ロコ・ソラーレだけじゃない。カーリング女王をかけた戦いは激アツだ

ロコ・ソラーレだけじゃない。カーリング女王をかけた戦いは激アツだ

 北海道札幌市のどうぎんカーリングスタジアムで第36回 全農 日本カーリング選手権(2月11日〜17日)が開催される。

 女子の優勝候補筆頭は、昨年の平昌五輪で銅メダルを獲得したロコ・ソラーレだろう。

 長い五輪シーズンを終えて、今季は夏の終わりから本格的に氷上に乗る、ゆったりとしたシーズンインだったが、9月に新設されたW杯のファーストレグ(中国・蘇州)で今季初戦を戦うと、カナダへ飛んでグランドスラム(※ワールドツアーの中でもグレードが高い7大会の総称)を含むワールドツアー4大会に参加した。

 その後、11月には韓国・江陵で開催されたパシフィック・アジア選手権(PACC)に日本代表として出場。準優勝という結果を残して、今回の日本選手権優勝チームが得る世界選手権(3月16日〜24日/デンマーク)出場の切符をきっちりモノにした。

 12月に入ると、再び太平洋を渡ってアメリカ・オマハで行なわれたW杯セカンドレグに出場し、見事に優勝。さらに、続くグランドスラム2大会では、世界のトップチームを相手にいずれも5位入賞を果たすなど、世界レベルで互角以上の戦いを見せてきた。

 今季、チームが掲げるスローガンは「トップトップ」だ。五輪でのメダル獲得や、グランドスラムでのクオリファイ(決勝トーナメント進出)など、トップチームのひとつとして結果を残し、自信もつけた。今後も目指すは、常に”世界の頂点”となる。

 正しくは「Top of the top」なのだが、「言いやすさと響き優先で、いつの間にか『トップトップ』になっていた」(鈴木夕湖)というのは、いかにも彼女たちらしいエピソードだ。そして、その”トップトップ”への階段を上がっている実感はあるか? と吉田知那美に問うと、彼女は「Yes,We do!」と言い切った。

 また、スキップの藤澤五月は日本選手権への仕上がりを問われると、「『準備万端です』と言って迎えられる全日本なんて、これまで1度もありませんでした。一つひとつ勝つだけです」と応じたが、そのリラックスした表情からは、精神面でのゆとりと世界トップチームの矜持のようなものがうかがえた。

 グランドスラムやPACC、W杯など海外の大会に出ずっぱりで、国内で試合をする機会がなかったことを不安視する声もあるが、それらの合間を縫って年末には札幌で1週間の強化合宿を敢行。男子チームのコンサドーレと練習試合を行なうなど、本番に向けて対策を練っていた。

 今大会に向けても、1週間前に札幌入り。アイスの感触をしっかりと確かめている。大きな問題は見当たらないロコ・ソラーレが、”トップトップ”を遂げるためのデンマークの地を目指し、3年ぶりの戴冠を狙う。

 そのロコ・ソラーレに迫るのは、ロコ・ソラーレ同様、ワールドツアーで充実した成績を残している北海道銀行フォルティウスだ。

 今季初め、チーム創設以来7年にわたって司令塔を務め、2014年ソチ五輪出場など輝かしい実績を残してきた小笠原歩が選手としての第一線から退いた。そのため、布陣も体制も一新されたが、日本選手権開幕前のワールドツアーランキングは11位と、ロコ・ソラーレの8位にも引けを取らない成績を残している。

 むしろ、W杯など日本代表としての活動がない分、ツアーで地道にポイントを稼いできた結果と見れば、その順位の価値は相当なものだ。すでにワールドツアーでは優勝を2度果たし、昨秋の11月から3カ月連続でグランドスラムに招待されるなど(※1月のMeridian Canadian Openは、北海道選手権と日程が重なったために辞退)、世界トップクラスのチームに名乗りを挙げた格好だ。

 一新されたチームは、船山弓枝→近江谷杏菜→小野寺佳歩という構成を、新スキップの吉村紗也香が率いる。その吉村は、ここまで好調な今季について「しっかり世界と戦えることを実感できる期間」と評した。

 トレーナーやコーチを増員し、体幹をはじめとしたパーソナルメニューを組んで、それぞれがイチから体作りに取り組んだほか、ダンスの基礎レッスンなども取り入れ、柔軟性や可動域の拡大も求めてきた。そうしたさまざまなアクションが結実しつつある今季、チーム一同が強く欲する「地元での日本一」を実現したいところだ。

 世界での経験という点では、ディフェンディングチャンピオンの富士急も、有意義な1年を過ごしてきた。昨年の3月に世界選手権のアイスを踏んだのをはじめ、つい先日もロコ・ソラーレと分担する形でW杯のサードレグ(スウェーデン・ヨンショーピング)に参戦したばかり。惜しくもクオリファイはならなかったが、2勝を挙げるなど、世界のアイスで成長を示した。

 昨季後半から産休をとっていた西室淳子も10月のツアーから復帰。チーム内にバリエーションと競争が生まれたのも好材料だ。

「ツアーランクでは、上に3チームいる。また今年もチャレンジャーの気持ちで挑みます」と語るのは、スキップの小穴桃里。昨年の優勝のことは忘れて、貪欲に戦いの場に臨む。

 その小穴が言う「上に3チーム」とは、先に触れたロコ・ソラーレと北海道銀行、あとひとつは中部電力だ。

 今季は成長著しい若きタレント、北澤育恵をフォースに、中嶋星奈をスキップに、それぞれ抜擢。「私は縁の下の力持ちでいい。ハウスのふたり(北澤と中嶋)がのびのびやって、ちょっと迷ったときに意見を言うくらい」と語るチーム最年長の松村千秋がサードに回って、うまくチームが機能している印象だ。

 さらに、秋の遠征から平昌五輪の男子代表であるSC軽井沢クラブのスキップだった両角友佑がコーチに就任。それもまた、大きなプラス要素なっている。

「これまでは、ショットセレクションが正しいのか、正しくないのか、探り探りやってきた部分もあったけれど、コーチが『この選択もあったね』と他のオプションを示しつつ、『こっちのほうがベターじゃないかな』と正解を言ってくれるのは、本当に助かります。どんなコーチ? 優しいですよ」

 そうスキップの中嶋が語るように、両角コーチによる戦術面、メンタル面のサポートはかなり期待できる。まずは、確実にクオリファイを決めたい。

「そだねー」や「もぐもぐタイム」など流行語にもなった平昌五輪の盛り上がりから1年、国内のカーリングの知名度、競技力が間違いなく上がっている。4年に一度のブームに終わらせないためにも、ハイレベルな攻防を期待したい。

著者:竹田聡一郎●文 text&photo by Takeda Soichiro


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