バルサは安部裕葵のどこに惚れたのか。「久保より先に追っていた」

バルサは安部裕葵のどこに惚れたのか。「久保より先に追っていた」

 7月7日、スペインのスポーツ紙『エル・ムンド・デポルティーボ』は、バルセロナが鹿島アントラーズの攻撃的MF、安部裕葵(20歳)と契約を結んだことを伝えている。年俸は110万ユーロ(約1億4000万円)で、3年契約プラス2年延長のオプション付き。7月6日に行なわれたジュビロ磐田戦が、日本での最後の試合だと報じている。

「ホセ・マリア・バケーロ(バルサ強化部長)は個人的に、久保建英より先に安部を追っていた。今年の1月からだ」

 同紙は、安部こそがターゲットだったと強調している。安部以外に、セレッソ大阪の攻撃的MF西川潤(17歳)にも触手を伸ばしている状況を記事にしている。こちらは国際的な移籍が解禁になる18歳になった時点で獲得する目論見か。

 安部は近日中にバルサに合流。当面は、セカンドチームであるバルサBが主戦場になる。ただし、トップチームが7月下旬に予定しているアジアツアーへの参加予定もあるという。

 はたして、バルサは安部のどこに惚れたのか?
 

コパ・アメリカに日本代表として参加した安部裕葵

 まずバルサには、EU外の有力外国人選手をバルサBで獲得するという背景があった。

 2014年4月、バルサはFIFAから「18歳未満の外国人選手獲得及び登録に違反がある」とされて、補強禁止の制裁を受けている。これにより当時14歳だった久保建英も、帰国せざるを得なかった。この裁定によって、バルサは”青田買い”が制限され、下部組織であるラ・マシアの強化において政策の転換を迫られた。

 それ以来、バルサBは18〜20歳の有力な若手に絞って、世界中から積極的に補強するようになった。18歳未満の選手は獲得できず、じっくり育成できない。そんな状況下での苦肉の策だった。

 ただし今のところ、このやり方は成功を収めているとは言い難い。

 2部残留を目指していた2017−18シーズンは、あえなく2部B(実質3部)に降格。主力だったブラジル人のビッチーニョ、ホンジュラス人のアンソニー・ロサーノ、アルゼンチン人のマティアス・ナウエルは、いずれもすでに退団している。2部Bで昇格を目標に据えた2018−19シーズンも8位にとどまり、プレーオフにも届かなかった。コートジボアール系のカナダ代表FWやウルグアイ人の有力センターバックなど、各国から人材を集めたものの、結果は出せていない。

 なにより、この移籍ケースでのトップチーム定着が1件もないという現状がある。

 現実的に考えれば、実質3部で活躍しても、その選手をトップチームには引き上げることはできない。それはたとえ2部でも、そう変わらないだろう。レベルの差がありすぎるのだ。

 下部組織を通じて育てられた選手なら、トップでプレーするうえでの利点がある。クラブのプレー規範が叩き込まれているからだ。しかし20歳前後でやってくる選手はそうではない。それだったら1部リーグの有力選手を補強する方が手っ取り早いのだ。

<バルサのブランドで箔付けし、中堅クラブに高く売る>

 実際には、バルサBの選手はそうなる可能性のほうが高い。たとえば500万ユーロ(約6億5000万円)で獲得したブラジル人DFマルロン・サントスは、1シーズン、バルサBでプレーさせ(トップチームでも2試合出場)、ニース(フランス)に貸し出し後、サッスオーロ(イタリア)に600万ユーロ(約7億5000万円)プラス出来高(50試合出場)600万ユーロで売却。堅実に利益を上げた。

 選手にとっても悪い話ではない。トップチームに昇格する可能性は常にある。同時に、それが無理でも中堅クラブでセカンドチャンスが得られるのだ。

 フローニンゲン(オランダ)で堂安律のチームメイトだった18歳のMFルドヴィト・ライスも、来季はバルサBに加入する。展開力や持ち上がる迫力だけでなく、ボールを奪う能力も際立つ。戦闘力の高い選手である。

 安部も20歳と若いが、物怖じせずに技術を出せる。コパ・アメリカでも、南米の手練れを相手に1対1で対峙しても負けていなかった。ゴールに近づくにつれ、怖さを増し、ひ弱さを見せなかった。

 その点でも安部はバルサのお眼鏡にかなったということかもしれない。

 おそらく安倍は、逆足の左サイドアタッカー、もしくは「フェイク9」での起用になる。左サイドから中へ切り込み、右足で決定的仕事をするか、ボックス付近でゴールに迫り、プレーメイクにも絡む。

 過去のトップチームでいうと、前者はアンドレス・イニエスタ、ペドロ、アレクシス・サンチェス、ネイマール、フィリペ・コウチーニョ、ウスマン・デンベレらが担当し、後者はセスク・ファブレガスやリオネル・メッシが任されてきた。

 共通するのは、ゴール、もしくはそれを引き起こす仕事が求められる点だ。

 新シーズン、バルサBを率いる監督候補に、クラブ史上最高のGKのひとり、ビクトル・バルデスの名前が挙がっている。現監督のガルシア・ピミエンタは、トップのコーチになる可能性が濃厚と言われる。クラブとしては”レジェンド”の登用で、育成部門の再編成を図りたいところか。

 安部はポテンシャル的には申し分ない。ただ、語学力などコミュニケーション全般で苦労するだろう。この点では久保よりもハンデがある。それを乗り越えて、まずはバルサBで結果を叩き出す必要がある。

著者:小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki


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