中野の児童養護施設で虐待の疑い 「首絞め」「死ねよ」東京弁護士会が勧告

 虐待など事情のある子どもが生活する社会福祉法人の児童養護施設「愛児の家」(東京都中野区)で複数の職員から複数の児童への虐待があったとして、東京弁護士会(東弁)が児童の権利を侵害しないよう今年2月に勧告したことが分かった。2015年に人権救済の申し立てがあり、施設の児童らから独自に聞き取り調査をしていた。この施設については都も通告を二度受けて調査したが、いずれも虐待に当たらないと判断。東弁は都の調査手法も「著しく不適切」と改善を勧告した。

進学時に誓約書「ルール守らないと施設にいられない」

 関係者や入手資料によると、都が虐待通告を受けたのは2013年3月と14年1月で同じ通告者らからだった。都は一部の児童や職員から聞き取り調査を行い、一度目は職員の強い口調や差別的な発言が不適切などとして口頭で指導する一方、虐待には当たらないと判断。二度目も「特段指導の必要はない」とした。
 東弁は15年6月に人権救済の申し立てを受け、ほぼ全ての児童らから聞き取り調査を実施。勧告では、高校進学時などに、施設のルールを守らない場合、施設にいられないと約束させる誓約書に署名を求めていたことを問題視。複数の職員で取り囲んで署名を迫ったとし、厚生労働省の虐待対応ガイドラインで「脅かし、脅迫」に当たる心理的虐待だとした。施設側は17年に誓約書の一部を修正している。

首を絞めソファに押しつける、暴言も… 施設側は否定

 また、男性職員が反抗的な児童の首周辺を腕で絞め、ソファに押し付けるなどの身体的虐待もあったと判断。施設の女性職員が児童に聞こえるように「ぶす」「死ねよ」などと述べ、男性職員が児童に「頭おかしい」と発言したとした。
 愛児の家の石綿徳太郎施設長は取材に「勧告は事実関係があまりに違う」と事実関係を否定し、施設の職員に弁明の機会がなかったなどとして、東弁に異議申立書を提出したことを明らかにした。

虐待でないとした都の調査手法にも勧告「著しく不適切」

 東弁は都の一度目の調査に対しては、施設を介して聴取対象児童を選び、施設内で聞き取りをしたとして調査手法を問題視。この調査では誓約書の存在も確認できておらず、東弁は厚労省ガイドラインに違反し「著しく不適切」と指摘した。このほか、児童が都児童相談所の職員に「施設の職員に怒鳴られる」と相談したのに都が調査せず、相談内容を施設側に伝えたとも指摘。相談時の事実確認などを定めた児童福祉法に違反するとした。東弁は近く勧告書をホームページに公表する方針。
 都の桑田朋子担当課長は「都の調査は適切に行われたと考えている。児相職員が相談内容を施設側に伝えたとの事実は確認していない」とし、どう対応するか検討するため東弁に問い合わせているとした。

弁護士会の人権救済申立制度とは

 弁護士法第1条の「弁護士は、基本的人権を擁護し、社会正義を実現することを使命とする」に基づき、各地の弁護士会や日本弁護士連合会が行っている人権救済活動。申し立てがあると調査の必要性や人権侵害の程度などを判断し、勧告や要望などの措置を取る。勧告などに法的拘束力はない。
[元記事:東京新聞 TOKYO Web 2019年5月23日]


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