決勝レースではリタイアに終わり、予選ではQ1脱落に加えて直後の言動が物議を醸すなど、ネガティブな事象にばかり見舞われたF1スペイン・グランプリでの角田裕毅。アルファタウリのルーキーには、F1ドライバーのOBや各国のメディアから多くの苦言が呈された。

 プレシーズンの好パフォーマンスや開幕戦バーレーンGPでのデビュー戦ポイント獲得によっていきなり称賛を浴び、大きな期待をかけられるようになった角田だが、第2戦エミリア・ロマーニャGPでオーバースピードによるスピンを繰り返して上位進出のチャンスを逸して以降は、様々な要因によって納得のいく結果を得られないでいる。

 チームプリンシパルのフランツ・トスト、レッドブルの顧問ヘルムート・マルコから絶賛され、「早いうちに優勝できる」とのお墨付きをもらい、さらにはF1テクニカルディレクターのロス・ブラウンからも「最高のルーキー」とお褒めの言葉を頂戴するなど、飛ぶ鳥を落とす勢いだった日本人ドライバーについては今、その能力について疑問視するような見方も増えてきているという。
  英国のモータースポーツ専門メディア『MOTORSPORT』も、「角田の勢いはF1で行き詰ったのか?」という記事でこのことに言及しているが、著者であるジャーナリストのクリス・メドランド氏は、F2時代から知る角田について「彼の正直さと感情をさらけ出す点が大好き」「彼は非常にクールであり、2019年に欧州に渡ったにもかかわらず、前向きな見通しを持って、自身の歩みに興奮しながらキャリアを進めている」と綴っている。

 いつも快活で冗談を言う一方で、驚くほど怒りを爆発させる青年は、バーレーンではコース上での好パフォーマンスと相まって、全てが好意的に捉えられたことで勢いが急速に高まったが、イモラで障壁にぶつかった瞬間に、それが止まったという。

 しかし、同氏はそれでも「彼はF1に興奮し続けており、その世界に留まり続ける才能を持っている」と主張。ただ、角田の魅力である正直さが問題となり得ることがここまでの4レースで証明されており、とりわけスペインGPでは「悪いタイミングで悪い内容の発言をしてしまった」として、「この点をコントロールできれば、再びバーレーンGP時のように良い結果を出すためのドライビングだけに集中できる」と訴えた。
  一方、オランダのスポーツメディア『NOS』のF1ポッドキャストでは、ポルシェ・カレラ・カップのオランダ人ドライバー、ルディ・ファン・ビューレンが、角田を「とてもおしゃべりでビッグマウスでもあるが、それが彼の魅力でもある」とし、また「彼は本当に速い」とドライバーとしても評価している。

 その上で、ここ数レースの不調については、「速くて優秀であるがゆえに、あまりに多くを求め、攻めすぎている。もう少し減速するべきだ。彼はチームメイトであるピエール・ガスリーとの差を詰めようと躍起で、死に物狂いで攻めているが、同じ車で5位(ガスリー)、15位(角田)の差がついてしまう。それで、彼は(無線で)叫んでしまうのだろう。しかし、常に客観的になることは必要だ」と提言した。
  英国の『RN365』も、21歳になったばかりの日本人ドライバーを「まだ成熟はしていないかもしれないが、才能があり、非常に速いことは間違いない」と評価。面白いアドバイスとして、「レッドブルのマルコ顧問は昔気質のタフな人間で、トストは心理学者タイプのチームマネジャー。彼ら2人では、“罵声”に対する処遇が異なるかもしれない。角田にとって、トストは良い警官、マルコは悪い警官になる」と、“注意”を促している。

 このように、少なくないメディアが、問題点を挙げながらも、今なお角田の能力を認めている。ドイツの『sport.de』にいたっては「ドライビングしながら情熱を発するのも良いものだ」と問題視すらしておらず、さらには「イモラの時ほど、ポルティマオやバルセロナでは文句を言っていない」と、成長すら感じているようである。

構成●THE DIGEST編集部


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