ブンデスリーガ第18節、フランクフルトは1-1でバイエルンと引き分け、首位チームのリーガ再開後の初勝利を阻んだ。

 この試合、ランダル・コロ・ミュアニの決勝点をアシストした鎌田大地がリーガでは9節ボーフム戦以来となるスタメン落ちとなったことが話題となったが、逆に10月12日のチャンピオンズ・リーグ(トッテナム戦)以来となる公式戦出場を果たした長谷部誠も、大いに脚光を浴びることとなった。

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 このトッテナム戦以降、膝の怪我で戦線を離脱し、シーズン中断中の日本遠征で復帰した背番号20番は、リーガ再開後の2試合はベンチで90分間を過ごしたが、首位チームとの大一番でスタメン入りを果たし、最終ラインの中央という重要なポジションでフル出場。最も注目を浴びたのは、彼が1月18日に誕生日を迎え、「39歳と10日」でブンデスリーガのピッチに立ったことだった。

 これは、フランクフルトのフィールドプレーヤーとしてはリヒャルト・クレスの歴代最年長記録を59年ぶりに更新するものであり、ブンデスリーガにおいても歴代8位という偉業となった。ちなみに歴代最年長は1988年の5月21日にシャルケのDFクラウス・フィヒテルが達成した43歳と184日。また、ブンデスリーガの39歳以上の選手としては、長谷部は20人目であり、フィールドプレーヤーとしてはクラウディオ・ピサロ以来となる8人目である。
  フランクフルトのマルクス・クレシェSDは、この記念の一戦で強敵相手の1失点に大貢献した最年長選手について「ハセについては、何と言えばいいのか分からない……ただただ、信じられない。彼の経験が、我々に安定を与えてくれる」と語っている(フランクフルト公式サイトより)。

 日刊紙『BILD』は、「39歳と10日で、日本人選手はミュンヘンで驚くべきスタートを切り、いつものように守備のボスとして、バイエルン相手にも攻撃を防いだ」と称賛し、「クレバーなトリック」を使ったオリバー・グラスナー監督の「チーム全体が、マコトの経験から恩恵を受けている。彼は、このレベルで多くの試合を戦ってきており、もはや不安はない」と話したことを紹介した。

 また、クレシェSDの「マコトは今でも最高レベルでプレーできるが、それでもある時点で彼とは別の仕事を見つけることになる」とのコメントに対しては、「フランクフルトではルディ・ボマー(39歳と9か月13日/2部リーグで達成)、元GKのウリ・シュタイン(39歳と5か月月17日)はまだ先を行っており、長谷部はこの先、クラブの史上最高記録を破る可能性もある」と、選手からフロントへの転身はまだ先になるとかもしれないと指摘している。
  一方、サッカー専門誌『Kicker』も、「安定した守備陣の一部として機能した」とポジティブに評価し、「彼はフランクフルトの歴代最年長選手となったが、今後もさらなる“任務”が続くかもしれない」と、こちらも現役続行の可能性を示唆した。

 フランクフルトの地元メディアでは、『Frankfurter Allgemeine Zeitung』が「復帰戦。靱帯断裂による3か月の戦線離脱の後、グラスナー監督は守備のオーガナイザーとしての役割をハセベに再び与えた。序盤、39歳は望まれたほどの権威を振り撒くことができなかったが、プレッシャーの下、チームメイトたちがコントロールできない状況で、彼はすぐに感覚を取り戻した」と、日本の鉄人の90分間をポジティブに振り返っている。
  また、『Frankfurter Rundschau』は個別評価の記事において、長谷部をコロ・ミュアニとともに最高評価を与え、「不滅のハセ」と賛辞を贈るとともに、「そこに再び、最年長のハセがいた。2023年の初公式戦で、長い間戦線を離脱していたとは思えないプレー。冷静で、柔軟で、それでいて1対1では強さを誇り、試合のレベルを引き上げた。監督はなぜ、他の選手を優先するのか、不可解だ。フィールドプレーヤーとして史上最年長となり、また新たに記録が更新された。彼はそれに相応しい」と綴った。

 今月、自身のSNSでドバイでのキャンプ中に「サッカー選手になって何回目のキャンプだろうか。。。笑」と投稿した長谷部。その歩みがどこまで続き、この先どれだけの記録が生み出されるのかが楽しみであるが、まず来月に再開するチャンピオンズ・リーグで、ローター・マテウスが持つブンデスリーガ・クラブ所属選手の最年長出場記録(38歳353日)を破ることができるかどうかが、最初の注目点になりそうだ。

構成●THE DIGEST編集部

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