NBAの歴史において、背番号6を着けて活躍した選手はそれほど多くない。しかし多くないながらも、活躍した選手の顔触れ自体は実に豪華だ。1960年代にはビル・ラッセル、1970年代はジュリアス・アービング、そして2010年代がレブロン・ジェームズと、各年代で最高のスーパースターたちが、この番号を背負ってスポットライトを浴びてきた。

 レブロンは高校〜前期クリーブランド・キャバリアーズ時代、マイケル・ジョーダン(元シカゴ・ブルズほか)に憧れて23番を愛用。2010年に移籍したマイアミ・ヒートでは永久欠番扱いになっていたが、ジョーダンの功績を称える意味での欠番だったため、レブロンが望めば23番を継続できたかもしれない。それでも彼は「ジョーダンの背番号は全球団で欠番とすべき」との考えから、移籍前から番号を変えることを決めていたという。6番はアメリカ代表で着けていた番号で、「2番目に好きな選手」がアービングというのも変更理由だった。2014年に復帰したキャブズ、そして現在のロサンゼルス・レイカーズでも23番に戻している。
  そのアービングは、1970年代のバスケットボール界で最も人気のあった選手だ。華麗かつ豪快なダンクで観客を魅了しただけでなく、ABAとNBAの両リーグであげた得点は3万点を超え、引退時点での通算得点は史上2位の数字。ABAのニューヨーク(現ブルックリン)・ネッツ時代は32番を着用していたが、1977年にフィラデルフィア・セブンティシクサーズに入団した際、前年に引退したスター選手ビリー・カニンガムの番号だったことから6番に変更した。

 そんなアービングが6番を選んだのは、少年時代のヒーローがラッセルだったからである。キャリアをボストン・セルティックス一筋で過ごしたラッセルは、ブロックをはじめとするディフェンスでリーグに革命を起こし、チームを8連覇に導いた伝説のビッグマン。歴代最多となる11回の優勝回数を誇り、その功績から現在ではファイナルMVPのトロフィーに自身の名が冠せられている。
  現代でもタイソン・チャンドラー(現ヒューストン・ロケッツ。ニューヨーク・ニックス時代などに6番を着用)のように、ラッセルに敬意を表して6番を着けている選手がいるほど、その影響力は絶大だ。ディアンドレ・ジョーダン(ネッツ)もラッセルやチャンドラーと同様に守備を基調とする選手だが、プロ入り当初の9番から6番に変えたのはそれと直接の関連はなく、学生時代の番号に戻したものだという。

 そのほか、センターではアンドリュー・ボーガットがミルウォーキー・バックス時代に6番だった。入団時には4番を希望していたが、シドニー・モンクリーフの番号として事実上の欠番扱いとなっていたため、子どもの頃に使用していた6番を選択。クリスタプス・ポルジンギスは本国ラトビア代表でも、スペインのセビリアに所属していたときも、そして現在のダラス・マーベリックスでもずっと6番を継続している。
  1970年代後半〜80年代にフェニックス・サンズで活躍したウォルター・デイビスは、1994年にラッセル、アービングに続いて、背番号6で3人目の欠番選手となる。ノースカロライナ大出身ということもあり、同大の後輩であるジョーダンが少年時代に憧れていた選手だった。薬物問題で苦しんだこともあったが、高いシュート力を武器に6シーズンで平均20点以上をマーク。現在でもサンズの通算得点記録保持者となっている。その後移籍したデンバー・ナゲッツ、ポートランド・トレイルブレイザーズでも6番を着用し続けた。

 もう1人の永久欠番選手であるエイブリー・ジョンソンは、選手としての実績はラッセルやアービングらに比べて見劣りする。それでもリーダーシップに定評があり、1999年にはティム・ダンカンやデイビッド・ロビンソンらに正確なパスを提供し、サンアントニオ・スパーズの初優勝に大きく貢献した。

 また、オーランド・マジックとサクラメント・キングスの2球団では“6番目の選手”という意味を込めて、ファンの番号として欠番としている。
  ただし、マジックでは2002年にパトリック・ユーイングが1年だけ6番を着用。ニックス時代はもちろん、シアトル・スーパーソニックス(現オクラホマシティ・サンダー)に移籍してからも33番だったユーイングだが、グラント・ヒルが33番を着けていたことから、1992年のバルセロナ五輪で袖を通した6番を選んだ。
  彼らのほかに6番で長く活躍した選手は、1953年から3年連続で得点王に輝いたニール・ジョンストン(ゴールデンステイト・ウォリアーズ)、3ポイントの名手トレント・タッカー(ニックスほか)、3度オールスターに選ばれたエディ・ジョーンズ(シャーロット・ホーネッツほか)、才能はあったが問題行動の多かったボンジ・ウェルズ(ブレイザーズほか)、2000年のドラフト1位ケニョン・マーティン(ネッツほか)らが挙げられる。ジョーダン、ポルジンギス以外の現役ではエリック・ブレッドソー(バックス)、エルフリッド・ペイトン(ニックス)、新鋭のトロイ・ブラウンJr.(ワシントン・ウィザーズ)などが代表的な背番号6だ。

文●出野哲也

※『ダンクシュート』2013年7月号掲載原稿に加筆・修正。

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