政府は、少子化に歯止めをかけるための「こども未来戦略方針」の素案に、児童手当の拡充を2024年度中に実施することを盛り込みました。何が変わるのか解説します。

全ての子に支給 高校に通わない子は?

 児童手当の拡充案ってどんな内容?

 今は支給対象が中学生までですが高校生まで引き上げます。さらに第3子以降は、高校生まで一律で支給額を月3万円に引き上げます。所得制限もなくし、親の所得額に関係なく全ての子を対象に支給します。

 「高校生」というのは、高校に通っていなければ対象外なの?

 素案では「支給期間は高校卒業まで延長する」と記載していますが、専門学校生や会社員、フリーターなど身分や職業に関係なく、要件を満たせば支給される方向です。日本は高校進学率が高いので、小中高という流れの中で「高校」を使ったのでしょう。

 ちなみに支給期限についてですが、今の法律では「15歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある児童」。つまり中学卒業前までなので、今後は18歳の誕生日を迎えた後、最初の3月31日まで支給される見通しです。

Q 高校に行かずに就職しても、手当をもらえるということ?

 学齢以外に、親が子を「監護」していることや、生計が同一であることが要件になりそうです。子が働いていても、生計が同じで親が子の生活の面倒を見ていれば、支給要件を満たすでしょう。一方、子が一人暮らしするなど生計も独立していれば、支給対象外になる見込みです。

Q 第3子以降の支給額が高い理由は?

 日本は子が3人以上いる家庭が減少しています。経済的理由で出産を諦めるという声も多く、手厚くすることで3人目以降の出産を後押しする狙いがあります。ただ、3万円では不十分との意見は自民党内からも出ています。

 また、今の運用のまま実施すれば、長子が大学1年に相当する「19歳の学齢」に達すると「第1子」から外れ、2番目が「第1子」、3番目が「第2子」の扱いになります。実際は3人の子がいたとしても、3万円支給の対象となる期間は限定されてしまう例が多いとみられます。

元記事:東京新聞 TOKYO Web 2023年6月3日