FIFAワールドカップカタール2022・決勝トーナメント1回戦でモロッコ(F組1位)がスペイン(E組2位)を破り、ベスト8進出を決めた。試合は0−0のまま進み、延長でも決着がつかずPK戦に突入。これを3−0で制し、勝利した。1次リーグでも優勝候補に挙げられていたベルギーを下すなど、日本と並び台風の目となっていたが、勢いはますます加速。アフリカ勢として2010年南アフリカ大会のガーナ以来、12年ぶり4度目のベスト8進出を果たした。

■アラブ勢として初のベスト8

スペインはPK戦に登場したパブロ・サラビア、カルロス・ソレール、セルヒオ・ブスケッツの3人が連続して失敗。対するモロッコは全員成功し、ジャイアントキリングを完成させた。

モロッコは1990年のカメルーン、2002年のセネガル、2010年のガーナに続き、アフリカ大陸で4番目、そしてアラブ勢で初めてのベスト8入りを果たした。当然、喜びもひとしおで、ワリド・レグラギ監督のもとにはモロッコ国王モハメド6世から祝福の電話が入ったという。

「モロッコの人間にとってこのような電話を受けることは特別なこと。国王はいつも我々を励ましてくれて、アドバイスをしてくれて、全力を尽くすようにと声をかけてくれる」と感慨深げに話すと、「だから、さらに上を目指してもっと良い結果を出したいと思っている」と続け、さらなる躍進へ意欲を見せた。

■守護神ブヌが勝利の立役者

試合は戦前の予想通り、スペインが攻め、モロッコが守る矛盾対決。しかし、スペインはモロッコが敷くハイラインでコンパクトな守備に苦戦。ボールを持っても激しく寄せられ、決定機につながるパスは繰り出せず、スペインのシュートは前半わずか1本だった。後半から延長にかけては、ギアを上げたスペインが押し込む展開が続いたが、結局ゴールを奪えず、勝負の行方はPK戦に持ち越し。ここではモロッコ守護神のヤシン・ブヌがスペインに1本も決めさせず、勝利の立役者となった。

レグラギ監督もブヌを称賛し、「我々は我慢強く、PK戦まで行けば世界最高のGKにチャンスがあると分かっていた。我々はそのために戦ったんだ」と語り、プラン通りの勝利だったことを明かした。

■PK戦最後のキッカーを務める

またPK戦で勝利を決めた最後のキッカー、アシュラフ・ハキミにも注目が集まった。スペインで育ち、かつてレアル・マドリードのユースに所属していた同選手は、大胆にもゴールど真ん中に蹴り込みネットを揺らすと、両手を垂らしてペンギンの動きを真似したダンスを披露。

NFLマイアミ・ドルフィンズのワイドレシーバー、ジェイレン・ワドルがタッチダウン後に見せるパフォーマンスで祝うと、パリSGのチームメートであるフランス代表FWキリアン・ムバッペも反応。「アシュラフ・ハキミ」と名前をつづると、「王冠」と「ハートマーク」、そして「ペンギン」の絵文字を添えて、祝福のツイートをした。

モロッコの準々決勝の相手はポルトガル。今大会の台風の目は、クリスティアーノ・ロナウド擁するチームも飲み込んで進むのだろうか。

文●SPREAD編集部