パーフェクト10続出のかつてないほど素晴らしい波に恵まれたQS5,000『Nias Pro』が現地時間6月13日に終了。

ファイナルデイの二アス・ラグンドリ・ベイはウネリのピークが過ぎたものの、公式4-6ftレンジのバレルオンリーのコンディションでエクセレントスコアが量産された。
以前からインドネシアのバレルにコミットしていた元CT選手のジョシュ・カーと娘のシエラのカー親子がダブル優勝目前の活躍でイベントを盛り上げ、日本の伊東李安琉が3位、加藤翔平、佐藤李が5位に入り、QSアジアリージョナルのランキングにも変動があった。

ツインフィンでファイナル進出を決めたジョシュ・カー

(ジョシュ・カー)
PHOTO: © WSL/Tim Hain

現役時代はエアリアルのイメージの方が強かったジョシュ・カー(AUS)だったが、今イベントではバレルのスキルの高さを世界中に示した。
娘のシエラのサポートのために参加したジョシュは自らが始動した新しいサーフボードブランド「Draft Surf」のツインフィンで戦い、いくつのも9ポイントを出してファイナル進出。
最後は若いウィンター・ヴィンセント(AUS)に負けてしまったが、久々のコンテストで十分な成果をあげた。

「自分のツインフィンでサーフィンして、更にバレルに入りたかった。期待は完全に超えたね。この二つを達成して更にファイナルに進むことができたのは、ボーナスみたいなものだよ。毎日こんなに多くのバレルを経験できたのは記憶にないほどさ。ジャージを着てコンペティターとしての気分を少しだけ味わい、こんな素晴らしい波でサーフィンをしたのは本当に楽しかった。娘のシエラと一緒にここでサーフィンできたのも素晴らしい経験。最高のコンテストだったね」

ジョシュを倒したウィンター・ヴィンセント

(ウィンター・ヴィンセント) PHOTO: © WSL/Tim Hain

ファイナルでジョシュを倒したのはマンリー出身のウィンター・ヴィンセント(AUS)で、長いバレルでスコアした9.63が勝負の決め手となった。

試合巧者のカーはウネリのピークが過ぎたことを考慮して序盤から多くの波に乗り、カービングでスコアを出してヒートを組み立て始めた。更にセットの最初の波に乗り、8.50を出したまでは完璧な試合運びだった。
しかし、その後ろで乗ったウィンターの波の方が良く、9.63とパーフェクトに近いスコアを出してから流れが変わった。
残り20秒で入ったセットも2番目に乗ったウィンターの方が勝り、バックアップスコアを伸ばしてトータル18.46を揃えたウィンターが勝利した。

「一生忘れられない日になった。多くの友人とこの場所に戻り、最高の波に恵まれた。そして、カージーとのファイナル。彼は憧れのサーファーで、波が良い時に対戦するのは怖いコンペティターでもある。彼とアウトで話せたのも楽しかったし、素晴らしい時間だった。世界最高峰のQSイベントに参加できて興奮している。今までで最高のコンテストさ。今週は沢山バレルに入り、特に昨日は人生最高の波にも乗った。クルイと二アスの両大会で良い結果を残せたことでCSの残りイベントのプレッシャーから解放されたよ」

すでにCSに参加しているウィンターだが、2戦を終了した時点で良い結果は出せず、低迷している。
しかし、QSではクルイで5位、二アスで優勝してオーストラリア/オセアニアリージョナルのトップに立ったため、来年のCSにも残れる可能性が高くなっている。

PHOTO: © WSL/Tim Hain

ウィメンズはリージョナル外の選手が優勝

(エラ・マキャフレイ)
PHOTO: © WSL/Tim Hain

現在のQSはリージョナル別に分かれており、そのランキングの上位選手がCS出場権を得るシステムだが、今回の二アス戦は波が特別なため、アメリカ、ブラジル、イタリア、フランス、イギリスなど他リージョナルからも何人かの選手が参戦していた。

ウィメンズサイドはカリフォルニア・エンシニータス出身のエラ・マキャフレイがオージーのオシアナ・ロジャースを倒して優勝。
ファイナルでは最初にターンで7.33を出し、バレルで8.83をスコア。トータル16.16を揃えてオシアナを一時的にコンビネーションに追い込んでいた。オシアナは最後の波で大きなバックサイドスナップを繰り出し、8.17を返したものの、バックアップが足りず、エラがこの勝負を制した。

PHOTO: © WSL/Tim Hain

「世界で一番好きな波のイベントに勝てて本当に嬉しいわ。史上最高のイベントの一つだと思う。毎日バレルが次々と現れる最高の波で、多くの10ポイントが出た。サーフイベントとしては最高の波よね。参加できて最高だったし、素晴らしいサーファーが沢山いるこのリージョナルで戦えて良かったわ。私はアメリカ出身なのでポイントは関係ないけど、全ては経験のため。ハイレベルの中で優勝して、ファイナルでもあんなバレルに入れた。本当に嬉しいわ」

世界中のサーファーが集まるインドネシアは波の宝庫であり、その波でハイグレードのイベントを開催するアジアリージョナルは世界でも特別なQSになった。
リージョナル別でCSの予選を行うシステムは合理的だが、大半は平均的なビーチブレイクで行うため、バレルが得意な選手にとっては力を発揮できない欠点もある。
また、CSもCTのパイプラインやタヒチ、フィジーのようなバレルオンリーのポイント開催がなく、CTに入って初めてそれらの場所に来たという選手も少なくない。

日本人最高位は伊東李安琉の3位

(伊東李安琉) PHOTO: © WSL/Tim Hain

Round of 32ではイベント初のパーフェクト10を出していた伊東李安琉。
SFでも今回優勝したウィンターを相手にバレルをメイクしてヒートのハイエストとなる9.70を出したが、もう一本に乗れずに惜しくも敗退した。
また、QFでウィンターと対戦した加藤翔平もヒートのハイスコアを出しながら、もう一本が足りなかった。

ランキングでは伊東李安琉がトップ、加藤翔平が2位に浮上。
ウィメンズ大きな変動がなく、池田美来がカレントリーダーの座を維持している。

なお、同時開催の『Nias Pro Junior』はまだ進行中。
日本人選手も多く残っているので、ライブ中継をお見逃しなく!

QS5,000『Nias Pro』結果
1位 ウィンター・ヴィンセント(AUS)
2位 ジョシュ・カー(AUS)
3位 カイアス・キング(AUS)、伊東李安琉(JPN)
5位 トゥルー・ワイリー(AUS)、アクセル・クロータ(AUS)、加藤翔平(JPN)、マデ・ジョイ・サトリアワン(IND)

ウィメンズ
1位 エラ・マキャフレイ(USA)
2位 オシアナ・ロジャース(AUS)
3位 フィリッパ・アンダーソン(AUS)、シエラ・カー(AUS)
5位 佐藤李(JPN)、ウィロー・ハーディ(AUS)、パイパー・ハリソン(AUS)、コーラル・デュラント(AUS)

WSL公式サイト
http://www.worldsurfleague.com/

(空海)

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