「暑さ寒さも彼岸まで」といわれますが、9月20日から「秋彼岸」に入り、23日には秋分を迎えます。秋分は、昼間がだんだん短くなり、冬に向かっていく季節の変わり目にあたります。
今回は、日本ならではの風習「お彼岸」についてと、秋分の日に「御来光の道」があらわれる日本の「レイライン」についてご紹介します。

此岸と彼岸が近付く、秋分の日

1年間で春と秋に2回ある「お彼岸」。秋の彼岸は、秋分の日と前後3日間を合わせた7日間になり、初日を「彼岸入り」、最終日を「彼岸明け」、秋分の日を彼岸の「中日(ちゅうにち)」と呼びます。
私たちがいる現世「此岸(しがん)」に対して、彼岸とは「向こう岸、対岸」を指し、仏教では悟りの世界、極楽浄土を意味しています。太陽が真東から昇って真西に沈むとされる春分の日と秋分の日は、彼岸と此岸の距離が最も近い日と考えられ、先祖を供養するための特別な日とされてきました。
お彼岸は日本固有の風習で、「彼岸会(ひがんえ)」という仏事の記録は平安時代まで遡ります。秋の彼岸は収穫の時期にあたることから、自然の恩恵に感謝する日でもありました。先祖供養と収穫祭を合わせた大切な時期として、彼岸の風習は現在まで受け継がれているのです。
【2021年の秋彼岸】
彼岸の入り:9月20日(月・祝)
中日(秋分の日):9月23日(木・祝)
彼岸の明け:9月26日(日)


日付が変動する!太陽の運行に導かれる特殊な祝日

2021年の秋分の日は9月23日ですが、日付はその年によって変わります。天文学上の「秋分」は、太陽が黄経180度の秋分点を通過した時。秋分の日は、地球の公転周期に連動する特殊な祝日なのです。地球は太陽のまわりを、およそ365日5時間48分46秒で公転しています。そのため、4年に一度の閏年で調整しても、秋分の時刻は少しずつ早まっているそうです。毎年9月23日となったのは1980年で、2012年からは4年に一度の割合で9月22日が秋分の日になりました。
太陽が黄経0度を通過する「春分」も、同じ理由で変動します。そのため、春分の日と秋分の日は、「国民の祝日に関する法律」に具体的な日付が記載されておらず、前年の暦要項で発表されることになっています。
秋分の日は「祖先を敬い故人をしのぶ日」として、1948年(昭和23年)に法律で国民の祝日と定められました。それ以前は「秋季皇霊祭(しゅうきこうれいさい)」という国家の祭日で、歴代天皇、皇后、皇族の神霊を祭る宮中祭祀が催されていました。この儀式は、伊勢神宮をはじめ各地の神社で現在も執り行われています。

神秘的なレイラインとは?「御来光の道」に並ぶ聖地

「レイライン(ley line)」とは、古代の遺跡や巨石群、神社仏閣などが、不思議と一直線上に並んで位置するように見える現象をいい、1921年にイギリスのアマチュア考古学者によって提唱されました。単なる偶然なのか、それとも特別な意味があるのか、考古学上のロマンとして人々の想像力を刺激しています。
日本にも、壮大なレイラインがあることをご存知でしょうか。
日が昇る太平洋側に面した玉前神社(千葉)から、日が沈む日本海を目前に望む出雲大社(島根)を結ぶ、700km以上にも及ぶレイラインです。このライン上には、寒川神社(神奈川)、富士山、身延山(山梨)、伊吹山(滋賀、岐阜)、竹生島(ちくぶしま、滋賀)、元伊勢(京都)、大山(鳥取)といった、日本を代表する聖地が並んでいることがわかります。東西を貫くこのラインは、春分と秋分の日に太陽の通り道となることから、神道や修験道の世界では「御来光の道」とされ、現在も強力なパワースポットとして知られています。
古より、太陽は世界中で神格化され敬われてきました。神道でも、「天照大神」が太陽神として崇敬されてきた歴史があります。そのため、太陽が真東から登り真西に沈む春分、秋分の日は特別な日となり、「彼岸」の風習がうまれたのですね。秋分の日が過ぎると昼間が短くなり、季節は冬に向かっていきます。今年のお彼岸は、太陽の「御来光」を感じながら、ご先祖さまに思いを寄せる、そんな穏やかな時間を過ごしてみてはいかがでしょうか。

参考文献
岡田芳朗・松井吉昭 『年中行事読本』 創元社
参考サイト
国立天文台
寒川神社