韓国側に傾きかけた流れを引き寄せたのは、23歳のルーキーだった。

 8月4日に行なわれた東京五輪・野球の準決勝で、日本はこれまで何度の苦杯を嘗めさせられてきた韓国と対戦。5−2で勝利し、決勝に駒を進めた。

 3回に坂本勇人(巨人)の犠牲フライで先制した侍ジャパンは、5回に吉田正尚(オリックス)がタイムリーヒットを打ち、2点目を奪う。

 しかし、好投していた先発の山本由伸(オリックス)が6回に連打を浴びて1点を失うと、救援した岩崎優(阪神)もタイムリーを打たれ、2-2の同点に追い付かれてしまう。

 嫌なムードが流れるなか、7回から3番手として登板したのが伊藤大海(日本ハム)だった。「投げたくて準備をしていた」という大卒ルーキーは、期待に応えて2回をピシャリ。いい流れを作り、それが8回に生まれた山田哲人の3点タイムリーツーベースに繋がったとも言える。
  7回途中には、韓国チームが主審に何事かを訴え、クレームをつけるシーンもあった。

「ロジン(滑り止め)をつけ過ぎて見えない、と言っていたようです。舞っている粉が見づらかったのか分かりませんけど」と抗議について明かした伊藤は、こう続けている。

「バッターもガンガン、テープを付けてますし。これで僕が何も付けずにデッドボールになったらどうするのってぐらいの気持ちで。ルール的に悪くはないので、いつもより多めに付けるぐらいでいきました(笑)」

 相手のクレームにまったく動じることなく、思い切りのよい投げっぷりで韓国を封じた伊藤。この新人は、やはり只者ではない。

取材・文●江國 森(THE DIGEST編集部)

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