160キロより安定重視。横浜DeNAのE.エスコバー「毎日楽しい」

160キロより安定重視。横浜DeNAのE.エスコバー「毎日楽しい」

 今季のセ・リーグでは、外国人リリーフ投手が登板数の上位を占めているが、横浜DeNAのエドウィン・エスコバー(27歳)もそのひとりだ。疲労も考慮されて一軍登録を抹消された7月6日まで、リーグトップの42試合に登板して3勝2敗19ホールド、防御率3.29と活躍。交流戦序盤の6月9日に行なわれた西武戦では、プロ野球の左投手で最速となる160キロをマークした。

 ベネズエラで生まれ、父をはじめとした多くのメジャーリーグ経験者を親族に持つ”野球一家”で育ったエスコバー。自身もメジャーでのプレーを経て2017年に日本ハムに入団した当初は先発も務めていたが、同年7月にトレードで、横浜DeNAに移籍してからリリーフとしての地位を確立した。

 そんな、来日3年目にして成長を続ける”快速左腕”の素顔に迫った。


横浜DeNAのリリーフとして活躍するエスコバー

──エスコバー投手は何歳から野球を始めたのですか?

「3歳からですね。その数年後から、僕のいとこ(ケルビム・エスコバー/トロント・ブルージェイズなどでプレーした投手)がメジャーで活躍を始めたので、彼が目標というか、憧れの存在でした。野球を始めてからしばらくは、投手だけでなく外野手やファーストも守っていて、投手に専念することになったのは10代前半だったと思います」

──その後、2008年にテキサス・レンジャーズと契約し、2016年にはアリゾナ・ダイヤモンドバックスでメジャー最多の25試合に登板。翌年1月に日本ハムに入団することになりますが、日本のプロ野球にどのようなイメージを持っていましたか?

「子どもの頃から見ていた、イチローさんや松井秀喜さんの活躍が印象に残っています。母国の先輩であるアレックス・カブレラさんが西武などで活躍していて、その試合がベネズエラでも放送されていましたから、それを見ることもありましたよ。また、WBCでの戦いでは、バントや投手のけん制のうまさに驚き、『なんてきめ細かいベースボールをする国なんだ』と思いました」

──2017年シーズンの開幕3連戦で日本球界デビューを果たし、14試合に登板しますが、その年の7月にはトレードで横浜DeNAに移籍することになりました。日本のプロ野球では、外国人選手のシーズン中のトレード移籍は珍しいことですが、その決定をどのように受け止めましたか?

「まず言いたいのは、僕を受け入れてくれた日本ハム、横浜DeNAの両チームには感謝しかないということ。周りの人からは、そのトレードが『珍しいことなんだよ』とよく言われましたが、僕はそれまでに6回ほどトレードを経験しているので驚きはなかったですね。むしろ、活躍のチャンスを与えてくれた出来事としてポジティブにとらえていました」

──日本ハム時代と、横浜DeNAに移籍した当初は先発投手として登板したこともありましたが、ご自身では先発とリリーフのどちらに適性があると考えていますか?

「アメリカでプレーしていた時も両方を経験していたので、どちらが得意かといったことは気にしたことがありません。現在のリリーフという役割にも満足していますし、大きなやりがいを感じています。できれば、毎日でも投げたいくらいですね。多く試合に関われることは、この上ない喜びです」

──チームの首脳陣やファンにとっては頼もしい言葉ですが、疲れを感じることもあるのではないでしょうか。

「僕も人間ですから、もちろん疲労が溜まっている時もありますよ(笑)。それでもやはり、毎日でもマウンドに上がりたいと思っているので、いつでもリリーフでいけるように準備を怠らないようにしています」

──これまでに対戦した打者の中で、とくに脅威を感じた選手はいますか?

「油断できないバッターは数え切れません。あえて名前を挙げるなら、巨人の坂本勇人選手と丸佳浩選手、広島の鈴木誠也選手でしょうか」

──来日当初は、ストレートと変化球で投球フォームが変わってしまうことが指摘されていましたが、今ではまったく見分けがつかなくなりましたね。

「これは野球に限らず、失敗を反省し、自分を見つめ直し続けることが大切だと思っています。自分と向き合うことで克服することができました」

──同じベネズエラ出身の、アレックス・ラミレス監督、ホセ・ロペス選手がチームにいることは、エスコバー投手にとっても大きいのではないでしょうか。

「そうですね。日本で長く活躍しているふたりからは、プレーだけでなく私生活についても有意義なアドバイスをもらっています。自分の成長において、かけがえのない存在です」

──そんな支えと自身の努力があって、もともと150キロ前後と速かったストレートが、今季は160キロに達しました。この先、球速はどこまで伸びると思いますか?

「これまで160キロという数字を目標にしたことはありません。それよりも、球速にバラつきがない安定したストレートを投げるほうが重要だと思っています。結果的にそれが投球全体の安定につながり、チームへの貢献度も高くなると信じています」

──力の源になっている、日本の食べ物はありますか?

「好きな食べ物は寿司、焼肉、焼鳥、カツ丼です。ちなみに、寿司の好きなネタはマグロ。納豆はNGですね(笑)。食べ物だけじゃなく、日本の文化も好きです。どこに行っても街並みや景観が美しく、人々は互いを尊重して思いやる心を持っている。毎日の生活が楽しいです」

──もし、野球少年に「どうすればエスコバー投手のような投球ができるようになりますか?」と聞かれたら、どう答えますか?

「どれだけ自分の時間を野球に捧げられるかが大事であることを伝えると思います。僕は”野球一家”に育ったこともありますが、昼間に練習している時はもちろん、夜の食事でも話題は野球のことばかり。寝ている時も野球の夢を見ていました。そういった情熱を失わずにいることが、成長につながると思います」

──最後に、シーズンの後半戦に向けた意気込みを聞かせてください。

「先ほども言ったように、自分に与えられた役割を全うすることを考えてこれからもマウンドに上がります。ケガなくプレーを続けることができれば、結果はついてくるはず。より多くの勝利に貢献できるよう、最後まで頑張ります」

著者:寺崎江月●取材・文 text by Terasaki Egetsu


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