東京五輪開催の是非を巡る議論に、競泳界のヒロインも巻き込まれた。白血病からの復活を果たし、晴れて東京五輪代表に内定した池江璃花子のSNSに対して、出場辞退や開催反対への賛同を求める声が相次いで寄せられていたのだ。
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 5月7日、池江は自身のツイッターを更新。立て続けの5投稿で苦しい胸の内を明かした。以下がその全文である。

「いつも応援ありがとうございます。Instagramのダイレクトメッセージ、Twitterのリプライに『辞退してほしい』『反対に声をあげてほしい』などのコメントが寄せられている事を知りました。もちろん、私たちアスリートはオリンピックに出るため、ずっと頑張ってきました。

 ですが、今このコロナ禍でオリンピックの中止を求める声が多いことは仕方なく、当然の事だと思っています。私も、他の選手もきっとオリンピックがあってもなくても、決まったことは受け入れ、やるならもちろん全力で、ないなら次に向けて、頑張るだけだと思っています。1年延期されたオリンピックは私のような選手であれば、ラッキーでもあり、逆に絶望してしまう選手もいます。
  持病を持ってる私も、開催され無くても今、目の前にある重症化リスクに日々不安な生活も送っています。私に反対の声を求めても、私は何も変えることができません。ただ今やるべき事を全うし、応援していただいてる方達の期待に応えたい一心で日々の練習をしています。オリンピックについて、良いメッセージもあれば、正直、今日は非常に心を痛めたメッセージもありました。この暗い世の中をいち早く変えたい、そんな気持ちは皆さんと同じように強く持っています。ですが、それを選手個人に当てるのはとても苦しいです。

 長くなってしまいましたが、わたしに限らず、頑張っている選手をどんな状況になっても暖かく見守っていてほしいなと思います」(原文ママ)

 これを受けてSNS上では池江の意見を支持する声が圧倒的多数を占め、「矛先を完全に間違えている」「リスペクトを欠く」「彼女に失礼だ!」など批判的なコメントに溢れる一大騒動に発展した。 欧米メディアも高い関心を示している。日本国内における新型コロナウイルスの感染状況、それに伴った五輪開催反対の風潮などを踏まえつつ、今回の一件をこぞって取り上げている。

 そんななか、中国の全国スポーツ紙『新浪体育』は明確に反発の意を示し、池江の考えを尊重した。同メディアは池江の経歴をしっかり振り返り、白血病の発症から競技に復帰するまでを追い、結果的に東京五輪出場を掴むまでの道のりを紹介した。そのうえで、強めの物言いで次のように論じている。

「白血病との闘いに打ち勝ち、五輪出場の権利を勝ち取る奇跡を起こした彼女に対して、酷いサイバーバイオレンスが仕向けられた。参加辞退や反対を表明するように促す書き込みが、数多く届いているというのだ。彼女の投稿内容を読むかぎり、かなりのプレッシャーに苦しめられていると推察される。彼女をはじめ、五輪出場を夢見るアスリートたちがどんな想いで4年間を過ごしてきたかをイメージできる者なら、このようなアタックは決して選手に向けられるべきではないと分かるはずだ」
  さらに同紙は「池江自身は2024年のパリ五輪が目標だと語っていたが、情勢は変化し、東京大会に間に合う結果となった。一度は諦めた夢を叶えられた彼女の想いはいかばかりか」と説き、「それがあろうことか、あり得ないサイバーバイオレンスに直面する羽目になった。それでも彼女は病気や今回のようなことで、立ち止まったりはしないだろう」と続けた。

 池江は先月行なわれた日本選手権で見事4冠を達成。女子400メートルリレーと女子400メートルメドレーリレーの五輪出場権を獲得し、それ以外にも女子100メートル自由形など個人で出場権を得る可能性が残されている。

構成●THE DIGEST編集部

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