日本食品機械工業会主催の展示会「FOOMAJAPAN 2023」が6月6日に東京ビッグサイトで開幕した。会期は6月9日まで。

食品産業に関わる最新技術や機器を紹介する展示会で、約10万人・2万社の来場が見込まれる。3年ぶりの東京開催で、初日は2万2782人(うち海外からは927人)が訪れた。

2023年の出展社数は過去最多の953社となった。最も多い出展社のカテゴリーは「食品製造・加工」で全体の約3割を占める。「包装・充填」や「設備機器・技術・部品」が続いたほか、ロボットやIT、IoT、フードテック分野などの分野からの出展も増えたという。

冷凍関連では、フクシマガリレイ、ホシザキ、菱豊フリーズシステム、デイブレイク、テクニカン、サラヤなどが出展している。各社とも自社の凍結機などを紹介していた。

凍結機の需要は高まっており、コロナ禍に飲食店で物販を行うために導入が進んだ。最近では小売店の人手不足対策としても活用されている。多めに調理した食材などを凍らせて、必要な時に使えるようにし、調理の手間を減らすなどを工夫が見られる。さらに、凍結機を扱うメーカーと手を組み、自店の料理をECなどで販売するといった取り組みも増えつつある。

菱豊フリーズシステムでは、販売網を構築して機械を導入した店の商品を販売できるようにしている。サラヤは自社で冷凍食品専門店を運営し、消費者に商品を販売すると同時に、機械の導入を検討している店に技術の紹介や冷凍機導入のメリットなどを伝えられるようにしている。

「FOOMAJAPAN 2023」サラヤ出展ブース

最近では小売店での採用も進んでいる。惣菜などを冷ますためにブラストチラーなどが使われていたが、オリジナル商品の開発に着手したところもあるという。ある機器メーカーでは小売店での本格導入が決まり、さまざまな取り組みを進めていくという。

〈大学などの研究発表も 冷凍食品の解凍メカニズムなど研究〉

「FOOMA」では機器の展示に加え、大学や研究機関などがこれまでの成果を発表できる場として「アカデミックプラザ」というコーナーを設置している。

冷凍関連では、東京海洋大学のサラダサイエンス寄附講座(ケンコーマヨネーズ)は、食品成分の発熱特性に基づいた冷凍食品の電子レンジ解凍メカニズムの解明に関する研究を発表した。

冷凍食品の電子レンジ解凍は時間短縮や利便性からよく用いられているが、食品素材によって加熱ムラという問題点がある。しかし、素材によるマイクロ波の吸収挙動は未だ解明されていないという。

研究では、成分単体ごとのマイクロ波によるマイナス温度からの発熱特性を把握することを目的とし、単一成分系の試料を用いてマイクロ波による発熱だけを捉える測定系を検討。その結果を用いて、複合成分系試料の発熱特性を調べた。この実験系で、凍らせた複合成分系の試料を用いて解凍における温度変動を測定し、各試料の比熱を測定した。得られた温度履歴および比熱値より、実際の電子レンジ解凍における誘電損率を算出することが可能となったという。

東京海洋大学の海洋生命科学部食品生産科学科食品冷凍学研究室が食品の凍結保存において、光学顕微鏡やX線CTを用いて食品内部の氷結晶を可視化し、微細構造の損傷の評価や抑制につなげる研究を紹介した。

日本大学の生物資源科学部食品開発学科食品創生分野では、冷凍野菜の凍結保存において、冷凍野菜の品質を評価するために近赤外分光イメージングと冷却近赤外カメラを用いて、冷凍野菜内の氷結晶を計測する取り組みを発表した。

また、優れた研究開発の成果を表彰する「第2回FOOMA アワード2023」も行われた。41点の応募から、最優秀賞にサタケ(広島県東広島市)のベルト式光選別機「BELTUZA SPECTRA(ベルトゥーザ スペクトラ)」が選ばれた。

〈冷食日報2023年6月8日付〉