2017年のNBAプレーオフ、ゴールデンステイト・ウォリアーズとサンアントニオ・スパーズによるウエスタン・カンファレンス決勝。トップ2シードによる西の頂上決戦は実力伯仲の好カードになると思われたが、蓋を開けてみればウォリアーズがスパーズをスウィープで下し、3年連続でファイナルへと駒を進める結果となった。

 その大きな要因となったのが、当時スパーズのエースだったカワイ・レナードの負傷離脱にあるのは間違いないだろう。初戦の第3クォーター序盤、ジャンパーを放ったレナードはチェックに来たザザ・パチューリアの足を踏んでしまい、足首を負傷。シリーズ中に戦列に戻ることはなく、スコアラーを失ったスパーズはあっけなく敗れ去ってしまった。

 そして、この時のパチューリアのプレーには非難が殺到。「レナードの着地地点に合わせて故意に足を出したのではないか」として八方から強くバッシングを受け、以降パチューリアは“ダーティープレーヤー”のレッテルを貼られることになった。
  この出来事から3年が経った2020年。すでに引退しウォリアーズのフロント入りしていたパチューリアが、球団のポッドキャスト『Runnin’ Plays』で当時についてこう語っている。

「ああいったシチュエーションがどれだけの頻度で起こるか考えてみてくれ。あの事件の以前、そして以降。たくさんある!あれはゲームの一部だ。特に3ポイントが10年前、20年前から明らかに増えた現代ではね。要するに、簡単に3ポイントを打たせないための当たり前の守備戦術のひとつだってことだ」

 この事件について周囲からいろいろ言及されることは理解していたパチューリアだが、メディアが状況をより悪化させたと考えているという。

「メディアは当時のプレーオフについて、何も書くことがなかったんだ。イーストはクリーブランド(キャバリアーズ)が最初の3ラウンドをスウィープし(実際はボストン・セルティックスとのカンファレンス決勝は4勝1敗)、ウエストも僕たちが同じように勝ち上がった。そしてプレーオフは僕たちの16勝1敗で終わったんだ」
 「だからメディアは『よし、あの事件を話題にしよう。より面白く脚色して、記事が売れるようにしよう』って考えたんだろうね」

 またパチューリアは、あの試合の直後にレナードにテキストを送ったものの、返事はなかったそうだ。

「(テキストで)聞いてくれ、あれは間違いなくわざとじゃないし、君が一日も早くコートに戻ってくることを祈っている、ってね。いろいろ話したいことがあったから、自分の言葉で彼に伝えたかったんだ。凄く気分が悪かった。僕もアスリートだ。僕の子どもたちも(スポーツを)プレーしている。誰にもこうなってほしくないんだ」
 「ファンは自分たちの言いたいことを言える。あれがアクシデントだったのか故意だったのか、僕は彼らと議論することはできない。だけどプロ選手やバスケットボールをプレーする人々が、『あれはわざとやっていた』と話しているのはとても悲しいよ。あれはバスケットボールだ。僕たちは人々を楽しませようと懸命にやっている。みんな、世界中の子どもたちのロールモデルになろうとしているんだ。それぞれ異なる生い立ちがあり、様々な国の代表者としてね」

 スパーズのファンは、おそらく当時のことを一生忘れないだろう。このパチューリアの“弁明”は、はたして彼らに受け入れてもらえるのだろうか。

構成●ダンクシュート編集部

【PHOTO】NBA最強の選手は誰だ?識者8人が選んだ21世紀の「ベストプレーヤートップ10」を厳選ショットで紹介!