透明マスクなどの配布を求める伊藤孝恵さん=東京・永田町の参院議員会館で


 だれもが日常的にマスクをして表情が見えづらいことが、子どもの脳や心にどう影響するのか。国会では、こうしたテーマの研究や、表情が見える透明素材のマスク配布を求める声が上がっている。

学校での不安…国会で伊藤参議が提案

 「周りの大人の表情がマスクで見えず、心や脳の発達に深刻な影響があるのではないか」。1月の参院予算委員会で、国民民主党の参院議員の伊藤孝恵さんが意見を話した。

 伊藤さんの長女は小学生。学校では、マスクを外した先生の顔をよく見たことがないという友達がいたり、子ども同士がぶつかったとき、マスクをしているために「ごめんね」が聞き取れずけんかになったりするという。

 フランスでは政府が昨年9月から、透明マスク約80万枚を保育園や学校などに配った。伊藤さんはことし3月の参院予算委で実物を見せて活用を提案。田村憲久厚生労働相は「一つの方法だと思う。研究させていただきたい」と応じた。

子どもの表情が少なくなった、との声

 京都大大学院の明和(みょうわ)政子教授(発達科学)によると、就学前の子どもの脳は目から入った情報の処理にかかわる「視覚野(しかくや)」と、耳からの情報を処理する「聴覚野(ちょうかくや)」が、特に環境の影響を受けやすい。マスクをした相手の目を見るだけでは、いろいろな表情を理解する力が育ちにくい。話している人の口の動きと、耳から聞こえる声を結び付け、まねしながら言葉を覚える機会も得られない。

 学校の先生らからは、コロナが広がる前と比べて「子どもたちの表情が少なくなった」「言葉を覚えるのがゆっくりになった」という声も聞かれるという。

 明和さんは「家庭では、ハグなど子どもの体に触れる機会を増やす、豊かな表情で会話するなどを意識してほしい」と話している。 

[元記事:東京新聞 TOKYO Web 2021年5月5日]