今季、アルファタウリからF1デビューする角田裕毅。フォーミュラカーレース参戦から6年目、欧州挑戦から3年目でレースの最高峰に到達したルーキーに、世界中から注目が集まっている。

 ケータハムの小林可夢偉以来7年ぶりとなる日本人ドライバーに、F1を統括するFIAも期待を寄せており、公式サイトでは角田のここまでのキャリアを振り返り、「大胆不敵な初勝利とスタイリッシュなスーパーライセンスの取得――5つの重要な瞬間」と題して紹介している。

 1つ目は、レッドブル・ジュニアチームの一員として欧州挑戦を始めた2019年8月、ベルギーのスパ・フランコルシャンで開催されたFIA-F3の第6戦。このレースで、それまで2ポイントしか獲得できていなかった彼が、2位表彰台をゲットしたことで「キャリアは好転した」という。
  期待度も注目度も低かった日本人ドライバーが一躍脚光を浴びたこのスパでのレースは、別の意味でも彼の記憶に残るものとなった。同じ週末に同じサーキットで行なわれたF2のレースで、アントワーヌ・ユベールが壮絶なクラッシュの末に死亡。目標としていた存在の死を受け、「彼のためにレースをした」角田は、悲劇の翌日に初表彰台を果たした。

 そして、続くモンツァでの第7戦で初優勝。同メディアは、予選6位からスタートしながら最初のコーナーで3位まで順位を上げたこのレースを「本当の角田を始めて垣間見せたレース」として、2つ目の重要な瞬間に挙げている。シーズンの序盤は慣れない環境に苦しんだ彼が、自信を高めた一戦でもあった。

 続いて3つ目は、ランキング9位で1年目のF3を終え、当然翌年もこのカテゴリーでの挑戦が続くと思われていた中でのF2昇格。この理由として、レッドブル、ホンダともに、角田がステップアップしてもパフォーマンスを発揮できると確信し、「素早い学習者」にもう1年F3で走らせることは、その成長を遅らせるという判断があったという。
  実際、第2戦のレース2で初ポールポジションでの2位、そしてシルバーストーンでの第5戦レース2で初優勝と飾ると、「角田の株は急上昇した」。

 4つ目は、初のF2でのシーズン終盤、イモラで実施されたF1テスト。ここで325kmを走行し、モンスターマシンでウェットコンディションとドライコンディションの両方を経験した彼は、そのパワーと身体への負担に「驚いた」と初々しいコメントを残すも、レッドブルはそのスピードやフィードバックの能力に太鼓判を押した。
  そして最後は、バーレーン・サヒールでの最終戦だ。ポール・トゥ・ウィンでシーズン3勝目を挙げ、ランキング3位でF1参戦に必要なスーパーライセンスを取得した“瞬間”である。同メディアは「これまで角田を知らなかった人全てが、彼が特別だと知った」と綴っている。

 短いキャリアの中で、キラリと光る瞬間を幾度も生み出し、見る者を魅了してきた20歳のルーキー。間もなく始まる新たな挑戦においても、特別な存在であり続けられるか、期待を持って見守りたいものだ。

構成●THE DIGEST編集部

【動画】イモラでの角田裕毅のテスト走行とインタビューの様子