アメリカの連邦最高裁判所は、人工妊娠中絶を全面的に禁止した州の法律をめぐる訴訟で、緊急の場合には中絶手術を認めるべきだとの判断を示しました。

アメリカ中西部・アイダホ州の法律は、妊婦の死亡を防ぐ場合など限られた場合を除いて人工妊娠中絶を禁止していて、手術した医師にも刑事罰を科す内容となっています。

これに対し、女性の中絶の権利を擁護するバイデン政権が州法の差し止めを求めて提訴していましたが、連邦最高裁は27日、緊急の場合には医師の判断で中絶手術を行うことを認めるべきだとの判断を下しました。

ただ、最高裁の判断は州法の是非そのものには踏み込んでおらず、アメリカメディアは「中絶の権利擁護派にとって一時的な勝利だ」などと伝えています。

第一次トランプ政権のもとで保守派の判事が多数を占めるようになった連邦最高裁は、2年前に人工妊娠中絶を憲法上の権利として認めた判断を覆していて、その後、アイダホ州の法律が施行されていました。

アメリカでは、人工妊娠中絶は国内世論を二分するテーマとなっていて、11月の大統領選でも大きな争点の一つです。