専門誌では読めない雑学コラム
木村和久の「お気楽ゴルフ」連載●第240回

 昨年、低迷するゴルフ業界にあって、ひと筋の光明を見出してくれたのが、「シブコ」こと渋野日向子選手の登場でした。

 彼女の活躍は、ゴルフ界、スポーツ界を越えてのニュースとなり、「スマイリングシンデレラ/しぶこ」が、流行語大賞のトップ10にノミネートされるほどでした。

 無論、ゴルフ界においては、堂々の”グランプリ”です。

 ところで、ゴルフ界にはもうひとつ、業界の発展に”準グランプリ”くらいの貢献を果たしたモノがあります。それは、ゴルフファンのみならず、多くの視聴者を獲得しているテレビ番組の『ゴルフサバイバル』(BS日テレ/毎週金曜日21時〜)です。

 あまりの人気から、年明けには新春特別企画として『賞金1000万円争奪 ゴルフサバイバル トッププロ大集結SP』といった、放送枠を拡大したスペシャル番組まで放送されました。人気の女子プロたちが、通常の10倍となる賞金1000万円をかけて争った熾烈な戦いは圧巻でした。

 それにしても、BSの番組で1000万円の賞金を出すって、尋常じゃないです。それだけ人気があるわけで、現にBSのゴルフ番組の中では、断トツの視聴率を誇っています。

 今回は、そんな番組『ゴルフサバイバル』を紹介しつつ、将来のゴルフ番組の在り方を考えていきたいと思います。

 まずは『ゴルフサバイバル』はなぜ、これほど人気があるのか?

 それは、誰が見てもわかりやすいからです。

 賞金100万円をかけて、10人の若手女子プロが一斉にラウンド。1ホールごとに、スコアが悪い選手がひとりずつ脱落していく”ガチの試合”――そのドキュメンタリーです。

 非常にシンプルなゲームですが、負けた者を容赦なく切り捨てるところが、若手女子プロたちの人生を左右するかのようで、とてもドラマチックに映ります。

 ハンデや特殊なホール、クラブの縛りといった”オマケ”なども一切なし。同じスコアで残った場合も、アプローチ合戦をして、とにかく誰かひとりが脱落するまでやる潔さ。これが、高評価です。

 さらに、賞金100万円は、最後に勝った人しかもらえない。準優勝とか、3位とか、そこには賞金はもちろん、賞品さえなし。某国会議員が言った「2位じゃ、ダメなんですかぁ〜」という考えが、全否定されているのです。

「遊びじゃないんだぞ」「命がけの戦いなんだぞ」といった、プロの厳しさがひしひしと伝わってきますね。

 加えて、「黄金世代」の陣容がよくわかって、ツアー本格参戦前に”青田買い”できるのも魅力です。2018年の秋(11月の陣)には、渋野選手もエントリーして、わりと普通に敗退していました。

 そういう意味では、今後の活躍が期待される”スーパーヒロイン”を、ここでチェックしておけばいいんです。アイドルのAKBグループやジャニーズの研究生を追いかけるファンのような眼差しで、この番組を見ている熱烈なゴルフファンが結構いるみたいですよ。

 現在、BSで人気のゴルフ番組は、この『ゴルフサバイバル』と、やはりガチンコ勝負が魅力の『ゴルフ侍、見参!』(BSテレ東/毎週日曜日朝8時〜)と言われています。

『ゴルフ侍、見参!』は、トップアマが自らのホームコースでシニアプロに挑戦。ハンデなしで9ホールを戦うものです。

 賞金などはなく、代わりに得るのは”プロの意地”と”アマチュアの誇り”みたいなものでしょうか。今のところ、プロが8割ぐらい勝っており、プロは意地でも負けられないようです。

『ゴルフサバイバル』と『ゴルフ侍、見参!』を見てもわかるように、どちらの番組も作為的な演出は一切なく、文字どおりの”ガチンコバトル”に、視聴者は喜びを見出しています。


舞台はともかく、ゴルフ番組で多くのファンが求めているのは「ガチンコ勝負」なんでしょうね...

 ということで、まずは現在のゴルフ番組について検証し、先に挙げた人気番組を参考にして、今後どんな番組を作っていけば、視聴者に受け入れられやすくなるのか、ちょっと考えてみたいと思います。

(1)そもそもゴルフは見ていて面白いのか?
 何を言いたいのかというと、ゴルフを知らない人は、プロのショットを見て「面白い」と思っているのか? ということです。

 この答えは、「ノー」だと思います。

 たしかにタイガー・ウッズ全盛の頃は、誰もが驚くスーパーショットの連続で、ゴルフを知らない人でも、それを見て胸躍らせたことでしょう。けど、現在の日本人プロのプレーは、何がすごいのか、素人にはほとんど伝わりません。

 もちろん、ハイレベルなショットを打っているプロはいるんですよ。結局、そのすごさを知って楽しめるのは、700万人のアマチュアゴルファーだけ。

 つまりゴルフ番組は、ゴルフを知っている人、やっている人、やっていた人に支持されているのです。だから、ゴルフ番組は、BSでオンエアするぐらいで、ちょうどいい視聴率が取れるんですね。

(2)ゴルフ番組はなくならない
 BSや関東ローカル、CSなどを含めると、ゴルフ関連番組はものすごくあって、しかも長くやっている番組が多いです。

 これは、どうしてでしょうか?

 ひとつは、スポンサーが実に多いからです。ゴルフ番組を見る層は、いまだお小遣いに余裕がある方々です。だから、見る人の数が少なくても、スポンサーのマーケットには合っており、広告が伝わりやすいんです。

 事実、ゴルフウエア、ゴルフクラブ、ゴルフグッズ、健康関連グッズなど、そうした層に売れるものはたくさんあります。要するに、ゴルフ番組を通して、需要と供給のバランスが取れているんですな。

 また、番組作りはおおよそロケだから、各関係者の協力があれば、さほど製作費はかからない、というのも大きいです。丸一日、遠隔地での撮影という手間はあっても、セットはいらないし、タレントやプロのプレーを追いかける程度であれば、台本もほぼ必要ありません。解説者の感想や、お知らせ程度で済みますからね。

(3)バトルなくして、興奮ナシ

 芸能人と女子プロがラウンド、なんて番組が多いですが、通常のラウンド、あるいはハンデをつけてのラウンドをするだけでは、視聴者の興味を惹くにも限界があります。

 スーパーショットは滅多に見られないし、そもそもスーパーショットがあったとしても、偶然の場合が多いですから。あと、感情移入したくなるゲストやプロが出演して、初めて見るものなんでね。安定した数字を取るのは、なかなか難しいかもしれません。

 そう思うと、ゴルフを娯楽番組として見るのは、限界があるのかなぁ……。いくら人気のアイドルがやっても、それはちょっと違うかな、と。

(4)ゴチバトルを参考に
『ぐるぐるナインティナイン』(日テレ/毎週木曜日19時56分〜)の人気コーナー「ゴチバトル」は、どこまでが演出なのかはわかりませんが、食べた料理の総額を当てるゲームで、最も遠い金額だった人が出演者全員分の食事代を自腹で払う、ということで人気ですよね。

 そうなると、ゴルフ番組も、アマチュアやゴルフタレントが登場しても”ガチンコ”であることが、重要なのではないでしょうか。「ラウンド・ゴチバトル」といった勢いで、最も負けた人が全員のプレーフィーを払うとかね。

 また、ギャラを賞金に加算し、1位が総取りするといったこともできるでしょう。あるいは、トータルのギャラの半分を1位が、2位が残りの3割、3位が残りの2割をもらって、最下位はノーギャラのうえ、全員のラウンド代を払う、といったやり方もアリかと。

 現金が飛び交うと、いろいろと問題もあるでしょうから、ポイント制にするのもいいですね。はたまた、優勝者のギャラの半分は、どこぞに寄付するとか、いろいろとやり方はあると思います。

 芸能人のゴルフより、元プロ野球選手やサッカー選手など、有名アスリートvs女子プロとか、レベルを上げて戦えば、さらに面白いかもしれません。

 とにかく、ゴルフ番組は”ガチンコ”が見たい。それは、間違いないです。

著者:木村和久●文 text by Kimura Kazuhisa