3月1日、巨人とヤクルト間で成立した44年ぶりのトレードが大きな話題を集めた。巨人からは2016〜17年に2年連続2ケタ勝利の左腕投手・田口麗斗(25歳)が、ヤクルトからは元トップ・プロスペクトの大型内野手・廣岡大志(23歳)が交換となった。

 キャンプ終了直後の成立、そして(日本では珍しい)主力級の電撃トレードとあって、両軍ファンのみならず球界全体が目を丸くした入れ替えとなったが、同時に注目されたのが【巨人の2013年ドラフト】だった。その理由は、以下のリストを見ればよく分かるだろう。
 <2013年巨人ドラフト>
●支配下
1位:小林誠司(捕手/日本生命)→巨人在籍
2位:和田恋(内野手/高知高)→2019年7月に楽天へトレード
3位:田口麗斗(投手/広島新庄高)→2021年3月にヤクルトへトレード
4位:奥村展征(内野手/日大山形高)→2015年1月に人的補償でヤクルトへ移籍
5位:平良拳太郎(投手/北山高)→2017年1月に人的補償でDeNAへ移籍
●育成
1位:青山誠(外野手/日本大)→2018年オフに戦力外
2位:長江翔太(投手/大阪経済大)→2016年オフに戦力外
3位:北之園隆生(投手/秀岳館高)→2016年オフに戦力外

 ドラフト指名から8年、何と2013年ドラフト組で“生き残っている”のは、1位指名の小林誠司のみとなっている。育成契約の3人は育成という点を考えれば致し方なしとはいえ、支配下指名の4選手が“いない”理由も面白い。2位の和田恋、3位の田口はトレード、4位の奥村展征は相川亮二の、5位の平良拳太郎は山口俊のFA人的補償という形で「放出」した格好なのだ。

 特に平良は惜しいことをしたと思うファンも少なくないだろう。DeNA移籍後の翌年18年から先発ローテーションに組み込まれると、昨季は開幕から12球団最長となる8試合連続QS(6イニング以上を投げて自責点3以下)の好投。故障離脱が悔やまれたが、防御率2.27は80イニング以上の全37投手中5位に位置する数字だった。
  もっとも、平良に関しては山口俊の人的補償であり、その山口が2018年にノーヒッター、翌19年は最多勝・最多奪三振・最高勝率の三冠を獲得する活躍でリーグ優勝に大きく貢献したことを思えば、収支的には明らかなプラスだ。

 当時の評価で言えば、驚きだったのはむしろ和田恋のトレード放出だっただろうか。2018年にイースタン・リーグで本塁打(18本)、打点(87)の二冠王を獲得した和田は将来の主軸として大きな期待を寄せられていたスラッガーだった。しかし、ブレイク翌年に楽天の救援右腕である古川侑利との交換でトレードに出されることになる。この移籍も大きな反響を集めたが、原辰徳監督は和田の守備・走塁能力と高い三振率を危惧していたようで、結果的には和田は楽天移籍後も一軍定着はできていない。
  こうして、最後の2013年ドラフト戦士となったのが、ゴールデン・グラブ賞の獲得経験があり、WBC日本代表にも選ばれたことのある小林誠司だ。しかし、小林に関しても、原監督が捕手にも打力を求めるスタイルなことから近年は出場機会が減少傾向にあり、トレード候補との話もちらほら出ているため、もしかしたら近い将来、同年のドラフト組は“全滅”となる可能性も……。

 ちなみに、この年のドラフトは「大成功」している球団も少なくない。セ・リーグでは広島が1〜3位で指名した大瀬良大地、九里亜蓮、田中広輔が絶対的な主力として現在も活躍。一方のパ・リーグでは、“山賊打線”の中核を担う森友哉(1位)、山川穂高(3位)のタイトル獲得者に加え、いぶし銀の岡田雅利(6位)も存在が光る。そして、巨人を日本シリーズで2年連続スウィープで下している絶対王者・ソフトバンクも、2位で指名した森唯人は鉄腕ぶりを発揮してクローザーに座り、潜在能力抜群の上林誠知(4位)、育成1位の石川柊太は昨季の投手二冠と、見事な育成力を見せている。

構成●THE DIGEST編集部