サッカーIQラボ 〜勝負を決めるワンプレー〜
Question
東俊希にボールが渡る瞬間、森島司はどのように動いたか?
Jリーグ第4節、ガンバ大阪対サンフレッチェ広島が行なわれ、2−1で広島が勝利。広島はルヴァンカップから続いて公式戦2連勝、リーグでは今季初勝利を収めた。
試合はキックオフ直後から動いた。前半2分、広島が自陣深くからクリアボールを蹴ると、そこからのカウンターでナッシム・ベン・カリファが早々と先制点を挙げる。
幸先のいい広島だったが、そこからG大阪が徐々に落ち着きを取り戻し、拮抗した展開となった。すると後半25分、宇佐美貴史が個の力で同点弾を決め、ゲームは振り出しに戻る。そしてアディショナルタイム4分、広島がPKを獲得し、満田誠が決めて2−1の勝利となった。
今回は、広島の先制のシーンを取り上げる。
前半2分、広島がカウンターから左サイドで森島司がボールを受けて起点を作る。ボールは佐々木翔に戻され、ライン際に開いた東俊希に展開された。
左サイドの東俊希にボールが渡った次の瞬間、森島司はどこへ動いたか
次の瞬間、森島は前の状況を見てどのように動いたか、というのがQuestionである。
Answer
森島は相手センターバック間のスペースに走り込んでボールを受けて、クロスを入れる
森島が、相手の守備ラインにできた隙を見逃さなかったシーンである。ただ、森島の動き出しだけではなく、その前のシーンから注目すべきプレーがある。
森島は相手CB間に走り込んで浮き球パスを受け、中央にボールを入れてゴール
カウンターで森島が左サイドで起点となった時、中央から川村拓夢がダイアゴナルに左のポケットを取りに行った。この動きでG大阪センターバック(CB)の三浦弦太が釣り出されている。
川村がそのまま残ると、東にボールが渡った瞬間、三浦は川村をフリーにしないように距離を詰めてきた。これによってG大阪のCB間にスペースが生まれることとなった。
そして、それを見逃さなかったのが森島である。CB間のスペースに走り込んでボールを呼び込み、東が絶妙な浮き球のパスを通した。
森島はワントラップしてからシュート性のクロスを中央へ。蹴り込んだボールはGK東口順昭の足に当たってコースが変わったが、ファーサイドでフリーになったベン・カリファがこぼれ球を詰めて先制点となった。
後方から川村、森島の走り込みによってG大阪守備陣を翻弄して隙を作り、そのほころびを逃さずに決めきった広島の見事な先制点だった。
リーグ初勝利を手にした広島は、次節はホームで柏レイソル戦。この勢いに乗ってリーグ連勝となるか注目だ。
著者:篠 幸彦●文 text by Shino Yukihiko