8月6日に開幕する第104回全国高校野球選手権大会。今大会の有望選手を投手編に続き、打者たちも紹介していこう。大横綱・大阪桐蔭の主力2選手や香川県が誇る怪童スラッガーなど、個性が際立つ10選手をピックアップした。

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大阪大会で3本塁打を放った強肩・強打の捕手、大阪桐蔭の松尾汐恩

松尾汐恩(大阪桐蔭/178センチ・76キロ/右投右打)

「もうひとつの顔」を持つ高校ナンバーワン捕手。捕手として攻撃面、守備面のバランスのよさは高校トップクラス。高校1年秋まで遊撃を守っていたおかげで、フットワークも天下一品だ。古巣である遊撃手として評価するスカウトもおり、その行く末には大きな希望が広がっている。今春のセンバツでは4試合で2本塁打を放ち、守っては危なげないリードで優勝に導いた。今夏の大阪大会でも7試合で3本塁打を放ち、その破壊力をアピールしている。初戦は大会5日目に旭川大高との対戦になる。


高校球界屈指の強肩を誇る九州国際大付の野田海斗

野田海人(九州国際大付/174センチ・74キロ/右投右打)

スローイングの一芸だけで酔わせる男。高校球界屈指の爆肩"海人キャノン"は、試合前のシートノックの時点で相手チームの盗塁意欲を削ぎ取る。送球だけでなく、ブロッキングなど守備全般のレベルが高い。時にはリリーフとしてマウンドに上がり、最速146キロの剛球と投球センスで試合を締めくくる。春のセンバツでもろさを露呈した打撃は、現在ノーステップ打法で試行錯誤中。タイミングさえ合えばスタンドインの馬力はある。大会6日目の明徳義塾との好カードでは捕手としての支配力を発揮できるか。


強肩・強打の捕手で福島大会で打率.421をマークした聖光学院・山浅龍之介

山浅龍之介(聖光学院/175センチ・82キロ/右投左打)

ディフェンス力でのし上がる強肩捕手。素早く、機能的な二塁送球が最大の武器で、今春センバツでは鮮やかなスローイングでスカウト陣をくぎ付けにした。センバツ大会後には、松尾や野田らとともにU−18ワールドカップの高校日本代表1次候補に選出されている。課題の打撃面も成長中で、今夏の福島大会では6試合で打率.421、1本塁打、6打点。右投左打の強打者としてもアピールに成功している。甲子園は大会4日目に日大三との初戦を迎える。


ヤクルトの主砲・村上宗隆を兄にもつ九州学院の村上慶太

村上慶太(九州学院/190センチ・94キロ/右投左打)

殻を破りたい大型打者。兄は"村神様"ことヤクルトの村上宗隆。身長188センチの兄に対して、慶太は190センチとさらにビッグサイズ。たくましい肉体、泰然とした構えと、偉大な兄を重ねるなと言うほうが無理というもの。かつては周囲の過剰な注目を重荷に感じた時期もあったようだ。それでも自分自身を見つめ、今やプロスカウトも注目する存在に。今夏の熊本大会では5試合で打率.222、0本塁打、1打点に終わったものの、決勝戦では先制打を放った。初戦は大会8日目、帝京五との対戦になる。


打てる遊撃手としてプロからも高く評価されている天理・戸井零士

戸井零士(天理/180センチ・85キロ/右投右打)

野球界にとって貴重な右打ちの有望遊撃手。大地に根を張るかのような重厚感のある呼び込みから、強烈な打球を生み出す。派手さはないものの、遊撃守備はミスが少なく計算が立ちやすい。奈良大会決勝戦では新型コロナの影響からベストメンバーで戦えなかった相手校に配慮し、優勝後に派手に喜ばないようチーム内に呼びかける一面も。野球の技術面だけでは語り尽くせない、無形の力を持っているスポーツマンだ。甲子園では大会3日目、山梨学院と対戦する。


高校通算64本塁打を放っている高松商のスラッガー・浅野翔吾

浅野翔吾(高松商/170センチ・86キロ/右投両打)

人々を虜にする讃岐の怪童。身長170センチと上背はないが、高校通算64本塁打の長距離砲として名を馳せる。今夏の香川大会では5試合で1番打者として起用され、3本塁打をマーク。「飛ばし方は右も左も変わらないので」と突如スイッチヒッターに挑戦し、練習試合で当たり前のように左打席でも本塁打を打ってしまうなどエピソードの一つひとつが常人離れしている。盗塁可能な脚力を含め、野性味溢れるプレースタイルは今夏の甲子園に衝撃を起こしそうだ。初戦は大会6日目、佐久長聖との対戦になる。


今春のセンバツでも活躍した大阪桐蔭の大型外野手・海老根優大

海老根優大(大阪桐蔭/182センチ・85キロ/右投右打)

高校トップクラスのエンジンを搭載する大型外野手。バットに当たった瞬間に爆音がとどろく打撃、トップスピードに入ってから地響きを起こすような走塁、シートノックのバックホームで歓声が上がる守備。どのプレーにおいても馬力がケタ違い。試合ごとにパフォーマンスに波があるのは玉に瑕だが、長い目で見れば些末な問題でしかない。このままスケールを伸ばし、大きく育ってほしいと願わずにはいられない素材型外野手だ。2本塁打を放った今春センバツに続き、今夏も印象深い活躍を見せられるか。


茨城大会で10打点を記録するなど勝負強いバッティングが光った明秀日立・石川ケニー

石川ケニー(明秀日立/176センチ・75キロ/左投左打)

まだ底を見せていない強打の外野手。アメリカ・ハワイで日本人の父とアメリカ人の母との間に生まれている。高校ではヒジや腰など相次ぐ故障に悩まされながらも、随所にポテンシャルの高さを見せてきた。明秀日立の主砲らしくバットを使いこなそうという意思が伝わってくる、ヘッドがしなるスイングは白眉。投手としても最速140キロ超の快速球を披露するように、強肩も武器にする。今夏の茨城大会では6試合で10打点と勝負強さを発揮。甲子園初戦は大会5日目に鹿児島実と対戦する。


徳島大会では不振に終わったが、堂々の体躯から強烈な打球を放つ鳴門の前田一輝

前田一輝(鳴門/190センチ・92キロ/右投右打)

伸びしろの幅広さに関しては今大会ナンバーワンのロマン枠。グラウンドに立つだけで見る者は遠近感が狂ったのではと思うほど、その巨体には存在感がある。外野手だけでなく、投手としても140キロ超の剛速球を投げ込む強肩は、試合前のシートノックから観衆の度肝を抜く。今夏の徳島大会は4試合で打率.188、0本塁打、1打点と音なしに終わった。打撃面の確実性は大きな課題ながら、多少の粗には目をつぶって夢を見たくなる晩成型の大器だ。初戦は大会2日目、近江との対戦が決まっている。


走攻守三拍子揃った万能外野手、九州国際大付の黒田義信

黒田義信(九州国際大付/180センチ・73キロ/右投左打)

高い次元の総合力で勝負する外野手。「三拍子揃った右投左打の外野手」という本来ならプロ側の需要が低い属性にもかかわらず、ここまで右肩上がりに成長した過程を見てしまえば評価が揺らぐことはないはず。ミートセンスに優れる打撃、スピード感のある走塁、伸びやかなスローイングを誇る外野守備。それらが大人の肉体を獲得するであろう20歳を超えてどこまで進化するのか、楽しみでならない。今春センバツでは2回戦の広陵戦で4安打の固め打ちを見せたが、夏にもうひと暴れを見せられるか。

著者:菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro