中国の自動車メーカー「GWM」がスポンサーとなり、3年目を迎えるCS第2戦『GWM Sydney Surf Pro』が現地時間5月14日に終了。
会場のノースナラビーンは公式2-3ftのファンウェーブとなり、メンズ、ウィメンズ共に素晴らしいファイナルデイとなった。

ジョーダン・ローラーが地元でキャリア最大の優勝

(ジョーディ・ローラー)
PHOTO: © WSL/Matt Dunbar

現役時代アイスマンと呼ばれた2xワールドチャンピオンのダミアン・ハードマンを始め、テリー・フィッツジェラルド、サイモン・アンダーソン、ネイザン・ウェブスター、ネイサン・ヘッジ、クリス・デヴィッドソン、オジー・ライト、ローラ・エネヴァーなどを輩出したノースナラビーン。

同じオーストラリアでもゴールドコーストとは全く違う雰囲気のノーザンビーチはハイクオリティのビーチブレイクが点在しており、その中でもノースナラビーンはマンリーと並んで昔から最もコンペティションに打ち込むサーファーが多く、メインとなるレフトは夕方になるとローカルを中心にハイレベルなセッションになる。

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(34歳ベテランの アレホ・ムニーツ) PHOTO: © WSL/Matt Dunbar

ノースナラビーンから久しくCT選手は誕生していないが、この日29歳のジョーダン・ローラーが大勢の地元の応援団のサポートを受け、ファイナルで2011年から2016年までCTを回った34歳のベテラン、アレホ・ムニーツ(BRA)とファイナルを戦った。

完全にアウェーとなったアレホに対して波に乗る毎に大声援が飛び交ったジョーダンはトータル15.75とイベントのハイエストヒートスコアを出してアレホを一時コンビネーションスコアに追い込んだ。
アレホは7.20を出してコンビネーションこそ脱出したものの、逆転には至らず、ジョーダンが地元でキャリア最大の優勝を決め、念願のCTに一歩近づいた。

「この数ヶ月は本当にジェットコースターのようだった。今年はCSも落ちてしまい、正直引退も考えていたんだ。だから、踏ん張って良かったと思う。しばらく調子が上がらず、結果も出せなかったから、本当に嬉しいよ。CT出場はずっと目標にしていたし、この大会で優勝できたことは本当に助けになる。信じられないね」

PHOTO: © WSL/Cait Miers

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2023年のCSで結果を出せなかったジョーダンはQSからのクオリファイも逃していたが、今回はローカルワイルドカードで出場していた。
そして、ローカルナレッジを活かしての優勝、CSランキングも4位となり、第3戦以降も参戦できるようになりそうだ。

ちなみにイベント中はジョーディと呼ばれ、彼のInstagramもジョーディになっているが、それはニックネームで正式にはジョーダン。
WSL公式サイトにもジョーダン・ローラーと記されている。

「地元の顔なじみのみんなの前で勝つのは言葉にできないほど嬉しい。子供の頃、サーファーの先輩たちを尊敬していたんだ。だから、彼らと競って勝つことができたのは、夢が叶ったようなものさ。特に地元開催でね。CT出場権獲得のために、ずっと懸命に練習してきたし、今年こそはそれを成し遂げたい」

イザベラがノースナラビーンで2連覇

(イザベラ・ニコルス)
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ウィメンズサイドはCT返り咲きを果たし、ミッドシーズンカットでCS落ちとジェットコースターのようなシーズンを送っているイザベラ・ニコルス(AUS)と2023年のCS最終戦から2連勝中のエリン・ブルックス(CAN)がファイナルを争った。

バックハンドで堅実にスコアを重ねたイザベラに対してフロントサイドのエリンはバックアップスコアを伸ばすためにリスクを冒してエアーリバースにトライするが、メイクには至らず…。
トータル15.27をまとめたイザベラがノースナラビーンで2連覇を達成してランキングでも2位に浮上した。

(完成度が高いエリンのエアーリバースだが、今回は失敗)
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「今は頭の中が混乱している。今回の大会にはポジティブな気持ちで挑み、それが功を奏したと思う。昨年はすごく落ち込んだ状態でこの大会に出場したんだけど、それもまた結果的に良かった。今回は同じ状況でプレッシャーや感情が少なく、それでも結果を出せて嬉しいわ。昨年に比べて良い精神状態で臨めたのは本当に良かった。どんな精神状態でも、プロセスをしっかり踏めば結果を出せるってことだと思う」

(ファイナル後に抱き合う二人)
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(エリンが担ぎ役も)
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2大会連続のファイナル進出ですでに来年のCT入りをほぼ確実にした16歳のエリンとイザベラはとても仲が良く、オフの時間も一緒に過ごしているとか。優勝後のビーチ凱旋ではエリンが担ぎ役になっていた。

「エリン・ブルックスに感謝の気持ちを伝えたい。彼女は多くのインスピレーションを与えてくれ、ここ数年彼女と過ごす時間は本当に幸運だった。彼女はとても献身的で、意欲的で、非常に才能がある。私にとって妹のような存在で、ここ数週間一緒に過ごして本当に楽しかった。また、今週私を指導してくれたコーチのマット(グレンジャー)にも感謝している。彼のエネルギーは素晴らしく、それが今回の2連勝に繋がったのは明らかよ」

日本人選手の結果は?

(伊東李安琉)
PHOTO: © WSL/Cait Miers

(都筑有夢路)
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開幕戦では大原洋人が9位に入っていた日本勢だが、今回は松岡亜音、都筑有夢路、都築虹帆の17位が最高位。
メンズはRound of 32まで進んだ伊東李安琉の25位と結果は出せなかった。

次の第3戦は南アフリカで7月1日〜8日に開催される『Ballito Pro』

CS第2戦『GWM Sydney Surf Pro』結果
1位 ジョーダン・ローラー(AUS)
2位 アレホ・ムニーツ(BRA)
3位 ミゲル・プーポ(BRA)、ガティアン・デラエ(FRA)
5位 イアン・ゴーベイア(BRA)、サミュエル・プーポ(BRA)、イーライ・ハンネマン(HAW)、タロウ・ワタナベ(USA)

ウィメンズ
1位 イザベラ・ニコルス(AUS)
2位 エリン・ブルックス(CAN)
3位 ナディア・エロスタルベ(EUK)、サリー・フィッツギボンズ(AUS)
5位 ヴァヒネ・フィエロ(FRA)、アリッサ・スペンサー(USA)、ベラ・ケンワーシー(USA)、ヨランダ・ホプキンス(POR)

WSL公式サイト
http://www.worldsurfleague.com/

(空海)

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