身近にある材料を使って、高知市の中心商店街に実在する店舗を次々にミニチュアに
仕立てる男性がいます。
以前プライムこうちで取り上げた彼の新作が続々できています。

(野村舞アナ)「こんにちはー、のりさんご無沙汰しています。何をされているんですか」
(茨木典幸さん)「ちょっとね、図書館に置いている分が壊れたので、修理に持って帰っているんです」

ミニチュアの手入れをしているのは、「のりさん」こと茨木典幸さん67歳です。
1920年創業の老舗、高知市帯屋町の「メガネのクスノセ」の認定眼鏡士で、またの名を「おまちのミニチュア作家」。
10年ほど前にドールハウスを見たことをきっかけに、趣味でミニチュアづくりを始め、のりさんがよく利用する江ノ口コミュニティセンターの図書館に、作品をずらりと展示しています。

こだわりは、身近にある材料で作ることです。

ガーデニングの店は…「そうめん」の箱で、
ジョウロの筒と口の部分は「くぎ」で、
上品ないすの背もたれは「つまようじ」です。

小物は比較的安価な石粉粘土で作り、アクリル絵の具で色付けしています。

そんなのりさんがおととしから作っているのが、中心商店街に実在する店舗のミニチュアです。

最初に作ったのが、大橋通り商店街にある老舗・門田鰹節本店の12分の1のミニチュア。
外観はもちろん、ふわふわの削り節や木彫りの看板も本物そっくりです。
その後もくだもの店やうなぎの販売店、ドリンクやスイーツのテイクアウト店など続々と「実店舗」シリーズを制作。

「中納言」に…「HIGAKI」も。

2カ月から3カ月ほどかけ、1つの店舗を作ります。

野村アナは、“帯ぶら”しながら、今月完成したばかりの最新作を見せてもらうことに。

(野村舞アナ)「もう何店舗くらいできてるんですか?」
(のりさん)「一番新しいので9店舗」
(野村舞アナ)「すごいですね」
(のりさん)「一番新しいNIBANGAIさん、どこに置いているかわかりますでしょうかね」
(野村舞アナ)「ありました!めっちゃくちゃかわいいですね」

創業して52年のアパレルショップNIBANGAI。
店の前を通るたびに、のりさんは2階部分のディスプレイを見て、作ってみたいと思っていたそうです

(のりさん)「実はこれ秘密があって、以前、舞さんに取材の時にいただいた佃煮の箱で作らせていただいています」
(野村舞アナ)「そうです!これ、うちで中身を食べたつくだ煮の箱をのりさんに
プレゼントしたんです。ありがとうございます。ここで活用されたんですね。ちょうどぴったりの大きさ」

店のスタッフも「細かいところまでそっくり」と感激していました。

(NIBANGAIオーナー・岡本千恵子さん)「もうね、みんなで、かわいいーって。
嬉しかったです」
「まさかうちが作っていただけたなんて、びっくりしました」

のりさんこと、高知市の中心商店街にある店舗をミニチュアで再現している茨木典幸さん67歳。
先月、アーケードの角地にある100年以上続く老舗「中西呉服店」のミニチュアを
完成させました。

(野村舞アナ)「見てください。これですよー。本物そっくり」

制作期間およそ3カ月。
そうめんの箱を使い、間口が広い店舗を12分の1で再現。
これまで作った中でも、パーツの数と種類が多い力作です。

制作中は店に足しげく通い、「店番ができるくらい」まで商品についてリサーチしたそうです。

引き出しは可動式。
特殊なカメラでミニチュア店舗に入ってみると、その細かさがよくわかります。

のりさんが着ていたYシャツの生地や、石粉粘土で作ったフィギュアなどに、アクリル絵の具で色を付けて作った小さな世界です。

ちなみに…ガラス戸の素材は、自分の店で販売している眼鏡ケースが入っていた透明の箱。ナイスアイデアですね

(野村舞アナ)「ではここでクイズ。ずらっと並んだ反物。これはいったい何で作られているでしょうか」

(野村舞アナ)「ではのりさん、答えをお願いします」
(のりさん)「これはお弁当を買ったときにつく割りばし。丸いのですね。これを利用して作っています」

丸い割りばしをカットし、色を塗った布を巻きつけているんです。

(野村舞アナ)「柄も色も全部変えていらっしゃって、作るの楽しかったでしょう」
(のりさん)「楽しいですね。これは。一番面白かったです」

のりさんは仕上がったミニチュアをお店にプレゼントしています

中西呉服店で66年働く大女将の中西史子さんも、その細かさに見入っていました。

(中西さん)「言うことない。本当にすばらしい」
(のりさん)「ありがとうございます」
(中西さん)「ありがとうございます」
(のりさん)「作った甲斐がありました」

ミニチュアを作ることで、他の店とより深い付き合いができるようになったという
のりさんは、「できるだけ忠実にお店を作る。気に入ってもらえなかったらダメなんでね。お店の方が喜んでいただいたり、お客さんが見てすごいなと言ってくれたら、それが一番うれしい」と語ります。

手作りミニチュアが、商店街ならではのつながりをさらに深めています。