全国味噌工業協同組合連合会(全味工連)、中央味噌研究所(中味研)など、みそ5団体は5月25日に、2023年度通常総会を全味会館で開き、2022年度事業報告・決算を原案通り承認した。

役員改選では全味工連会長(中味研理事長)に、満田盛護・会津天宝醸造社長を選出した。副会長には、矢﨑勝仁・山高味噌社長(再任)、中村光一郎・イチビキ社長(新任)、永江隆志・マルヱ醤油社長(新任)が就任した。

総会後の就任あいさつで満田新会長は次のように抱負を述べた。

【満田盛護新会長】

今までの先輩方が続けてきた事業をさらに発展させ、変えるべきものは変える姿勢で、臨んでいきたい。現在、コストが急激に上がっており、さらに、日本の人口がとてつもない勢いで減っている。2022年は70万人減という状況だ。

そんな中、2022年は国から補助をいただきシアル・パリで行われた食品の見本市に出展した。そこで提供したとん汁が完食された。とん汁が各国の煮込み料理に似ている料理として受け止められたのではないか。そう捉えると、各国の市場浸透も結構いい感じで進むのではないかと思っている。

一方、輸出もどんどん伸びてくる。国の5兆円構想の1.4兆円まできているので、非常にいい感じできている。先進国や人口の多い中国、インドネシアなどに行くのは正しい道だと思う。発展途上国にみそを販売できるかというとなかなか厳しい。ところが、WHOもWFPもSDGsの観点から貧困や飢餓を終わらせると宣言しており、さまざまな支援をしている。なんらかの予算措置でみそを提供できれば、地元の塩をみそに切り替えていただくだけで、子どもの栄養改善や死亡率の改善に繋がるかもしれない。

みその良さがそういった点で再評価されて、日本にフィードバックした時に、日本でみそを飲まれない方々にみその良さを再認識していただくきっかけになり、そのことが国内の需要を改めて作り出す可能性もある。日本は人口が減り、みその消費量も減っていくが、今食べられない方々が食べるようになっただけで、相当な需要を作り出せる。そのことは日本の農業にも波及していくことになるので、われわれ連合会の取り組みがいい循環にもっていけるようにしたい。

〈輸出拡大に取組み、味噌鑑評会の受賞表示が可能になるなど業界の振興にも取り組めた〉

総会の開会にあたりあいさつした松本耕作前会長(加賀味噌食品工業協業組合理事長)は、次のように述べた。

【松本耕作前会長】

5月8日に新型コロナ感染症が5類に移行された。ようやく3年間続いた新型コロナから抜け出す兆しが見えてきた。私の任期の大半がコロナの3年間とほとんど重なっており、対面での会合やコミュニケーションの取り方が難しく、鑑評会の中止など、さまざまな形で組織の運営が厳しい中、皆様方のご理解、ご協力、事務局スタッフの努力により、なんとか頑張ってこられた。
 
コロナの影響で、業務用をはじめ、出荷量が減少し、原材料価格の高騰、円安やロシアのウクライナ侵攻によるエネルギー価格の高騰などにより、事業者の経営は大変厳しいものになってきている。一時は価格改定により、一息ついたものの、物価高や人経費の高騰などを含め、再度価格改定を決断した事業者もあり、全く油断できない厳しい状況には変わりはない。
 
しかし、2022年秋には、輸出拡大事業に取り組み、本年度からは品目団体の設立を目指し、また昨秋より、全国味噌鑑評会における受賞表示が可能になるなど、業界の振興につながるような事も始まってきている。私自身会長という職を拝命し、就任前には不安もあったが、多様な意見の中で決断を下す難しさ、大きな組織をまとめていく難しさを改めて痛感した。退任後も微力ながら新会長を支えていきたい。

〈大豆油糧日報2023年5月29日付〉