どこか照れ臭そうに「今シーズンをもちまして、引退することをご報告させていただきます」と語りだした西武ライオンズ、松坂大輔の引退会見は、終始、なごやかなムードで進んでいた。
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 会見後に開催される日本ハムとの引退登板に向けた準備もある。意識を高めているであろう松坂は、涙は見せないと思っていた。実際、ひと言をじっくりと考えながら紡いだ41歳には、そうした雰囲気は感じられなかった。

 しかし、引退に際して家族とのやり取りを問われると、急に口をつぐんだ。そして、1分近く沈黙したあとに、「ああ、もう。だから会見したくなかったんですよね……(笑)」と目に浮かぶ涙を誤魔化すように語りだした。

「ちょうどやめると決断した時に、妻に電話したんですけど、その時、ちょうど息子がいて……。『本当に長い間お疲れさまでした』と言ってもらいましたし、僕の方からも、『たくさん苦労かけたけど、サポートしてくれて、ありがとう』という言葉を伝えさせてもらいました。

 本当に一言で感謝と言ってしまえば、簡単なんですけど、そんな簡単なものではなかった。いい思いもさせてあげられたかもしれないですけど、家族は家族なりに、我慢というかストレスがあったと思いますし、本当に長い間、我慢してもらったと思う」
  結婚して以来、誰よりも近くで支えてもらった家族、とくに妻の元日本テレビアナウンサーの倫世さんへの想いはひと一倍だ。「あまり言いたくないし、言わないようにしてきた」という松坂だが、現役最後の会見で語ったのは、「申し訳ない」という胸に秘めた感謝だった。

「妻と結婚してもらう時も『批判の声だったり、叩かれることもたくさんあると思うけど、守っていくから』と言ってしてもらったんですけど、それが半分以上もできなくて、本当に申し訳なかったなと思います。妻は関係ないところで叩かれることもあって大変だったと思う。気持ちの強い人ではなかったので、迷惑を掛けたと思います。そのなかでここまでサポートしてくれて本当にありがとうございましたと、あらためて言いたいですね」

 目頭を熱くさせながら、家族への想いを語った松坂。引退後は「最近、家の庭で野菜を育てたりしているので、そういうことをみんなで楽しみながらやっていきたい。大したことじゃないかもしれないけど、そういうことをさせられなかった」と、家族に“恩返し”をしていくようだ。

取材・文●羽澄凜太郎(THE DIGEST編集部)

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