宮城県塩釜市にある結婚式場が今年8月末で75年の歴史に幕を閉じることになりました。その結婚式場で使われてきた多くの貸衣装を格安で販売する閉店セールが連日盛況で、多くの人が訪れています。

閉店セールに客が続々

結婚式場「ブライダル・プラザわかば」では12日、開店と同時に次々と買い物客が訪れました。

TBC

買い物客:
「昔ながらの着物だから落ち着いていていいね」
「習い事で民謡をやっていて舞台が近くて、それに着る用の着物があったらいいなと」

塩釜市南町にある「ブライダル・プラザわかば」。閉店セールではレンタル用のウェディングドレスや振袖、七五三用の衣装のほかティアラやかんざしなどの小物が格安で販売されています。

小野寺穂実記者:
「閉店セールでは1万点以上もの商品が並んでいるということなんですが、婚礼用のかつらは1つ1000円だということです」

TBC

1949年に美容院として営業を始めた「ブライダル・プラザわかば」。その後、結婚式場やスタジオ写真撮影などにも業務を拡大し多くの人の「晴れの日」に携わってきました。

ブライダル・プラザわかば 遊佐真人社長:
「感激の一瞬にでも私がお手伝いできたということは、幸せだったなと思います」

TBC

しかし、震災で店舗が津波被害を受け人口減少やコロナ禍の影響もあって今年8月末で75年の歴史に幕を閉じることになりました。

ブライダル・プラザわかば 遊佐真人社長:
「津波で1メートルくらいここも(水位が)あがりましたし、コロナでほとんどもう、結婚式とか宴会なんかもなくなった」

津波・コロナだけではない閉店の理由

もう一つ、閉店する大きな理由は後継者がいないことでした。

長男・遊佐亮介さん:
「自分が一人息子だが東京で役者をやっているので後を継がないというのが一番の理由」

TBC

長男で俳優の遊佐亮介さん。自分にできることはないかと、SNSに閉店セールの告知を投稿しました。

長男・遊佐亮介さん:
「わかばで結婚式を上げてくださった人、七五三をやってくださった方の目にとまればいいかな、着物を欲している近場の人の目にとまればいいかなくらいの感じで」

TBC

亮介さんの投稿は多くの人の目に留まり県内外から連日、買い物客が訪れています。

山形から来た買い物客:
「姉から(旧)ツイッターで(教えてもらった)いろいろあって迷ってしまってなかなか選べないでいるんですけど楽しいです」
買い物客:
「息子が幼少の頃、七五三に行くときに塩釜神社に行く前にこちらのほうで着付けとかお世話になりました。さみしい思いはあるが思い出の記憶はずっと残ってる」

多くの人の節目に携わり75年。遊佐社長は、式場が無くなっても衣装を再利用してもらい幸せになってもらえればと願っています。

TBC

ブライダル・プラザわかば・遊佐真人社長:「何十年前からの衣装もありますのでできるだけ代々渡していきたい。どういう使い方をされてもいいんですけど、そういう歴史が続いていっているなと思いながらお売りしたい」

閉店セールは店の商品がなくなるまで開催するということです。多くの商品がレンタル料の半額かそれ以上割引きして販売しています。営業は月・木を除く午前10時から午後4時です。