バレーボール女子日本代表「火の鳥NIPPON」の中田久美監督、荒木絵里香主将(トヨタ車体)、古賀紗理那(NEC)が、1次リーグ最終のドミニカ共和国戦を前に8月1日、オンライン会見を行った。

 初戦のケニア戦にストレート勝ちしたものの、古賀が足首を負傷し、その後、セルビア、ブラジルにストレート負け。7月31日の韓国戦には古賀が復帰したものの、第5セット、14-12から逆転負けで3敗目を喫した。

 中田監督は「5年間、東京五輪に向け準備してきて、選手は1戦1戦、全力で戦ってきてくれている。ここまで3敗と精神的には厳しいが、明日のドミニカ戦に向け切り替えていくだけ。いいプレーもたくさん出ているが、失点で取れるラリーやセットを落とすなど、五輪での1点の重みも感じている」と、ここまでの4試合を総括。
  古賀のけがの状態については「チームドクターや本人にも確認して昨日、出した。フルセット戦って今日、大きな変化も痛みもなく、通常の練習が出来る状態」と、コンディション的に問題がないと説明した。

 よどみなく話していた中田監督の表情が変わったのが、負傷明けの古賀を韓国戦で復帰させた理由を問われた場面だった。「病院から帰ってきたのが、翌日の午前2時。ずっと待っていて……」と経緯を説明しようとして、15秒以上、言葉に詰まった。「紗理那(古賀)の顔を見たらすごいやる気だった。『どう?』と聞いたら『歩けます』と。チームにとって大きなポイントになる試合が韓国戦。『そこを目指して治そう』と2人で決めた」と続けた中田監督。

 チームドクターやスタッフとも相談し、韓国戦から逆算してリハビリを始めたが、中田監督の思いは複雑だったという。「無理はさせたくないという思いが半分。一方で、五輪とはそういうものじゃないかなと。私も靭帯が切れていたし、セッターの竹下も骨折していたわけだし。それでもやるのが五輪だと思うし、本人も五輪にかけていることが十分、分かっていた。負けてしまったが、彼女の覚悟を見た思いがする」。
  自身はソウル五輪前に膝の靭帯を断裂しながら、ソウル、バルセロナ両五輪に出場。ロンドン五輪では、大会前に竹下佳江が左手の人差し指を骨折したまま、大会に出場しメダル獲得に貢献した。けがと戦った自らの経験をだぶらせ、リオデジャネイロ五輪代表を最終段階で外れ、この大会にかける古賀の思いが分かるからこその決断だったことを吐露した。

 古賀も「ドクターやトレーナーが韓国戦で復帰の計画を立ててリハビリをしてきたので、不安はなかった、普通に復帰するつもりでネガティブな考えはなかった。韓国戦に合わせられたのはうれしかった」と振り返る。ドミニカ戦に向けては「これまで積み上げてきたものを出せば、韓国戦のような展開にはならない。自分たちの甘さを明日は出さないようにしたい」と気持ちを引き締め、「1人1人が頑張るのではなく、チーム全体で頑張る気持ちが大事」と結束力をポイントに挙げた。
  荒木主将は「攻守に軸になり、コート内外で声掛けをしてくれる古賀のけがはチームに大きな影響があり、想定外の出来事だった。復帰した韓国戦では、いろんな思いが全身から伝わってきた。大きなエネルギーをもらっただけに、勝ち切れなかったことが悔しい」と語り、ドミニカ戦に向け「ここまで五輪にかけてきた思いを、チーム全体ですべて出す。先に進むんだという気持ちで臨む」と意気込みを見せた。

 ともに1勝3敗で並ぶドミニカ共和国戦との1次リーグ最終戦は、2日午後7時40分から。勝てば、準々決勝進出が決まる。

文●北野正樹(フリーライター)
【プロフィール】きたの・まさき/1955年生まれ。2020年11月まで一般紙でプロ野球や高校野球、バレーボールなどを担当。南海が球団譲渡を決断する「譲渡3条件」や柳田将洋のサントリー復帰などを先行報道した。関西運動記者クラブ会友。

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