新チームの体育館練習で、シャトル打ちに励むうーちゃん(手前)


お迎えに来てくださればいいですよ

 僕ら夫婦の団体行動ができない気質が原因で、小3のうーちゃんは4月、地元の少年野球チームを辞めざるを得なくなってしまいました。とはいえ野球は続けてほしいので、野球教室2軒、地元以外の子どもも受け入れてくれている野球チーム2軒の体験練習に参加してみました。そして今は、自宅から車で20分の小学校の少年野球チームで活動しています。都市部で転勤族が多く、数年前までは子どもが6人にまで減って存続の危機にあったそうです。

 うーちゃんを体験に連れて行った時のことです。「お父さん、用があるなら行ってください。お迎えに来てくださればいいですよ」。開口一番そう言われ、衝撃を受けました。地元のチームは、仕事がなければ練習に付き添っているのが基本でした。

 土曜日の午後の練習でしたが、子どもが20人に対して、大人は6人。お母さんはお迎えに来るだけでした。お茶くみなどはありません。氷の当番もなく、飲み物は各自用意してきています。練習に参加している大人でチームのユニホームを着ているのは1人だけで、帽子も各自バラバラで、かぶっていない人もいるし、短パンの人までいます。まるでアメリカです。

鍛えた守備で戦力に 公式戦に出場

 前のチームでは自分が他のパパさんたちと距離を置いたため、居づらかった面があります。今回は失敗できません。グラブを持って積極的に球拾いに参加しました。新しいチームの練習は午前か午後の半日だけなので、そのくらいなら対応できます。絶対に出席が必要な当番は2カ月に1回。申し訳ないくらいに少ない! 親の負担は不平等になるけれど、やれる人がやれば良いという考えで、それ以上に子どもを集めたいようです。

 うーちゃんは地元チームで鍛えてもらっていたおかげで、特に捕球と送球が上手。少年野球では守備がうまくないと試合にならず、戦力として歓迎されました。6年生がいないこともあり、AチームではDH、Bチームでは1番ショートとして公式試合にも出場。ライナー性のフライをダイレクトキャッチするなど、チームに貢献するプレーを見せました。

 僕が体験申し込みの連絡をした時、みんなとても喜んでくれたそうです。うれしいのは受け入れていただいたこっちの方です。卒業までこのチームでお世話になりたいと強く願っています。

古泉智浩(こいずみ・ともひろ)

 漫画家。養子の8歳男児うーちゃんと、5歳女児ぽんこちゃんを育てる。