5月17日、春のマイル女王決定戦となるヴィクトリアマイル(GⅠ、東京・芝1600m)が行なわれ、単勝オッズ1.3倍という圧倒的な1番人気に推されたグランアレグリア(牝5歳/美浦・藤沢和雄厩舎)が後続を4馬身も突き放して圧勝。昨年の安田記念、マイルチャンピオンシップにも優勝している本馬は、これで古馬マイルGⅠ完全制覇を成し遂げた。

 レビュワー泣かせのレースである。

「グランアレグリアが強すぎた」

 このひと言で片付いてしまうほどに、マイル女王の能力レベルが他馬と違っていたのである。

 注目の先頭争いは、クリスティ(牝4歳/栗東・杉山晴紀厩舎)が制して、スマイルカナ(牝4歳/美浦・高橋祥泰厩舎)が2番手。2番人気のレシステンシア(牝4歳/栗東・松下武士厩舎)は3番手に控えて、グランアレグリアは中団の後方、3番人気のテルツェット(牝4歳/美浦・和田正一郎厩舎)さらにその後ろの14〜15番手を進んだ。

 1000mの通過ラップは57秒6と、GⅠレースとしては”やや速め”程度の流れ。縦長だった馬群は、後方から進んだ馬たちが追撃の狼煙を上げたため、ほとんど一団となって直線へと向いた。

 先行勢のなかからレシステンシアが抜け出した逃げ込みを図るが、その外から”持ったまま”で差を詰めてきたのがグランアレグリア。他馬とは次元が違う豪脚を繰り出し、あっという間にレシステンシアを交わすと、グングンと差を広げてゴールへ飛び込んだ。4馬身差というのは、昨年、アーモンドアイが2着に付けたのと同じ着差だった。

 2、3着にはやはり中団から脚を伸ばした10番人気のランブリングアレー(牝5歳/友道康夫厩舎)と5番人気のマジックキャッスル(牝4歳/美浦・国枝栄厩舎)が入線。3連単は2万8750円の好配当になった。

 上がり3ハロン32秒6という驚異的な末脚で優勝を果たしたグランアレグリア。

 レース後、クリストフ・ルメール騎手が「やはり強かったです。ここでは(他の馬と)違うレベルの馬でした」と語れば、藤沢和雄調教師も「前走(大阪杯4着)はダメでしたが、随分と高い支持をいただいてありがとうございます。もともと強い馬ですが、今日はとてもいい内容だったと思います」と、余裕さえ垣間見えるコメントを残した。
  次走は、アーモンドアイを下した昨年からの連覇がかかる安田記念(GⅠ、東京・芝1600m)へ参戦の予定だ。また、秋については藤沢調教師自らが、オーナーとの相談にはなるがと前置きしつつ、「天皇賞(GⅠ、東京・芝2000m)へ向かいたい」と明言。「前走は初めての距離や道悪の影響もあって負けてしまいましたが、東京の2000mなら持ちそうな気がしています」と語ると、ルメール騎手も「良馬場なら2000mのGⅠを勝てる馬だと思う」とした。

 控えめな言い方ではあるが、グランアレグリアの大阪杯での敗戦は、いわゆる”力負け”ではないという意地が透けて見える陣営のコメントである。安田記念はもちろんだが、年内での引退が決まった女王の秋シーズンがますます楽しみになってきた。

 敗れた馬たちについて見てみると、2着から7着までの着差がすべて「クビ」という接戦で、わずか0秒2の間に収まっている。これはもう一回レースすれば、それぞれが違う着順になるぐらい力が拮抗していたと考え得る結果である。

 2番人気に推されたレシステンシアは6着に敗退したが、うまく折り合いながら早めに抜け出す戦略は全うしたが、最後のひと粘りがきかなかった印象。14着に終わったテルツェットに関しては、4連勝で重賞勝ちを果たした勢いが評価されたが、やはりGⅠともなると、やや”家賃が高かった”と言えそうだ。

 一方、2着に食い込んで波乱を起こしたランブリングアレーは、愛知杯(GⅢ)で2着、ダービー卿チャレンジトロフィー(GⅢ)で優勝していたのにも関わらず、馬券の盲点になっていた感がある。これからは重賞戦線で常にマークを必要とする存在になった。

 3着のマジックキャッスルは、秋華賞(GⅠ)で2着に入った能力の高さはもちろん、どんな相手でも、またどんな展開でも崩れない堅実さが活きた。今回は相手が悪かったとしか言いようがない。しかしまだ4歳の身であり、今秋から来年へ向けてさらに上昇する可能性を示した一戦となったのではないか。

文●三好達彦

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