2021年のスポーツ界における名場面を『THE DIGEST』のヒット記事で振り返る当企画。今回は、ロシア・チャイコフスキーにて男女最多となる通算109度目の表彰台に乗った高梨沙羅について。男子ジャンプ界のレジェンド“アホネン”を超えた偉業を海外メディアはどう報じたのか?

記事初掲載:2021年3月28日

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 日本が世界に誇るジャンパーがついに偉業を達成した。現地3月26日にロシアのチャイコフスキーで行なわれたノルディックスキーのワールドカップ(W杯)ジャンプ女子個人・第12戦で、94.5メートルを2本も飛び、合計234.8点とした高梨沙羅は2位に入り、歴代最多記録となる通算109度目の表彰台に立った。

“史上最高のジャンパー”と呼んでも過言ではないだろう。90年代に活躍した男子のスタージャンパーであるヤンネ・アホネン(フィンランド)が16年のキャリアで記録した通算表彰台数(108)を塗り替えたのだ。

 15歳でデビューして以来、僅か9年2か月と20日で積み上げてきた高梨の歴史的記録には、海外メディアも驚きを隠さない。中国のポータルサイト『新浪体育』は、「優勝したオーストリアの新人クラマーよりも、大会の焦点は2位だったタカナシに当てられた」とレジェンドであるアホネンの記録を抜いた24歳を絶賛した。

「今回の表彰台入りでタカナシは男女ともに歴代最高となる109度目の表彰台を獲得した。それまでの記録保持者であるアホネンは引退までにようやく108回という世界記録を打ち立てたが、いまだ24歳のタカナシはまだまだそれを大幅に伸ばしていく可能性がある。彼女次第で、誰も越えられない金字塔を打ち立てることが可能になるのだ」

 歴史的大記録を塗り替えた高梨には、まだ野望が残されている。残り1試合の時点で首位に立っている個人戦の総合優勝だ。

【PHOTO】偉業達成! 日本が世界に誇るスキージャンパー高梨沙羅の笑顔きらめく厳選ショットをチェック 2位のニカ・クリジュナル(スロベニア)とは15点差、3位のマリタ・クラマー(オーストリア)とは66点差と、それぞれ僅差につけられているが、高梨は「全く意識していない」と、周囲の喧騒などどこ吹く風だ。フランスの専門誌『Nordic』は、「総合優勝の行方は誰にもわからない。だが、現時点で優位に立っているのはサラ・タカナシだ」と綴った。

「女子のスキージャンプワールドカップがここまで不確定なことはあまりない。とはいえ、今週金曜日に109回目の表彰台に立ち、歴史的な世界記録保持者となったタカナシは、混戦模様の優勝争いを引っ張る存在だ。現時点で彼女ほど上手くやれている選手は見当たらない」

 果たして、高梨は4シーズンぶり5度目の総合女王に返り咲けるのか。現地時間3月28日に行なわれる最終戦のジャンプには、世界が注目している。

構成●THE DIGEST編集部