アイスクリームの2022年度(22年4月〜23年3月)市場規模が、前年から約5%プラスの5534億円となり、3年連続で過去最高を更新した。原材料やエネルギーコストなどの高騰を受け、多くのメーカーが商品を値上げし、その分の金額のプラス分はあるものの、販売物量ベースでも前年を上回った。

6月8日都内で開催の日本アイスクリーム協会定時総会の冒頭挨拶の中で、松田克也会長(明治社長)が明らかにした。

アイスクリーム市場は、大人向けの付加価値の高いアイスの開発、冬向けアイスの開発と冬に食べる提案、話題作りなどの効果で、2011年度から2018年度までの7年間市場を拡大してきた。2019年度は天候不順の影響で前年割れとなったが、2020年度から2022年度までの3年連続で市場規模は過去最高を更新した。

2022年市場は追い風として天候面がある。関東の梅雨明け宣言が6月末と異例の早さで、氷菓系アイス、特に複数本が入った氷菓系マルチパックが売れ、市場を活性化した。また年平均気温も全国的に高かった。日本アイスクリーム協会によると「年間を通して安定的な需要に支えられた」という。

日本アイスクリーム協会の松田会長は、挨拶の中で「市場規模の拡大は、価格改定や天候による側面もあるが、会員各社(各メーカー)による付加価値ある新商品への挑戦や、SNSを活用した新たなマーケティング展開が功を奏した結果」と話した。食品全般で値上げが相次ぐ中で、アイスは商品、マーケティング面でも提案を絶えず強化し、嗜好品の部類でありながらも、大きな買い控えは起こらずにすんだものとみられる。

ただ食品全般で2回目3回目の値上げが相次ぐ中、足元では人々の財布のひもは固くなり、アイスの売れ行きも全体としては楽観視できる環境にはない。近年は、冬アイスの定着などで季節に大きく左右されない市場が形成されてきた。今年は天候面だけでなく、商品、マーケティング面で引き続き提案を強化することと、値上げ後、人々に受け入れられる価格はどのレベルなのかが、市場成長のカギを握っていると思われる。