能登半島地震で中断していた南海トラフ地震の被害想定の見直しに向けた国のワーキンググループが5月17日から再開し、能登半島地震を踏まえて検討していくことを確認しました。

国の被害想定で静岡県内で10万人以上が死亡するとされている南海トラフの巨大地震。

竹下昇輝 記者:
一時中断していたワーキンググループが、きょうからこちらの会議室で再開されました。元日に発生した能登半島地震の教訓が、どのように反映されるのでしょうか

このワーキンググループは2013年に策定された南海トラフ地震の被害想定と防災対策の見直しに向けて専門家が議論していて、元日の能登半島地震で一時中断されていました。

再開された17日の会合では10年間で建物の耐震化はあまり進んでいない一方、避難タワーなどの津波対策が進んだことで被害想定がどの程度変化するのか意見が交わされました。

ワーキンググループ・福和伸夫 主査:
ハード面の被害は大きく変わらないかもしれないが、死者という意味では特に津波を中心として減らすことができるだろうと想像してもらえれば

また、伊豆半島など能登半島と同じような特性を持った地域については「行政だけに頼らない対策が必要」という意見が出されたということです。

内閣府・藤本雄介 企画官:
民間企業との連携、もしくはボランティア団体NPO団体との連携というのを平時からしっかりと想定して作っておく必要があるのではないかという意見も多くの委員からありました

ワーキンググループは今後も議論を続け、2024年中に最終報告書を取りまとめたい考えです。


静岡県も第4次被害想定を策定


県の第4次被害想定

国は東日本大震災を踏まえ、2013年に南海トラフ地震の被害想定を公表しています。

そして、国の被害想定を踏まえ、県も第4次被害想定を策定しました。

国や県の被害想定をもとに、市や町は防災対策を講じていますので、国の想定は防災にかかわる非常に重要な指針となります。


想定死亡人数が減少

県の第4次被害想定では最悪のケースで県内で10万5000人が死亡する想定でしたが、県は2022年度までに防潮堤や避難タワーなどの整備、それに早期避難の意識の向上などで、このうち2万2000人にまで減ったとする減災効果の試算を発表しています。

こうしたこれまでの地震・津波対策を盛り込んで、国の新しい被害想定も策定される見通しで、県も国の想定を踏まえ第5次被害想定の策定を進める方針です。