― イチロー選手からかけてもらった言葉で覚えていることはありますか。

清宮 バッティングを褒めてもらいました。手首の使い方がうまいなって……そこは自分でも自信があるところでしたから、うれしかったです。それにしてもイチローさん、とても45歳には見えないというか、今までに見てきたたくさんの30代半ばのプロ野球選手より10歳も上なのかと思うと、信じられません。ホント、すげえな、の一言です(笑)。

著者:石田雄太●文 text by Ishida Yuta


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