巷には彩様々なスイーツがたくさんあります。その中でも、和菓子には、日本の四季折々の風土や情緒が込められているものがたくさんあります。前回までに引き続き今回も、地方の銘菓や郷土菓子をご紹介します。フォーカスするのは古都・京都、天下の台所と呼ばれた大阪、古く日本の中心地であった奈良のもの。それぞれ地元の人に長く愛されているお菓子たち。贈答用にはもちろんですが、ご自身で楽しんでみても。季節、地域だけでなく歴史にも思いを馳せながら、味わいの旅をしてみるのはいかがでしょうか?

☆お干菓子 亀末廣

京都の銘菓です。創業は文化元(1804)年、現在の屋号となったのは4代目からと言われています。店構えは水引のれんの佇まいが趣深く、歴史を感じる商家づくり。熟練の職人が作る干菓子は、四季折々の草花や自然が色鮮やかに表現されています。「四畳半」の愛称で呼ばれることも多い『京のよすが』は、その時季ならではの意匠の凝らされた干菓子だけでなく、半生菓子や有平糖などが、四畳半に区切られた杉の箱に詰め合わされています。箱を開けた時の喜びを願って作られたお菓子を、ワクワクしながら、ゆったりとした時間と共に味わいたいものですね。

亀末廣(かめすえひろ)
所在地:京都市中京区姉小路通烏丸東入ル
TEL:075-221-5110

茶室の基本は四畳半。丸畳一畳の手前座と丸畳三畳の客座と半畳で構成された部屋のことを言うそうです
茶室の基本は四畳半。丸畳一畳の手前座と丸畳三畳の客座と半畳で構成された部屋のことを言うそうです


☆阿闍梨餅 阿闍梨餅本舗(あじゃりもちほんぽ)京菓子司 満月

こちらも京都の銘菓です。比叡山で修行をする阿闍梨がかぶる網代笠を象った『阿闍梨餅』です。粒餡を餅生地で包み、焼き上げられた阿闍梨餅は、しっとりとした皮に程よい甘さの餡がからみ、一度食べたら病みつきになる美味しさです。
こちらのお店の創業は江戸の終わり安政3(1856)年。「一種類の餡で一種類のお菓子しかつくらない」という基本方針で考え抜かれたお菓子は、全部で4種類。他の多くの和菓子屋と比べると、とても少なく感じるかもしれませんが、それゆえに食べてみたいと思わせられます。

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このような網代笠がイメージされたのでしょうか
このような網代笠がイメージされたのでしょうか

☆芥子餅 本家小嶋

大阪・堺市の銘菓です。創業はなんと室町時代。500年近くもの歴史がある老舗です。練り上げた餡を求肥で包み芥子の実をまぶした、食感が楽しいお菓子です。生菓子なので、早めに食べなくてはなりませんが、硬くなってしまった時には、遠火で炙ると、柔らかく、また香ばしく食べることができるそうです。

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☆みよしの 萬御菓子誂處 樫舎(かしや)

奈良市の銘菓です。春日大社へ納める誂え菓子を手がける店主が作るお菓子です。『みよしの』は蒸し羊羹と葛焼きの2種類がありますが、おすすめは葛焼きです。奈良吉野の本葛と丹羽小豆の餡のハーモニーが秀逸です。素材だけでなく、細かい手作業も厭わずに、1番良いと思う状態へと手を掛けるこだわりは味にも表れています。また、目の前で作ったお菓子をカウンターでいただくことができる和菓子のコース(要予約)もあります。とても珍しいのではないでしょうか。

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葛は漢方にも利用されたりします。奈良は良質な葛の産地でもあります
葛は漢方にも利用されたりします。奈良は良質な葛の産地でもあります

☆御城之口餅(おしろのくちもち)  御菓子司 本家菊屋

奈良県大和郡山市の銘菓です。菊屋の店祖、菊屋治兵衛(きくやじへい)が豊臣秀吉の弟・秀長に大和の地に連れてこられたのが始まりです。秀吉をもてなすお茶会のお菓子として作られたのが、粒餡を餅生地で包み、きな粉をまぶしたもの。秀吉はとても気に入ったと伝えられています。以降、脈々と作り続けられ、お城の入口、門のすぐ1軒目のお店であったことから「城之口餅」と通り名がついて、今に至ります。一説には鶯餅の原型、とも言われているそうです。

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風情を楽しみ、昔に思いを馳せてみるのも、和菓子のよさかもしれませんね
風情を楽しみ、昔に思いを馳せてみるのも、和菓子のよさかもしれませんね

旅行せずとも旅気分が味わえるのは「食」の良いところでは。ぜひ思いを馳せて、いただきましょう♪


参考 太陽の地図帖22 郷土菓子/平凡社