大谷翔平(エンジェルス)が出場を表明したMLBオールスターのホームラン・ダービー。過去にも数多くのスラッガーが“真夏の祭典”を盛り上げてきた。大谷の活躍を期待しつつ、今もファンの記憶に残る5つの名場面を振り返ってみよう。

●これぞ千両役者!親子で奇跡の逆転優勝
ブライス・ハーパー(ナショナルズ)/2018年

 この年のオールスターが行われたのはナショナルズ・パーク。ご当地選手として出場した“神童”ハーパーは、敬愛する父ロンを打撃投手に指名し、親子でダービーを勝ち上がっていく。決勝ではカイル・シュワーバー(カブス)と対戦。残り50秒時点で9本差をつけられ、敗色濃厚と思われたハーパーだが、そこから猛烈な勢いで巻き返す。残り3秒時点で放った滞空時間の長い当たりが右中間上段席に吸い込まれ、ついに同点。最後はセンター右に放り込み、奇跡の逆転勝ちを収めた。

 星条旗柄のアームサポーターとバットを身にまとったハーパーの千両役者ぶりに、球場を埋めた大観衆は熱狂。一方、ハーパーは「家族を養うために毎日毎日、懸命に働いてくれた」父にトロフィーを渡して喜びを分かち合った。
 ●HRダービー史上最高のパフォーマンス
ジョシュ・ハミルトン(レンジャーズ)/2008年

 今も「ホームラン・ダービー史上最高のパフォーマンス」として語り継がれるのがこの年のハミルトンだ。ドラフト全体1位指名でプロ入りしながら、ドラッグや酒に溺れて一時は半引退状態に追い込まれたハミルトンは、紆余曲折を経て07年にメジャーデビュー。初の球宴の舞台に立った天才スラッガーは、遺憾なく才能を発揮した。

 特にすごかったのがファーストラウンドで、13球連続を含む28本の策越え。ヤンキー・スタジアムに詰めかけたファンを唖然とさせた。飛距離500フィート(約152メートル)超えの特大アーチも3本。実はこの年の優勝者はジャスティン・モアノー(ツインズ)なのだが、最もインパクトを残したのは間違いなくハミルトンだった。

●外野席後方の倉庫に到達する最長不倒弾
ケン・グリフィーJr.(マリナーズ)/1998年

 あのイチローの憧れの選手でもあったグリフィーJr.は、1990年代最大のスーパースターだった。90年から11年連続でオールスターに選出され、ホームラン・ダービーの常連でもあり、94年、98〜99年には優勝している。だが、ファンの記憶に最も残っているのはオリオールズの本拠地オリオール・パーク・アット・カムデンヤーズで行われた93年のダービーだ。 キャップを後ろ前にかぶるおなじみのスタイルで登場したグリフィーは、これまた持ち前の美しいスウィングから快打を連発。そのうちの1本は右翼席の後方、通りを挟んだ向こう側に建っている倉庫にまで届いた。球場を埋め尽くしたファンは大歓声を送り、グリフィーが思わず打席を外す場面もあった。今に至るまで、倉庫にまで届く一発を放った者は他に誰もいない。

●黄金ルーキーが歴代新の計91本塁打!
ブラディミール・ゲレーロJr.(ブルージェイズ)/2019年

 クリーブランドのプログレッシブ・フィールドで行われたこの年のホームラン・ダービーで主役の座をさらったのは、前半戦わずか8本塁打、オールスター本戦には選ばれなかった20歳のルーキーだった。この年、メジャーデビューしたばかりのゲレーロJr.がそれでもダービーに招待されたのは、次代のスーパースター候補という期待があってこそ。そして、ゲレーロJr.は全米が注視する大舞台でその期待に見事に応えた。

 ファーストラウンドでは単独ラウンド歴代最多29本をスタンドにぶち込むと、準決勝ではジョク・ピーダーソン(ドジャース)との3度の延長に及ぶ死闘を展開。決勝ではピート・アロンゾ(メッツ)に1本差で敗れて優勝は惜しくも逃したが、トータル91本は歴代新記録だった。ゲレーロJr.は今年のダービー出場にも意欲を見せており、大谷との競演が期待される。●ヤンキースの怪物がルーキーでは史上初の単独優勝
アーロン・ジャッジ(ヤンキース)/2017年

 2017年、球界は身長2mを超えるルーキースラッガーの話題で持ちきりとなった。4月だけで10本塁打を量産したジャッジは、前半戦だけで30本を量産。ア・リーグ最多得票を得てオールスターに出場を決めた。迎えたホームラン・ダービーでも、ジャッジはシーズンの勢いそのままに豪快な当たりを連発する。

 マーリンズ・パークの左中間席後方の柱を直撃した一打を含め、屋根がなければ場外間違いなしという飛距離500フィート以上の特大弾が4本。本塁打とはカウントされなかったが天井を直撃する一打もあり、場内は歓声いうよりもどよめきに包まれた。ルーキーのホームラン・ダービー単独優勝は史上初。新たなスーパースター誕生を強く印象付ける活躍だった。

構成●SLUGGER編集部