2021年のF1・開幕戦、バーレーンGPまでおよそ2カ月。新型コロナウイルスによる経済的影響でプレシーズンテストの日数が前年の6日から3日に半減し、例年2月後半から2回にわたって行なわれるテストの回数も開幕を2週間前に控えた時期の1回のみとなった。
ルイス・ハミルトンがいまだに契約を延長せず、不確定な要素もあるが、現状の情報を元に2021年シーズンのラインナップを2回に分けて考察してみたい。
【メルセデスAMG・ペトロナス・F1】
#44 ルイス・ハミルトン(?)
#77 バルテリ・ボッタス
年間4,000万ユーロ(約50億円)+ボーナスの長期契約を望むルイス・ハミルトンとの契約交渉が難航しているといわれているが、2021年もハミルトンとバルテリ・ボッタスのコンビでおそらく参戦することになるだろう。
2020年に効果を発揮した2つのステアリング軸を持つ『DAS(Dual Axis Steering)』システムが使えなくなるなど、全く不安要素が無い訳ではないが、今シーズンもメルセデス優位は揺るがない。
すでに95勝を挙げているハミルトンが、自身の持つ最多勝記録をさらに伸ばして通算100勝の大台に乗せ、ミハエル・シューマッハと現在並んでいる最多タイの7回を超える8回目の王座に就く可能性はかなり高い。
一方、在籍5年目となるボッタスにとっては正念場の1年となる。昨季2勝を挙げ、ランキング2位は守ったが、COVID-19に罹患したハミルトンの代役でサヒールGPに出走した、メルセデス育成ドライバーのジョージ・ラッセルが優勝目前の走りを見せるなど、尻に火がついた状態だけにディフェンディングチャンピオンにどこまで対抗できるかに今後のキャリアがかかっている。
【レッドブル・レーシング・ホンダ】
#11 セルジオ・ペレス
#33 マックス・フェルスタッペン
メルセデスとホンダのパワーユニットには20〜30馬力の差があるとされ、RB16のリアエンドの挙動がセンシティブだったこともあり、去年もランキング3位とメルセデス勢の後塵を拝したが、やはり打倒ハミルトンの最右翼といえるのは、ホンダ陣営のエース、マックス・フェルスタッペンだろう。
テクニカルディレクターのエイドリアン・ニューウェイは、ニューマシン、RB16Bのリアウィング支持方法、ディフューザーのデザインに影響を及ぼすギアボックスケースの形状に大きく手を入れ、F1ラストシーズンに懸けるホンダも有終の美を飾るべく、燃効率のさらなる向上やエレクトロニクスコンポーネントの見直しに取り組んでいるという。
注目されたもう1人のドライバーは、メキシコ出身のベテラン、セルジオ・ペレスに落ち着いた。2020年はシーズン半ば、新型コロナウイルスに感染して2戦を欠場。その後、実力以外の要素により翌シーズンのシートを失う形となり、不運が続いたが、終盤のサヒールGPで優勝してから流れが変わってきた。レーシング・ポイント時代にはメルセデスのパワーユニットで走っており、そのノウハウをもたらすことも期待されての起用のようだ。
なお、昨年までのレギュラードライバー、アレクサンダー・アルボンはリザーブに回り、DTM(ドイツツーリングカー選手権)に参戦する模様だ。
【マクラーレン・メルセデス】
#3 ダニエル・リカルド
#4 ランド・ノリス
2019年のコンストラクターズランキング4位から3位へと順位を上げたマクラーレンは、パワーユニットをルノーからメルセデスにスイッチし、ランド・ノリスとダニエル・リカルドのコンビでさらなる躍進を狙う。マクラーレンがメルセデスと組むのは2014年以来となる。
デビューから在籍3年目を迎えるイギリス出身の21歳、ノリスは、新年早々、コロナウイルスに感染し、出鼻をくじかれた格好だが、去年の開幕戦オーストリアGPでは、混戦の中、怒濤の追い上げで3位表彰台を獲得するなど、実力は十分だ。新しいパッケージに対しても「これまでよりはるかに優れているはずさ。そしてそれは僕らに自信を与えてくれ、トップに向かって前進させてくれると確信しているよ」と期待を膨らませている。
ルノーから移籍したリカルドは、ここ1〜2年、マシンの競争力不足で中団を走ることも多かったが、2020年はアイフェルGPとエミリア・ロマーニャGPで3位に入り、状況次第でいまだにトップクラスの速さを発揮できることを証明した。レッドブル時代に通算7勝を挙げており、マシンの仕上がり次第では、伸び盛りのノリスと一緒に昨年のレーシング・ポイントのような台風の目となるかもしれない。
【アストンマーティン・コグニザント・F1】
#5 セバスチャン・ベッテル
#18 ランス・ストロール
チーム・オーナーのローレンス・ストロール率いる企業グループが、イギリスの自動車メーカー『アストンマーティン』の大株主となったことによりレーシング・ポイントからチーム名を改称。新加入のセバスチャン・ベッテルとチーム・オーナーの息子でもあるランス・ストロールの布陣で臨む。
アストンマーティンとしてF1に参戦するのは1960年以来、61年ぶりとなるが、他のメーカーと違い、あくまでもチーム名としてだけであり、引き続き、メルセデスのパワーユニットで戦う。
昨年フェラーリで不遇をかこっていたベッテルだが、第14戦トルコGP3位表彰台に立ち、シーズン終盤に復調の兆しを見せた。2010年には23歳134日で史上最年少王者に輝き、2013年まで4年連続でタイトルを獲得したドライバーだけに、新天地で復活できるかに注目だ。
親の七光りの印象が強いストロールもヨーロッパF3でチャンピオンを獲得した経歴を持ち、決して遅いドライバーではない。雨に見舞われた昨年のトルコGP予選では状況に応じたタイヤ選択が功を奏し、初めてのポールポジションを獲得。イタリアGPとサヒールGPでは3位に入っている。
チームは今年に入り、アメリカに本社を置く多国籍IT企業、コグニザントとタイトルスポンサー契約を締結したことを発表した。
【アルピーヌ・F1チーム】
#14 フェルナンド・アロンソ
#31 エステバン・オコン
マーケティング的な理由により『ルノー』からグループ・ブランドの『アルピーヌ』に名称を変更したチームのトピックは、2度のF1王者、フェルナンド・アロンソの復帰だろう。一旦、F1を離れる前は“現役最強ドライバー”の名を欲しいままにしていたスペインの英雄も7月には40歳を迎えるため、以前のスピードを維持しているか懸念されたが、2年のブランクがあることから特別に参加を許可された12月のF1ヤングドライバーテストでトップタイムをマーク。健在ぶりをアピールした。
チームメイトとなる24歳のフランス人ドライバー、エステバン・オコンは昨年のサヒールGPで初ポディウムとなる2位フィニッシュ。ルノーのパワーユニットは出力でホンダを上回っているともいわれており、レース展開次第では再び表彰台争いを繰り広げる可能性も十分だ。
昨年、2輪の最高峰カテゴリー、MotoGPでチームマネージャーとしてスズキをダブルタイトルに導いたダビデ・ブリビオが、レーシングディレクターとして加わったこともニュースとなった。他のメーカーに比べて予算の少ないスズキで振るった手腕をメルセデス、レッドブル、フェラーリに予算規模で劣る新生チームでも発揮できるかに期待が集まる。
文●甘利隆
著者プロフィール/東京造形大学デザイン科卒業。都内デザイン事務所、『サイクルサウンズ』編集部、広告代理店等を経てフリーランス。Twitter:ama_super
今年もメルセデスが強さを見せるか?ホンダのラストイヤー、アロンソの復帰にも期待!【F1展望前編】

関連記事
あわせて読む
-
ウッズ選手、無謀運転の疑いなし 米警察当局
AFPBB News 2月25日(木) 5:19
-
巨人・原監督がまた球界に提言 メジャーの招待選手制度導入「多くの選手にチャンス」
デイリースポーツ 2月25日(木) 5:00
-
箱田淳さん死去、89歳 国鉄(現ヤクルト)の球団創設期を支えた“元祖二刀流”
サンケイスポーツ 2月25日(木) 5:13
-
五輪の海外観客受け入れは「4月末に判断」IOCギリギリまで見極め
スポーツ報知 2月25日(木) 8:42
-
昨季、DVで出場停止のヘルマンが謝罪会見
スポーツ報知 2月25日(木) 7:00
-
イチローさん、新たな家族を公表 1歳柴犬2匹・姫弓&天朗…マリナーズキャンプ合流
スポーツ報知 2月25日(木) 6:00
-
【巨人】岡本和真が背中の張りで中日戦前の打撃練習回避
スポーツ報知 2月25日(木) 10:07
-
フェラーリが2023年にハイパーカーでのWEC参入を正式発表! トップカテゴリーに50年ぶり復帰
オートスポーツweb 2月25日(木) 1:30
-
競輪界に衝撃…成清龍之介さん、路上練習中に事故死、新田祐大「悲しい」
スポニチアネックス 2月25日(木) 5:30
-
組織委、聖火リレー実施方法を公表 著名人は密集対策エリア走行
毎日新聞 2月25日(木) 10:08
-
小野伸二語った 僕が出るレベルならいい状態にない
日刊スポーツ 2月25日(木) 8:31
-
ウッズ選手は「生きていて幸運だった」、自力で立てず…車横転事故
読売新聞 2月25日(木) 6:55
-
ウッズ 右脚粉砕骨折の重傷、選手生命の危機も…車横転し大破「生存が奇跡」の大事故
スポニチアネックス 2月25日(木) 5:30
スポーツ アクセスランキング
-
1
ウッズ選手、無謀運転の疑いなし 米警察当局
AFPBB News2021年02月25日05時19分
-
2
巨人・原監督がまた球界に提言 メジャーの招待選手制度導入「多くの選手にチャンス」
デイリースポーツ2021年02月25日05時00分
-
3
箱田淳さん死去、89歳 国鉄(現ヤクルト)の球団創設期を支えた“元祖二刀流”
サンケイスポーツ2021年02月25日05時13分
-
4
五輪の海外観客受け入れは「4月末に判断」IOCギリギリまで見極め
スポーツ報知2021年02月25日08時42分
-
5
昨季、DVで出場停止のヘルマンが謝罪会見
スポーツ報知2021年02月25日07時00分
-
6
イチローさん、新たな家族を公表 1歳柴犬2匹・姫弓&天朗…マリナーズキャンプ合流
スポーツ報知2021年02月25日06時00分
-
7
【巨人】岡本和真が背中の張りで中日戦前の打撃練習回避
スポーツ報知2021年02月25日10時07分
-
8
フェラーリが2023年にハイパーカーでのWEC参入を正式発表! トップカテゴリーに50年ぶり復帰
オートスポーツweb2021年02月25日01時30分
-
9
競輪界に衝撃…成清龍之介さん、路上練習中に事故死、新田祐大「悲しい」
スポニチアネックス2021年02月25日05時30分
-
10
組織委、聖火リレー実施方法を公表 著名人は密集対策エリア走行
毎日新聞2021年02月25日10時08分
スポーツ 新着ニュース
-
レアル・マドリードの両翼は全く輝けない。1人退場のアタランタに1点止まりは危険【CL分析コラム】
フットボールチャンネル2021年02月25日11時47分
-
40歳ヒューイットが殿堂入り
tennis365.net2021年02月25日11時47分
-
韓国プロ野球がいじめ加害者のプロ入りを全面排除へ…ドラフト制度の“申請制”への変更を検討
スポーツソウル日本版2021年02月25日11時46分
-
さすがマー君 年会費180万円のファンクラブ「VIP」1時間で定員到達
デイリースポーツ2021年02月25日11時45分
-
強烈ミドルで決勝弾!レアル・マドリーDFメンディ「どう祝えばいいのかわからなかったよ」
GOAL2021年02月25日11時42分
-
【巨人】岡本が背中の張り訴え帰京…軽症か 「3月に元気で会おう」原監督は気遣い
中日スポーツ2021年02月25日11時41分
-
【日本ハム】吉田輝星がブルペンで33球 27日DeNA戦に向けて調整
スポーツ報知2021年02月25日11時39分
-
ライジングゼファー福岡の小川麻斗、3月7日で特別指定選手としての活動を終了
バスケットボールキング2021年02月25日11時36分
-
筒香、オープン戦で一塁守備起用へ キャッシュ監督「動き見る良い機会」
サンケイスポーツ2021年02月25日11時33分
-
島根知事、コロナ対策強化を厚労省に要請 対応見て聖火リレー判断
毎日新聞2021年02月25日11時33分
総合 アクセスランキング
-
1
草なぎ剛20億円新居の凄すぎるこだわり 徳川慶喜との共通点も
女性自身 2021年02月25日 06時00分
-
2
西田敏行、ドラマの車椅子姿はリアル? 満身創痍で現場に臨む俳優魂
NEWSポストセブン 2021年02月25日 07時05分
-
3
小学生の列に突っ込みそのまま逃走…乗用車を運転していた男を逮捕 北海道札幌市
HBC北海道放送ニュース 2021年02月25日 02時55分
-
4
渡部建、豊洲市場で無報酬労働…所属事務所「アルバイトではなくお手伝い」
スポーツ報知 2021年02月25日 06時00分
-
5
ウッズ選手、無謀運転の疑いなし 米警察当局
AFPBB News 2021年02月25日 05時19分
-
6
山田真貴子・内閣広報官、接待を「深く反省」と陳謝 辞任は否定
毎日新聞 2021年02月25日 09時53分
-
7
パトカーが追跡中のバイク事故…運転していた女子高校生を逮捕 愛知・豊田市
CBCテレビ 2021年02月25日 06時33分
-
8
「数年に一度しか見られない」珍しい渡り鳥、田んぼに
読売新聞 2021年02月25日 07時12分
-
9
巨大グループ・イオンのお膝元で勝ち続けているローカルスーパー 「不可能」はなぜ実現されたのか
文春オンライン 2021年02月25日 06時00分
-
10
“2歳11カ月”村方乃々佳ちゃん、史上最年少CDデビュー!きゃりー、フワちゃんらも注目
スポニチアネックス 2021年02月25日 04時00分
東京 新着ニュース
東京 コラム・街ネタ
-
沖縄キャンプ最終クール、広島不動の「三番」鈴木誠也、メジャー最強スラッガーのマイク・トラウトに学ぶ
ひろスポ! 2021年02月25日 11時27分
-
本物シミュレーターでテイクオフ! スターフライヤーが機長の疑似体験プランを販売
福岡ふかぼりメディアささっとー 2021年02月25日 10時00分
-
吉祥寺に焼き菓子店「アンベール」 サブレ中心、体に良い素材選ぶ
みんなの経済新聞ネットワーク 2021年02月25日 09時08分
-
東京初進出で快進撃 宮崎牛を販売する「あんず」の魅力とは?「コロナ禍により家族で食卓を囲む機会が増えた」
Walkerplus 2021年02月25日 09時00分
-
青梅駅そば「津雲邸」でひな祭り展 ひな人形など800点展示
みんなの経済新聞ネットワーク 2021年02月25日 09時00分
特集
特集一覧を見る 動画一覧を見る記事検索
掲載情報の著作権は提供元企業等に帰属します。
Copyright(c)Nippon Sports Kikaku Publishing inc. All rights reserved.