この東京五輪で日本勢第1号となる銀メダルを手にした渡名喜風南だが、決勝で敗れた悔しさから、涙が止まらなかった。

 ファイナルに辿りつくまでは、順調な勝ち上がりだった。初戦となった2回戦でロンドン五輪の銅メダリストであるハンガリーのエバ・チェルノビツキ、続く準々決勝では、前回のリオデジャネイロ五輪を制したアルゼンチンのパウラ・パレトにそれぞれ一本勝ち。

 山場と見られていた準決勝では、順当に勝ち上がってきたウクライナのダリア・ビロディドと対戦。ポイントを奪えないまま延長戦に突入するも、横四方固で一本を取り、2019年の世界選手権王者を退けた。

【PHOTO】ウクライナ柔道界が誇る美しき“世界女王”ビロディドの厳選フォトを一挙公開! 難敵撃破にも「そこ(ビロディド戦)が目標ではなかったんで」という25歳は、世界ランク1位に君臨するコソボのディストリア・クラスニチと激突した決勝でも集中力を切らすことなく、ペースを握っているかに思われた。

 だが、残り20秒あまりというところで焦りが出てしまう。仕掛けに行ったところを内股で返されて技あり。反撃の時間は、もう残されていなかった。

 試合後、このシーンについて問われた渡名喜は、「ひとつのことに集中しすぎてしまって……。いけないところなんですけど……」と嗚咽を漏らし、こう絞り出した。

「投げに行こうとこだわり過ぎてしまった。一つ二つのチャンスを(冷静に)見つけなければいけなかったんですけど、勝ちにこだわり過ぎて投げに行ってしまった。最後の20秒で(ポイントを)とられて……。もっと我慢強く、相手をしっかり見て裁ければ、違う展開になっていたと思います」

 なぜ最後の最後で冷静さを欠いてしまったのか。「やはり金メダルが頭に?」との質問に間髪入れず「そうですね」と返した渡名喜。今後については「わからないです」と残し、取材ゾーンを後にした。

取材・文●江國 森(THE DIGEST編集部) 

【PHOTO】全階級でのメダル獲得へ!東京オリンピックに挑む柔道日本代表を紹介!