今季ロサンゼルス・レイカーズに加入した“AD”ことアンソニー・デイビスは、キャリア8年目にして初のNBAチャンピオンに輝き、マイアミ・ヒートとのファイナルでは平均25.0点、10.7リバウンド、3.2アシスト、1.3スティール、2.0ブロック、フィールドゴール57.1%(56/98)、3ポイント42.1%(8/19)、フリースロー93.8%(30/32)と見事な成績を残した。

 レギュラーシーズンでも平均26.1点、9.3リバウンド、3.2アシスト、1.5スティール、2.3ブロックと暴れ回り、ニューオリンズ・ペリカンズに在籍していた2017−18シーズン以来となるオールNBA1stチーム、オールディフェンシブ1stチームの両部門で選出。

 最優秀守備選手賞の投票でもヤニス・アデトクンボ(ミルウォーキー・バックス)に次ぐ2位に入ったデイビスは、208㎝・114㎏の体格でコート上を走り回り、複数のポジションの選手をガードできるだけでなく、リムプロテクターとしてもリーグ有数の評価を得ている万能戦士だ。

 NBA初優勝を飾ったデイビスは「お前はチャンピオンだ、と言われるとレガシー(名誉)の一部だと思うね。これは誰もが言えることじゃないんだ。俺はニューオリンズでも同じことをやりたかった。7年間もいたんだから。毎回、コートに出たらチャンピオンシップを競い合いたかったんだ」と振り返っていた。
  加入1年目からレイカーズを10年ぶりの優勝に導いた27歳は「これからの4、5年間、もっともっと自分を向上させていきたい。自分のゲームを進化させ続けて、この感覚をまた味わいたいんだ」と、選手としてさらに成長することを課していた。

 攻守兼備のパワーフォワード(PF)として、リーグ最高級の評価を確立したデイビス。NBAでは過去に数多くの偉大なPFがリーグ史に名を残してきた。近年ではティム・ダンカンやダーク・ノビツキー、ケビン・ガーネット。それ以前ではカール・マローンにチャールズ・バークレー、ケビン・マクヘイル、エルビン・ヘイズ、ボブ・ペティット、ドルフ・シェイズといった選手たちだ。

 なかでもサンアントニオ・スパーズで5度の優勝に貢献したダンカンは、歴代最高のPFと言われている。だが今季チームメイトとしてデイビスを間近で見てきたジャレッド・ダドリーはダンカンよりもデイビスの方が上だと明言。
  10月14日(日本時間15日、日付は以下同)に公開された『The Ringer』のビル・シモンズとのポッドキャスト内で、ダドリーは次のように話していた。

「ダンカンは数多くの選手たちが(スキルなどを)取り入れてきた存在だから、(PFとして)多くの基準を作ったんだと思う。でもADはもっと才能に恵まれているし、ディフェンス面でも優れている。特に現代のNBAではね。僕は彼がさらなる高みに足を踏み入れたと思っている」

 今季でキャリア13年目を終えた35歳のダドリーは、198㎝・107㎏という屈強な肉体を武器に裏方的な役割を黙々とこなすロールプレーヤー。ここ数年は主にPFを務めており、ダンカンとデイビスを間近で見てきた。

 ダドリーが話したように、ダンカンとデイビスを比較した場合、前者には3ポイントがレパートリーになく、機動力や跳躍力といった身体能力の面でも後者に分があると言っていい。
  ただし、ダンカンはスパーズを常勝チームへと押し上げ、5度の優勝を勝ち取ったほか、2度のシーズンMVP,3度のファイナルMVPを受賞。さらにオールスター、オールNBAチーム、オールディフェンシブチームにそれぞれ15度も選ばれている。

 15年以上にわたりリーグの第一線で活躍を続け、攻守において唯一無二の働きを見せてきただけに、現時点でデイビスをダンカンの上に置くことはできないだろう。

 今後デイビスがさらなる進化を遂げ、所属チームを複数回の優勝へと導き、今季と同等のパフォーマンスを今後も維持していくことができれば、引退時には歴代最高のPFの称号を手にすることができるのではないだろうか。

文●秋山裕之(フリーライター)

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